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コピーオンライトのBcachefs⁠Linux 6.7でマージへ

10月29日にリリースされたLinux 6.6ではさまざまなアップデートが行われているが、プルリクエスト期間中に実装を検討されたもののの、メインラインのマージには至らなかった機能もある。そのひとつがコピーオンライト(Copy-on-Write)のファイルシステム「Bcachefs」だ。Google出身のKent Overstreetが2015年から開発を始めたこのファイルシステムは、長い議論の末、ようやく次のカーネルである「Linux 6.7」にマージされることが確実となった。

Bcachefsは「信頼性と堅牢性、そしてモダンなファイルシステムに期待される機能を完全に備えることに特化したLinux用の高度なファイルシステム」Bcachefsのサイトより)で、Overstreetが先に開発したSSDによるディスクキャッシュ技術「bcache」をベースにしている。開発においてもっとも重視しているのは「堅牢性と信頼性(robustness and reliabilirty⁠⁠」で、現状では100テラバイト以上の環境でも安定してスケールすることが確認されている。さらに、XFSと同等のパフォーマンスを両立させることもゴールのひとつに設定iされている。

2018年ごろからBcachefsのメインラインへのマージが検討されてきたが、2023年に入ってからその動きが加速、とくに開発チームにRed Hatのメンバーが入ったことでテスト環境が充実し、パフォーマンス向上に関連した作業などが大きく前進した。だが、マージが期待されたLinux 6.5(2023年8月)およびLinux 6.6ではサポートが見送られ、とくにLinux 6.6のプルリクエスト期間中、OverstreetがLinusから「カーネル開発の基本ルールに沿っていない」厳しく指摘されたことは記憶に新しい。この件もあってLinux 6.7でもマージは先送りになることが懸念されていたが、意外(?)にもLinusはOverstreetからのプルリクエストをマージウィンドウ開始直後の10月30日に受け入れ、ようやくBcachefsのメインライン統合が確定した。おそらくは2024年最初のカーネルとなるLinux 6.7では、目玉のアップデートのひとつにBcachefsが挙がることになるだろう。

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