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妻殺害で服役中のReiserFS作者⁠LKMLに謝罪の手紙

私は(LKMLに)直接投稿することができない。2006年に妻のニーナを殺害して投獄されているからだ(I don’t post directly because I am in prison for killing my wife Nina in 2006.)―1月18日付けでフォントデザイナー兼8chan創設者として著名なFredrick Brennanがカーネル開発者向けメーリングリスト「LKML.org」に投稿した内容がLinux関係者の間で話題を呼んでいる。2006年に妻のNina Reiserを殺害した容疑で逮捕され、第一級殺人罪で有罪判決を受けたReiserFS開発者 Hans Reiserが獄中からBrennanに宛てた手紙の全文が掲載されていたからだ。

Brennanは2023年10月、Reiserに宛ててReiserFSがLinuxカーネルから削除される予定であることを伝える手紙を書いており、その返事と返事の公開を求めたところ、11月にReiserから手書きで2通に分けて返信が届き、LKMLでの公開に至っている。

2通目は30枚近い紙数におよぶ非常に長い手紙となっており、Linuxコミュニティへの謝罪、ReiserFS V3の振り返り、ともに開発していた仲間や企業への思い、刑務所内での"社会的スキル"獲得の取り組み、ファイルシステムや名前空間に対して抱いた夢、ロシア人やロシア文化に対する思い(殺害された妻はロシア人)などが綴られている。手紙の最後には「話し合いを通して問題を解決する、そして話し合いで解決できるということを信じ、それを実行する ―私は刑務所でこれらのことを学んだ。結婚する前やLKMLに参加する前にこれらのことを学んでおければよかったのだが。こうしたことが小学校で教えられるような日が来ることを願っている」と書かれており、自身の対人/対話スキルに大きな問題があったことを後悔している様子がうかがえる。

LKMLで公開されているReiserからの手書きの手紙の画像(一部)
公開されているReiserからの手書きの手紙の画像(一部)

2001年にメインラインにマージされ、一時はLinuxにおけるジャーナリングファイルシステムの草分け的存在でもあったReiserFSだが、Reiserが2006年に逮捕されてからは開発が縮退し、Btrfsやext4といったモダンなジャーナリングファイルが主流となったこともあって、カーネル開発者の間ではReiserFSの削除を求める声がしだいに大きくなっていった。2022年5月リリースの「Linux 5.18」で非推奨となり、以前はデフォルトでReiserFSを採用していたSUSE/openSUSEもすでにReiserFSのサポートを終了、2023年10月リリースの「Linux 6.6」ではメインラインでのサポートも正式に終了しており、2025年にはReiserFSのすべてのコードがLinuxカーネルから完全に削除される予定となっている。Reiser自身の出所も近いと見られているが、それも含め、ReiserFSのすべての歴史が幕を閉じる日は刻一刻と近づいている。

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