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Microsoft、オリジナルディストリビューション「Azure Linux」一般提供を開始

Microsoftは5月23日(米国時間⁠⁠、開発者向けの年次カンファレンス「Microsoft Build 2023」において、Azure上のコンテナワークロードに最適化されたLinuxディストリビューション「Azure Linux」の一般提供(GA)開始を発表した。Hyper-VをベースにしたAzureクラウドおよびエッジ環境にデプロイし、複数のコンテナを実行するように設計されており、⁠Azure Kubernetes Service(AKS⁠⁠」のコンテナホストとして利用される。

Azure Linuxは、LTS(長期サポート)のLinuxカーネルをアップストリームとしてビルドされた「Microsoft Linux Kernel」と、AKS用に厳選された300程度のパッケージが含まれる「Azure Linux Core」から構成される。コアイメージのサイズは400Mバイトほどで、フットプリントを可能な限り小さくして軽量化とパフォーマンス向上を図りつつ、セキュリティアップデートやメンテナンスの負荷を軽減している。プラットフォームの信頼性を担保し、ソフトウェアサプライチェーンのセキュリティを高めるためにソースをスクラッチからビルドしているほか、OSの更新はAzureの検証テストを通じて実施され、クリティカルなCVEパッチが出た場合は72時間以内に更新が行われる。また、Azureエージェントと互換性があり、ユーザはカスタムパッケージや開発ツールを通じてカスタマイズすることが可能だ。

Azure Linuxのベースとなっているのは2022年10月にパブリックプレビューとして公開された「CBL-Mariner」で、もともとはMicrosoft社内の開発チームがAKSのコンテナホストとして利用するLinuxディストリビューションをインハウスで開発したプロジェクトがAzure Linuxのきっかけとなっている。

BuildでAzure Linuxのセッションを担当したMicrosoftのJim Perrin(Linuxシステムグループのプリンシパルプログラムマネージャリード)は、Microsoftが他のディストリビューションをベースにしたりフォークするのではなく、スクラッチからAzure Linuxを構築した理由として、⁠Azureに最適化された、一貫したLinuxディストロを開発する必要があった」ことに加え、LinuxとMicrosoftの⁠歴史⁠に起因していることを明らかにしている。

「だから我々は自分たちの手でスクラッチからビルドする必要があった」―Microsoftが背負うLinuxとの“歴史”

「MicrosoftはLinuxとの間にある種の歴史があって、今もそれを覚えている人たちがいる。当時の引用や悪意ある表現のほとんどはもう飲み込めるようなものだけど、たとえば2001年のバルマーの発言(当時のMicrosoft CEOだったSteve Ballmerによる⁠Linuxはガン細胞⁠発言)などに、いまでも嫌な感情を残したままの人は多い。だから我々は既存のLinuxディストリビューションをベースに選ばなかった。過去の出来事を思い起こさせて嫌な気持ちにさせたりしないためにも、自分たちのニーズに適したものを作るなら、⁠既存のLinuxディストロを拡張するのではなく)自分たちの手でスクラッチからビルドする必要があった。我々はLinuxエコシステムにかなったやり方 ―スクラッチから構築し、ニーズに応じてカスタマイズし、苦労して得られた成果はコミュニティに還元するという方法を取っていく」

Ballmerの「Linux is a cancer」発言からすでに20年超が経過しているが、この強烈なインパクトをもつ言葉が完全に過去のものになるにはまだ時間が必要であることを、PerrinをはじめとするMicrosoftのLinuxチームはよく理解しているようである。

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