モバイルAI端末「rabbit r1」発表
AIハードウェアスタートアップのrabbit inc.は、モバイルAI端末
78ミリ×78ミリ×13ミリ程度の小さなデバイスに、2.
これは、さまざまなアプリやサービスの操作手順を学習後、スクリプト化してユーザが発する自然言語からユーザの意図を汲み取りスクリプトを実行します。
スマホのように、いくつかのアプリの操作方法を覚えてタスクをこなす必要がなくなり音声だけでタスクが完結します。初期バージョンでは、英語でしか操作できませんが、日本語も対応計画に入っているので楽しみなデバイスです
価格は199USドルです。予約注文を受けており、CEOがイースターのころまでには出荷したいと語っています。もの凄い人気のようで、初回出荷分は1日で売りきれ、3回目の出荷分まで売り切れとなっています。生産体制はわかりませんが、今、注文しても夏ごろの到着になるかもしれません。
言うだけが一番簡単なのは皆がよく知ること
音声入力で、一連の操作が実行できるのはインパクトがあります。
売り文句のようにスマホで何かをしようとしたときに、どのアプリを使って、どう操作してやりたいことを済ませようかと考える必要なく、言うだけで済むのであれば画期的です。
たしかに、音声操作であればアプリの操作を覚える必要はありませんが、普段の会話を振り返ってみると冗長な話し方をしていることが多々あり、音声にすれば万事解決とはいかないはずです。
たとえば、音声操作ができるGoogleアシスタントやAmazon Alexaでは、どれだけ冗長さを持たせたシナリオを持って、音声コマンドの入力を受け付けるかがデザインのポイントです。アプリでもUI検討時には、新たな学習することなく、そして、ストレスなく使いこなせるような工夫します。
rabbit r1の音声コマンド解析に、どのような仕組みが使われているかはわかりませんが、秘策でもない限りやっていることは大きく変わらないはずで、使う際には機械が理解する話し方や発話の仕方をする必要があるのかもしれません。
ただ、巧みに感じるのは、トランシーバのようにボタンを押さえている間だけ音声を受け付ける作りになっているところです。こうすることで、ユーザは機械を操作する意識に切り替わるので、前もって要件を整理して、冗長な話し方をせず、機械が認識できる言葉で発話するはずです。これを狙ってやっているとすれば、音声に長けた人たちが集まって巧みにデザインされていそうです。
新・旧混在のデザインがおもしろい
rabbit r1の魅力は音声をトリガーにして、ユーザの意図を踏まえてタスクを実行してくれるところです。しかし、実行タスクを自己完結して結果報告だけをするのではなく、ユーザの確認が必要な局面では、音声だけでもなく画面にも表示して確認を求めます。
この画面の操作は、多くのユーザが知った方法で、画面に表示された確認ボタンをタップすれば決定となりタスクの実行が完了します。操作時の主導権はユーザ側にあり、それから見た時の振る舞いは想像できる範囲を超えすぎないようにデザインされているようです。
タスク処理のために機械学習の技術が使われますが、ユーザインターフェースは、機械学習の成果を過度なところまで使うことはせず、これまで慣れ親しんだ延長線上にとどめている所もバランスが良いと感じます。
端末デザインは、Teenage Engineeringとの共同開発です。Androidでいえば、Nothing Phoneも同社がデザインを担当しています。
初見は、オレンジ色の端末カラーに目を奪われましたが、詳しくみると手で回転するカメラや音声入力ボタン、スクロールホイールを備えた端末は、昨今のスマホと比較して物理的に操作可能な要素が多くあり野暮ったいと感じました。筆者が色眼鏡で見ているからかもしれませんが、こうした部分も操作している感覚を重要視した結果なのかもしれません。
スマホの代替ではない
rabbit r1は、スマホの代替えとはしていません。日ごろの面倒を解決してくれるデバイスで、デジタル執事のような存在です。こうなると、今のスマホでもソフトウェアで同じことが実現できるのではないかとも考えます。
rabbit r1に触発されて、GoogleやAppleが本気を出し始めると規模の違いで太刀打ち出来ないかもしれませんが、まだ少し先の話だと思うので、今は目が離せない存在です。
今週は、このあたりで、また来週。