Web担当者のためのGA4ことはじめ

UAとGA4って何が違うの

この記事では、これまで、ユニバーサルアナリティクス(これまで長く使われてきたGoogleアナリティクス)を使ってWebサイトのアクセス解析を行っていた方向けに、新しいバージョンとなる「Googleアナリティクス4(GA4⁠⁠」との違いについて解説します。

前回は、ユニバーサルアナリティクス(UA)をこれまで使ってきた人が、GA4のタグを追加するときの操作方法を中心にお伝えしました。今回はUAとGA4の違いについて見ていきます。

UAとGA4の大きな違い

さまざまな違いがあるのですが、ここでは大きな違いとして以下の2つの特徴を挙げます。

①「ページへのアクセス」ではなく「ユーザーの行動」にフォーカスを当てた計測

UAでは、ページビューセッションといった単位で数字が計測されていました。そこから直帰率や離脱率などが計算されていましたよね。

GA4では、基本となる計測の単位がイベントに集約されています。たとえば以下のイベントはGA4で設定すると自動的に記録されます。Webサイトにアクセスしたユーザーがどういうアクションをしたか、というのが基本になっているのですね。

GA4の項目
GA4の項目

アルファベットなのでなんだか見づらいですが、まあだいたい見慣れた言葉にできます。

イベント名 カタカナ 意味
page_view ページビュー UAの「ページビュー」と同じ意味
user_engagement ユーザーエンゲージメント 1秒以上ページを表示
session_start セッションスタート セッションのはじまり
scroll スクロール ページの最下部(90%)までのスクロール
first_visit ファーストビジット 初回訪問
click クリック 外部サイトへのリンククリック

この中で「ユーザーエンゲージメント」という言葉だけちょっと聞き慣れないかなと思います。これが、次に取り上げるGA4の2つ目の特徴です。

②「エンゲージメント」という考え方が加わった

「user_engagement」のイベントは、GA4で新しく加わった指標です。1秒以上ページが表示された際にカウントされます。

「エンゲージメント」とは、Googleではサイトやアプリに対するユーザーの操作と定義されています。Webサイトにアクセスをしたあとでユーザーが操作を行うと「そのサイト(ページ)に関心を持ってなんらかの行動をしている」とみなし、⁠エンゲージメント」として記録されるのです。このイベントが発生してから、そのページを離脱するまでの時間が「エンゲージメント時間」として記録されます。⁠ページに滞在した時間」とほぼ同義です。

2つの特徴を実際の画面で比較してみる

UAの表を見てみる

直帰率が入っていたり、ページ/セッション(1セッションの中で見られたページ数)があったりします。

UAの「集客」→「すべてのトラフィック」→「チャネル」の表
UAの「集客」→「すべてのトラフィック」→「チャネル」の表

GA4で同じような表を見てみる

同じサイトの数字を同じ期間で、GA4で出してみたのが以下の画像です。右にスクロールするとさらに項目があります(ユーザーやセッションの数字が違う理由はこのあと解説します⁠⁠。

GA4の「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」の表
GA4の「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」の表

項目名が長すぎて途中で省略されていて見づらいのですが、内容としては以下になっています。エンゲージが中心となった項目になっていることがわかります。

  • ユーザー
  • セッション
  • エンゲージのあったセッション数
  • セッションあたりのエンゲージメント時間
  • エンゲージのあったセッション数(ユーザーあたり)
  • セッションあたりのイベント数
  • エンゲージのあったセッションの割合
  • イベント数
  • コンバージョン

たとえば、⁠エンゲージのあったセッション数」というのは、

  • 10秒以上継続した
  • コンバージョンイベントが発生した
  • 2回以上のページビュー(Webの場合)

のいずれかが発生したセッションの数です。

ユーザーが関心を持っているかどうかをこういった基準で判定して、⁠エンゲージ」としているのですね。

ここでちょっと補足ですが、さきほど出てきた「user_engagement」というイベントは、⁠エンゲージメント時間(ページ滞在時間⁠⁠」をカウントするために使われます。この表の「エンゲージ」はまったく定義が別で、混乱しやすいところかと思います。

UAとGA4で数字が違うのはなぜ?

画面を比較すると、同じ「セッション」⁠ユーザー」という項目名なのに、UAとGA4で数字がちょっと違うのがわかると思います。これも、UAとGA4の考え方(計測方法)の違いによるものです。

セッションの計測方法

UAとGA4は、1セッションを以下のように計測します。

  • UA:1セッション=「最初にサイト内のページを見たとき」から「最後のページを見て離脱したとき
  • GA4:1セッション=「session_start イベントが発生したとき」から、⁠最後のイベントが発生したとき

これだけを見ると、そこまで数字が変わらないのでは?と思うかもしれませんが、実はUAとGA4では、⁠別セッションとしてカウントする条件」が異なっているのです。

別セッションとしてカウントする条件の比較

日をまたいだ場合 異なる流入元 セッション最大時間 別セッションとしてカウントする間隔
UA 別セッション 別セッション 24時間 30分
GA4 同じセッション 同じセッション 制限なし 30分

とくに「日をまたいだ場合」「流入元が異なる場合」の処理の違いから、数字としてUAよりもGA4のほうがセッション数が少なく出やすいということがいえます。さきほどご紹介した画像でも、GA4のほうがセッション数が少ないことがわかります。以下の例を見ると考えやすいと思います。

例1:同じ人が日付をまたいでアクセスした場合

UAでは前の日と次の日でそれぞれセッションがわかれるが、GA4では1つのセッションとして扱われる
UAでは前の日と次の日でそれぞれセッションがわかれるが、GA4では1つのセッションとして扱われる

例2:Google検索でアクセスした人が、30分以内にYahoo!で検索して再アクセスした場合

UAではGoogleとYahoo!からのアクセスで2セッション、GA4ではまとめて1セッションとなる
UAではGoogleとYahoo!からのアクセスで2セッション、GA4ではまとめて1セッションとなる

ユーザーの識別方法

GAが同一ユーザーからのアクセスとみなすための識別方法は、以下のとおりUAでは2種類、GA4では3種類あります。初期設定での優先順位がUAとGA4で異なっているため、ユーザー数のカウントが異なってくる場合があります。

UserID

UAでもGA4でも利用されます。計測対象となっているサイトがログインを求められるものの場合に使われます(ECサイトや会員制サイト、SNSなど⁠⁠。識別方法の優先順位はこれが一番高いです。

Googleシグナル

GA4のみで利用されます。Googleにログインしている人であれば、さまざまなデバイスからアクセスしても1ユーザーとしてカウントします。Googleシグナルを利用することで、アプリとWebを横断したアクセスの際も1ユーザーとしてカウントすることが可能になります。

GA4ではUserIDが取得できなかったときに利用されます(GA4の設定でGoogleシグナルを有効にする必要があります。また、ある程度のデータ量がないと使えません⁠⁠。

クライアントID

UAでもGA4でも利用されます。ブラウザのCookieを利用するため、同じユーザーが別のブラウザを利用した場合は別のユーザーとしてカウントされます。

UA、GA4ともに、一番低い優先順位で利用されます。

「ユーザー」の定義の違い

識別方法の違いの他に、⁠ユーザー」という項目名の定義として、UAは単純に「ユーザー数の合計」ですが、GA4は「アクティブユーザー数」を基本としています。アクティブユーザー数とはGA4で新しく追加された指標で、1秒以上ページを前面に表示させた場合に発生します。このため「ユーザー数」よりも数値が減る場合があります。

計測方法と定義についてまとめると、以下のようになります。

ユーザーの識別方法(優先順位順) ユーザーの定義
UA UserID→クライアントID ユーザー数の合計
GA4 UserID→Googleシグナル→クライアントID アクティブユーザー数

GA4では「自分のサイトに関心を持っているユーザー」がより正確に可視化できる

ここまでお話してきた通り、UAとGA4では考え方が大きく異なっています。UAはこれまで一般的に「アクセス解析」と呼ばれてきましたが、GA4では「アクセス」というよりは「ユーザーの行動」を解析するようになっていることがわかるかと思います。同じ言葉でも意味が違ったり、今まで聞いたことのない言葉が出てきたりするので、とりあえず頭の切り替えが必要だなーということがおわかりいただけたかと思います。

でも、UAではあまりはっきりわからなかった「ページ内での行動」が可視化されることで、GA4ではこれまでよりも「サイトへの関心度」を把握できると言えると思います。

結局このようなツールは自分のサイトに関心を持っているかどうかを確認するためのものです。より細かくそれを見ることができる点でGA4は優れたツールであると思います。

GA4自身も日々進化をしていて、突然機能や指標が増えたりしています。

私たちもGA4の感覚に慣れて、進化していきたいですね!

次回は、UAで見ていた「直帰率」「離脱率」といった数字はどうなっちゃうの?というお話をしたいと思います。

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