この連載はOSSコンソーシアム データベース部会のメンバーがオープンソースデータベースの毎月の出来事をお伝えしています。
次世代高速RDB 劔“Tsurugi”のOSS版リリースがまもなく
“Tsurugi”
この劔
劔“Tsurugi”
- ①超高速であること
- 新しいハードウェアのアーキテクチャに合う設計がされていて、従来のRDBに比べて書き込み性能に強く、世界最速レベルの性能を達成しています。1ノード112コアの環境で、約456万TPSかつ219ナノ秒の応答速度を達成できたそうです。
- ②バッチとオンラインの同時処理が可能なこと
- 一貫性を担保した上で高速なバッチ処理を行い、その上で短時間で処理が完了するショートトランザクションの併用を可能になっているので、従来のようにバッチとオンラインを分けて運用する必要がなくなりました。
- ③JavaAPIやPostgreSQLのインタフェースからの呼び出しが可能なこと
- 劔“Tsurugi”
のメリットを享受できるJavaAPIや、SQLを処理するJavaAPIが提供されています。また、以前の報告会にてPostgreSQLのFDW (Foreign Data Wrapper) を使った呼び出しにも対応しているということでした。
また、OSS版リリースと同時に解説本も発売されます。解説本では劔"Tsurugi"の利用法はもちろんですが、内部構造や実装アルゴリズムの詳細まで解説しているとのこと。最新のデータベース技術をじっくり勉強したい方にも適した書籍になっているのではないでしょうか。
最新の状況や詳しい情報は、劔
[MySQL]2023年9月の主な出来事
9月はオラクルの最大の年次イベントであるOracle CloudWorld 2023にて、MySQLのクラウドデータベースであるMySQL HeatWaveに関する新機能が多数発表されました。昨今話題の生成AI
MySQL HeatWaveの生成AIへの対応計画
MySQL HeatWaveには機械学習機能のAutoMLが組み込まれていますが、さらにベクトルストアを実装し自然言語で情報の検索を行うAIへの対応の道筋を開きました。MySQL HeatWaveのベクトルストアは大規模言語モデル
公開されたデータのみを使用する他モデルと比べて、MySQL HeatWaveのベクトルストアは自社内のドキュメントや情報を活用するため、自社にとってより正確かつ必要な回答を得ることができます。2023年10月現在は、プライベート・
Oracle CloudWorld 2023で発表されたMySQL HeatWaveの新機能
マルチクラウドへの対応の一環としてMySQL HeatWaveはAWSでも利用可能ですが、HeatWave LakehouseもAWSで利用可能となりました。2023年10月現在は限定公開
機械学習機能であるHeatWave AutoMLがHeatWave Lakehouseでも利用可能となり、オブジェクト・
MySQL 5.
GraalVMの統合によるJavaScriptでのストアドプログラム開発
オラクルは新たなJIT
他にもAutoMLの機能拡張や、運用支援機能のAutopilotの機能強化も行われています。こちらは今後の連載で解説予定です。
[PostgreSQL]2023年9月の主な出来事
PostgreSQLの新メジャーバージョン16が遅延無く正式リリースとなりました。また、EDB Postgres Vision Tokyoの様子と、PostgreSQL認定試験の合格者ランキング情報も簡単にお知らせします。
新メジャーバージョン PostgreSQL 16が正式リリース
この連載にてベータ版からお伝えしてきた、PostgreSQLの新しいメジャーバージョン16が、9月14日に正式リリースになりました
バージョン16の目玉機能や主要な変更点は、過去のベータ版情報からお伝えしてきましたが、ここで簡単にまとめておきます。バージョン16のリリースノートの先頭に記された主要な新機能と拡張機能は次の7点です。
- FULLとRIGHTのJOINを問い合わせプランナが並列化できる
[性能向上] - スタンバイサーバからの論理レプリケーションを許可
[論理レプリケーション改善] - サブスクライバが並列ワーカを使用して大きなトランザクションを適用できる
[論理レプリケーション改善] - 新しいビューを使用してI/
O統計の監視を許可するpg_ stat_ io [監視] - SQL/
JSONコンストラクターとID関数の追加 [開発者体験] - VACUUM戦略の改善によりテーブル全体をFREEZEする必要性が減少
[性能向上] - pg_
hba. confとpg_ ident. confファイルの管理が改善されユーザ名とデータベース名の正規表現マッチングや外部設定ファイルのincludeディレクティブが使用できる [アクセスコントロールとセキュリティ]
また、メジャーバージョンのリリースでは、以前のリリースとの互換性に影響がある変更点も含まれていますので、非互換性にも注意が必要です。以下はその一部のみの抜粋です。
- PL/
pgSQLバインドされたカーソル変数の割り当てルールを変更 - 主キーのインデックスを禁止
- システムカタログのインデックスを処理しないように変更
その他も含めてリリースノートでは13点の注意する非互換性が挙げられています。
EDB Postgres Vision Tokyo 2023開催
これも前回にお知らせをした件のつづきです。国内で開催される主要なPostgreSQL関連イベントのひとつであり、OSSコンソーシアムメンバのエンタープライズDB主催のEDB Postgres Vision Tokyo 2023 が9月7日に開催されました。ここでは事例セッションでの講演内容について簡単に紹介します。
- 株式会社NTTデータ・
エービック - オンプレ環境向けに提供していたパッケージソフトをSaaS化するに際して、異種DBMSからEDB Postgresに移行された事例で、企画段階でマイグレーション可能性の検証をしてから移行を実施されました。
- 保険の窓口グループ株式会社
- EDB Postgresを含むPostgreSQLを採用されており、コミュニティの知見が活用できた例として、PostgreSQLメーリングリストでのやりとりにより不具合原因が特定できたケースもあるとのこと。業務システムのバッチ処理ではロングトランザクションもあり、さまざまなクエリやトランザクションを処理できるパフォーマンスが必要であったという例が紹介されました。
- 株式会社フィンズ
- FNS系列23局の放送基幹システムの事例で、前述の事例とは別の異種DBMSからの移行事例でした。この事例については本連載の第96回でも紹介しています。
なお、10月31日までは事後のオンデマンド配信が実施されています。見逃した方にはご聴講をお薦めします。当日に聴講された方の再聴講も可能です。
OSS-DB認定者数上位企業の2023年版が発表
OSS-DB技術者認定はPostgreSQLの技術認定試験で、
9月1日、合格者を多く輩出している企業の2023年版ランキングが発表になりました。ランキングは、OSS-DB GoldとSilverのそれぞれについて、単年の合格者数と、有意性期限
2023年10月以降開催予定のセミナーやイベント、ユーザ会の活動
オンサイト
OSS-DB Exam Silver 技術解説セミナー
日程 | 2023年10月15日 |
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場所 | オンライン開催 |
内容 | 今回のセミナーは、PostgreSQL アーキテクチャのポイントをご紹介しつつ、ポイントインタイムリカバリ |
主催 | 特定非営利活動法人LPI-Japan |
EDB Postgres Vision Tokyo 2023 ~ 今こそPostgresで前進 ~
日程 | 開催中~2023年10月31日 |
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場所 | オンライン開催 |
内容 | 記事本文でも紹介しましたが、PostgreSQL関連の主要なイベントのひとつと言っていいでしょう。EDBが提供する各種Postgres関連サービスを活用したストレスフリーな構築、移行について紹介される他、導入企業の方が各社の取り組みについて語られるセッションもあります。 |
主催 | エンタープライズDB株式会社 |
オープンソースカンファレンス2023 Tokyo/Fall、Shimane、Hiroshima、Niigata、Fukuoka
日程 | 2023年10月21日 2023年10月28日 2023年11月12日 2023年11月25日 2023年12月9日 |
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場所 | 〔Tokyo/ 〔Shimane〕松江テルサ 〔Hiroshima〕サテライトキャンパスひろしま 〔Niigata〕 〔Fukuoka〕福岡SRPセンタービル |
内容 | オンサイト |
主催 | オープンソースカンファレンス実行委員会 |
PostgreSQL Conference Japan 2023
日程 | 2023年11月24日 |
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場所 | AP日本橋 |
内容 | 日本PostgreSQLユーザ会 |
主催 | 日本PostgreSQLユーザ会 |