この連載は、OSSコンソーシアム データベース部会のメンバーがオープンソースデータベースの毎月の出来事をお伝えしています。
私たちOSSコンソーシアムはこの7月で15年目に入ります。コロナ禍の影響で、この3年間はコミュニティ活動がやや低調でした。OSSコミュニティの皆さんは、懇親会ができないとどうも元気が出ないみたいですね。この連載でお知らせしているイベント等でも、オンラインを併用しつつ、リアル開催が復活してきています。私たちも3年前までの元気を取り戻しつつあります。OSSコンソーシアムの活動にもご関心を持っていただければ幸いです。
[MySQL]2023年6月の主な出来事
6月はMySQLのリリースはありませんでした。MySQLのクラウドサービスであるMySQL HeatWaveは毎月機能強化が行われており、5月にはクエリのアクセラレータであるHeatWaveクラスターを利用した構成でもMySQLサーバーノードの高可用性構成が可能となったほか、MySQLサーバーノードのユーザー認証にOCIのIAMセキュリティ・
MySQL REST Service
MySQL REST Service
MRSはMySQL Routerの情報ではなく、MySQLサーバーに格納されたデータをHTTP経由で読み書きするための機能です。2023年6月末現在は実験的な機能を公開するMySQL Labsに掲載されています。
MRSはMySQL RouterのプラグインとMySQL Shell、またはMySQL Shell for VS Codeを組み合わせた形で利用できます。
MySQL ShellやMySQL Shell for VS Codeからは、MRS用に用意されたAPIを通じてMySQLサーバーにMRS関連のメタデータを登録するほか、REST APIのエンドポイントとMySQLサーバー内のスキーマやテーブルといったオブジェクトのマッピングを行います。
ブラウザからはMySQL RouterのHTTPSポート
MySQLブログの日本語版の記事
MRSが秘めている可能性としては、たとえばHeatWaveの機械学習機能である AutoMLに対してHTTP経由で訓練や予測、説明などの各処理を実行させることなどが考えられます。
[PostgreSQL]2023年6月の主な出来事
6月はPostgreSQLのリリースはありませんでしたが、5月下旬に発表された次期メジャーバージョンであるPostgreSQL 16のベータ版について、前回は内容までは説明できなかったので少し詳しめに取り上げます。また、幕張メッセで開催されたInteropで出会った関連ツールも紹介します。
PostgreSQL 16 ベータ版情報
前回の第94回で、次のメジャーバージョンであるPostgreSQLバージョン16の最初のベータリリースが5月下旬に公開されたことまでをお伝えしましたので、ここでは少し詳しめに紹介をします。
まずは開発コミュニティ
- 性能向上
- 性能を向上させる新たな機能追加やさまざまな最適化や改善がなされています。
- COPYによるデータの同時一括読み込み性能を最大300%向上しました。
- FULLとRIGHT結合を並行して実行できるようになりました。
- SELECT DISTINCTクエリで増分ソートを使用できるようになりました。
- RIGHTおよびOUTERクエリのアンチジョインがサポートされました。
- クライアントライブラリであるlibpqにロードバランシングが導入されました。
- 論理レプリケーション強化
- PostgreSQLのレプリケーション機能はずっと継続的に向上が図られてきています。PostgreSQL 16では、ワークロードを分散するためのより多くのオプションが提供されました。また、論理レプリケーションの性能も向上しています。たとえば、大規模なトランザクションを並行して適用できるようにすることや、プライマリキー以外のインデックスを使用してUPDATEまたはDELETE操作中にルックアップを実行して、初期化中にバイナリ形式を使用してテーブルをコピーできるようにすることなどが含まれます。
- セキュリティ関連機能
- 事前定義された役割を持つスーパーユーザーを必要とせずに、機能への特権アクセスをユーザーに付与する機能を提供しています。また、論理レプリケーションのサブスクライバーは、スーパーユーザーではなくテーブルの所有者としてテーブル上でトランザクションを実行します。
- 監視と管理
- I/
O統計に関する情報を提供する新しいpg_ stat_ ioビューなどのいくつかの新しい監視機能が追加されています。また、pg_ stat_ activityに使用される正規化アルゴリズムも改善されています。 - 篠田の虎の巻
「PostgreSQL 16 Beta 1 新機能検証結果」 - HPE篠田さんによる
「PostgreSQL 16 Beta 1 新機能検証結果」 されています。新しいバージョンについての新機能検証結果は、2014年から数えてついに10周年とのことです。が公開 - この報告書では、新機能、変更されたパラメータ、ユーティリティなどを各機能別に説明されているのに加えて、
「大規模環境に対応する新機能」、 「信頼性向上に関する新機能」、 「運用性向上に関する新機能」、 「将来の新機能に対する準備」 といったPostgreSQLを活用されている現場が気にするであろう観点に沿った分類もされています。また、 「非互換」 のセクションも設けられていて、PostgreSQL 15 から仕様が変更された点を丁寧に拾ってくれています。 - その他の参考情報
- Qiitaにも
「postgresql16」 がいろいろあります。これらは昨年から、つまり前バージョンが正式リリースされた直後には投稿され始めています。投稿者を見てみると、すべて@nuko_のタグが付いた投稿 yokohama さんによるものですね。
NECの「DB Monitor for PostgreSQL」
第93回で、透過型暗号化
明快でシンプルな名称のとおり、
「DB Monitor for PostgreSQL」
なお、NECの
2023年7月以降開催予定のセミナーやイベント、ユーザ会の活動
オンサイト
第42回 PostgreSQLアンカンファレンス@オンライン
日程 | 2023年7月3日 |
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場所 | オンライン開催 |
内容 |
その他、PostgreSQLに関連する話題であれば何でもOK! |
主催 | PostgreSQLアンカンファレンス |
MySQL 8.0入門セミナー ~レプリケーション&高可用性構成編~
日程 | 2023年7月13日 |
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場所 | オンライン開催 |
内容 | 大好評のMySQL入門セミナーの中でも特に参加者の多い、レプリケーションと高可用性構成にフォーカスしたウェビナーです。 MySQLのレプリケーションは2000年に実装された |
主催 | 日本オラクル株式会社 MySQL Global Business Unit |
HeatWave AutoMLが実現する効率的な機械学習アプリケーション開発
日程 | 2023年7月22日 |
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場所 | オンライン開催 |
内容 | HeatWave AutoMLを使用するとデータベースに関する基本的な知識+αだけで機械学習を活用できます。そのため、専門的なデータサイエンティストが不在であっても機械学習を活用したアプリケーションを開発できます。また、ONNXフォーマットの機械学習モデルをインポートすることもできるため、別の環境で作成した機械学習モデルを使って高速に推論を行うための機械学習プラットフォームとして活用することもできます。 このウェビナーでは機械学習の概要を説明すると共に、HeatWave AutoMLを使ってどのように機械学習を簡単に活用できるのかについて解説します。 |
主催 | 日本オラクル株式会社 MySQL Global Business Unit |
MySQL HeatWave Lakehouse技術セミナー(仮)
日程 | 2023年8月24日 |
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場所 | オンライン開催 |
内容 | オブジェクト・ 2023年5月末現在はベータ版として提供されているMySQL HeatWave Lakehouseの技術解説を行うウェビナーを開催予定です。 申し込みページは現在準備中です。 |
主催 | 日本オラクル株式会社 MySQL Global Business Unit |
オープンソースカンファレンス2023 Kyoto、Online/Kyoto
日程 | 2023年7月22日 2023年7月29日 |
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場所 | 〔Kyoto〕京都リサーチパーク 〔Online/ |
内容 | オンサイト なお、会場開催の回に参加する場合でも、参加人数把握のために参加登録をお願いします。 |
主催 | オープンソースカンファレンス実行委員会 |
オープンデベロッパーカンファレンス2023
日程 | 2023年8月25日 |
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場所 | docomo R&D OPEN LAB ODAIBA |
内容 | オープンソースカンファレンスの姉妹イベントで、開発者とインフラエンジニアの交流の場として |
主催 | オープンデベロッパーズカンファレンス実行委員会 |