JavaScriptの大規模カンファレンス!
JSConf JP 2023参加レポート

2023年10月29日、JavaScriptに関する大規模カンファレンスJSConf JP 2023が東京で開催されました。この記事では、いち参加者として面白かったセッションや企画を紹介します。

JSConf JPとは?

JSConf JPは一般社団法人Japan Node.js Associationによって企画・運営されているJavaScriptに関する⁠お祭り⁠です。日本と海外のWeb開発者を繋げる目的で企画されており、今年で4回目の開催になります。

その目的の通り、キーノートスピーカーが海外の方であったり、スタッフや参加者の中にもちらほら海外の方が見受けられ、国内向けのカンファレンスとしては比較的グローバルに感じる部分がありました。

ロゴがリニューアル✨

今年のJSConf JPでは新しいロゴが使われていました。シルエットはそのままに、富士山や巻き寿司など日本らしい要素が盛り込まれた非常に可愛いロゴになっています。ところどころにある顔がとてもいいですね。そして富士山の麓には何やら文字列が。筆者は残念ながらロゴに書かれている部分だけではどういう意味か汲み取れませんでした。何が書いてあるのでしょうか。

ロゴ

キーノート「There and Back Again: A Proposal's Tale」

キーノートThere and Back Again: A Proposal's Taleでは、Mozilla FoundationでSpiderMonkeyの開発に携わっているYulia Startsevさん@codehagがJavaScriptの言語仕様に新機能が実装されるまでの流れを紹介しました。

JavaScriptに新しい機能が追加されるまでに、その機能提案(プロポーザル)はいくつかのプロセスを経る必要があります。本セッションでは2023年11月28日に正式に言語仕様として導入されたGroupByを例に挙げながら、各プロセスでどのような議論や実装が行われているのかを説明しました。

TC39でのプロセスを紹介するだけでなく、SpiderMonkeyではプロポーザルの機能をどのように実装するのかを紹介したり、まだ言語仕様として正式導入されていない機能を試す方法をその場で実演していたのが特に面白かったです。まさかJSConf JPで一瞬ではありますがC++のコードを目にするとは思いませんでした。

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トークセッション

トークセッションから筆者が興味を持った2つセッションを紹介します。

なお、セッションの模様はYouTube上でアーカイブが公開されているので、ぜひご覧ください(現時点でトラックAのアーカイブはまだ公開されていません⁠⁠。

「Deep dive into Biome」

Deep dive into Biomeでは、Rust製のWeb開発ツールBiomeが紹介されました。

Biomeはリンターやフォーマッター、ビルダーなどWeb開発に必要であるツール群をRustで書き直し、よりシンプルでより高速なツールチェインを提供するために現在オープンソースで開発が進められています。もともとはRomeという名称で開発が進められていましたが、開発していた会社が破綻。それをフォークしたものをコミュニティベースで作り続けているのがBiomeだそうです。

スピーカーはBiomeのコアコントリビュータでもあるDaiki Nishikawaさん@nissy_dev⁠。Biomeの使い方を紹介するだけでなく、既存のツールとの違いであったりコントリビュータとしてBiomeの近況、今後の開発目標もあわせて説明がありました。

Biomeはパーサーから自分たちで実装しており、これからはCSSパーサーが実装されていくそうです(2023年12月現在ではJS/TS/JSX/JSON/JSONCが実装済み⁠⁠。Nishikawaさん以外にも日本人のコントリビュータがいるようで、公式Discordサーバーには日本語で話ができるチャンネルも準備されています。

「書いたJavaScriptがそのままブラウザで動く未来へ」

書いたJavaScriptがそのままブラウザで動く未来へは、PrettierのメンテナやBabelのコミッタであるSosuke Suzukiさん@__sosukesuzukiによる発表です。

JavaScriptはそもそもブラウザ上で動作する言語として世に生まれてきましたが、現代のフロントエンド開発の現場ではTypeScriptやJSXでの記述が主流となってきました。そのようなモダンな技術スタックにおいては、JavaScriptを生で書いてそれをそのままブラウザ上で動かすことがここ10年ほどでなくなりつつあります。

このセッションではTypeScriptやJSXで書かれたプログラムがブラウザ上で動作するために必要なビルドプロセスを複数のステップに分割し、そのステップが今の技術、もしくは今後実装されるであろう技術でなくすことができるのか?というところに焦点を当てて話がありました。

Suzukiさんの結論としてはしばらく難しそうとのことでしたが、その結論に至るまでの説明も詳細にされており、現在や今後のJavaScriptのシステムを理解するにあたって非常にためになる視点・話題で溢れていました。

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Tシャツ&トートバッグ

参加者にはトートバッグとTシャツが配布されました。Tシャツには先ほども紹介したJSConf JPの新ロゴが大きく印刷されており、ロゴの配色とTシャツの色がマッチしておりとても可愛かったです。なお、Tシャツもトートバッグも会場でブースを出されていたSheleoniさんによるデザインです。

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トートバッグには亀が描かれていました。この亀については、Node.jsのマスコットを考えるIssueにてデザインの説明がされているので、興味がある方はご覧ください。このトートバックを見て、Node.jsのマスコットが現在進行系で考えられているのを初めて知りました。

フリードリンク

JSConf JP 2023ではフリードリンクとしてお茶やジュースの他、スターバックスのコーヒーが提供されていました。エンジニアはやはりコーヒーが大好きなのか、休憩時間には多くの人でドリンクエリアが盛り上がっていました。

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以上、JSConf JP 2023のレポートでした。

コロナの関係もあり筆者は今年初めてJSConf JPにリアル参加してきました。最近はJavaScriptやTypeScriptばかり書いているため、何か自分で試せる最新情報がないかと思い参加しましたが、BiomeやHonoなどまさにこれからなツール・ライブラリに出会えて最高にワクワクしました。また、日本語の発表だけでなく、英語の発表もあったりと色々な国の方々と交流する機会が存在しており、開催趣旨通りのイベントだったように感じています。

運営の方々はこの規模のイベントの企画や準備が大変だったとは思いますが、来年もぜひ開催してほしいと思えるとても楽しい⁠お祭り⁠でした。2023年の参加を逃してしまった方も、次回は参加してみてはいかがでしょうか。

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