「Gentoo Linux」を開発するGentooプロジェクトは12月29日、「Gentoo goes Binary!」と題したアナウンスを発表、これまで一部のソフトウェアに限られていたビルド済みバイナリパッケージの提供を拡大し、より多くのバイナリパッケージを直接ダウンロード/インストールできるようにホスティングしていく方針を明らかにした。Gentooといえば「ソースコードからビルド」のイメージが強い
が、今後はそのイメージも若干変わるかもしれない。
Gentooは現在、Gentooバイナリパッケージホスト(Gentoo binhost)を介して各アーキテクチャに対応したバイナリパッケージを体系的に提供しており、とくにamd64およびarm64アーキテクチャに関しては、LibreOfficeやGNOME、KDE Plasmaといったサイズの大きいデスクトップアプリケーションを含め、利用可能なバイナリパッケージを毎日更新している(他のアーキテクチャはコアシステムのみ、毎週更新)。また、12/31付のamd64/arm64のStage 3ファイルにはすでに最適なバイナリパッケージホストを設定した構成ファイル(/etc/portage/binrepos.conf)が含まれている。
Gentooはこれまでもパッケージ管理システム「Portage」でバイナリパッケージのダウンロード/インストールをサポートしていたが、今回のようにビルド済みのバイナリパッケージを管理するリポジトリの提供は行っていなかった。Genooプロジェクトは12/29のアナウンスで「(バイナリパッケージのホスティングをスタートしたことで)遅いハードウェア上の作業を高速化し、全体的な利便性を高めることが可能になる」とコメントしているが、GNOMEやKDE Plasmaといったサイズの大きいアプリケーションをソースコードからコンパイルして使えるようにするには非常に時間がかかることが多かったため、ロースペックのハードウェアユーザに限らず、より広い範囲のユーザが歓迎するアップデートだといえる。
なお、アナウンスでは「Gentooはいまもソースベースのディストリビューションであり、コンパイル作業をまったく必要としないバイナリオンリーのインストレーションを目指しているわけではない」とも明記されており、Gentooプロジェクトはパッケージをソースコードからコンパイルして利用する方法もこれまで通り提供していくと強調している。むしろバイナリパッケージへのアプローチを拡大したことで、Gentooの魅力である「ユーザに選択の自由と柔軟性を提供する」というコンセプトがより際立つことになりそうだ。