Red HatのデスクトップチームマネージャのMatthias Classenは6月1日、Fedoraプロジェクトの開発者向けメーリングリストにおいて、Red Hatが近い将来、「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」本体でのLibreOfficeサポートを終了することを明らかにした。
Classenによれば、Red Hatのディスプレイシステムチームはこれまで数年間に渡り、RHEL上でLibreOfficeパッケージをサポートするために、アップストリームであるFedoraのLibreOfficeパッケージのメンテナンスに労力を割いてきたという。たとえば「RHEL for Workstationsにおける開発の優先順位の調整、Waylandでの表示の改善、HDRサポートの構築、色調整、その他のWorkstationsユーザが必要とする要望への対応」(Classen)などだが、今後はRed Hatはこれらの作業から手を引き、Fedoraプロジェクトにも引き継がない。したがって近い将来にリリースされるRHELの新しいバージョン(おそらくRHEL 10以降)ではLibreOfficeパッケージは含まれず、また、Fedoraにおける今後のLibreOfficeパッケージングも制限されることになる。なお、Red HatはRHEL 7/8/9上のLibreOfficeのメンテナンスに関しては、サポート期間中はこれを継続することを表明しており、脆弱性情報が出た場合には迅速に対応するとしている。
今後、RHELでLibreOfficeを利用するには、デスクトップアプリの配布システムであるFlatpakを通じて入手することになる予定で、「ディスプレイチームのエンジニアはLibreOfficeがFlatpak経由で適切に動作するように。修正やそれに関する情報をアップストリームに提供する」(Classen)としている。Fedoraコミュニティのメンバーは、希望すればLibreOfficeパッケージのメンテナンスに取り組むことが可能だが、膨大な作業量となるため、現実的にはほとんどのユーザがFlatpakからLibreOfficeを利用することになるとみられる。もっともこのRed Hatの決定に対して反発するFedoraユーザも少なくなく、しばらくはコミュニティ内で議論が続きそうだ。