はじめに
こんにちは! 片寄 里菜
PyCon Thailand 2023とは
PyCon Thailand 2023は、Pythonプログラミングに関するトークや最新情報やタイでの開発トレンドを知ることができるカンファレンスです。タイ国内のみならず、アジア・
メイン会場はバンコクの中心部に位置しており、快適な移動と観光できるスポットのちょうど良い場所でした。こちらの写真にあるように、Avani Sukhumvit Hotelの7階の会場で開催されました。
スカイトレインと言われるBTS
タイのチーム、開催への想い
PyCon Thailandの想いは、公式Facebookの投稿にこのように書かれていました。
PyCon Thailand is a national conference for Python developers in Thailand. Whether you are an experienced programmer, a hobby hacker or an absolute beginner, we'd love to welcome you to the Python community. PyCons are hosted all around the world, mostly organized by volunteers from local Python communities. This means that each PyCon is unique, although all PyCons share the same spirit — to spread knowledge, learn from each other and make lasting connections.
日本のPyConと同じく、タイでもPythonを通じて交流し合うのが重要な目的なんですね。
実際に参加して
バンコクには何度も訪れているのですが、PyCon Thailandとしては2019年以来2回目の参加となります。もともとタイの国自体が好きだったこともあり、カンファレンスの参加と相まって予想以上に刺激的な体験になりました。
タイ語の発表はもちろん、タイで注目されている
カンファレンス自体も、Pythonコミュニティの多様性と包括性を体現していました。参加者は世界中から集まり、さまざまなバックグラウンドを持つ人々のトークから学ぶことができました。多くのセッションが英語とタイ語の両方で行われ、地元の参加者と外国からの参加者の両方に配慮されていいました。また、会場内の飲食スペースでは地元の料理を楽しむことができました。
一番驚いたのは、スタッフの間では英語も多用していたことです。私はPyCon JPやPyCon APACの運営を日本で行った経験がありますが、スタッフ間の会話で英語を使うことは少なかったです。
日本からの参加者
日本からは私を含め、3人が参加しました。そのうち登壇者として参加したのはTetsuya Hirataさん、私
このように私自身が聴く側の参加だけではなく登壇者として参加したことで、より深く関われたのではないでかと思います。
会話について
上記のように会話のほとんどは英語です。私は英語が得意ではないのですが、なんとか追いつこうと見よう見まねで英語で会話&発表し、良い経験を得ました。そしてとてもたくさんの学びがありました。
どのようなセッションがあったのか
セッションの内容も非常に充実していました。Pythonの基礎から応用までさまざまなトピックが取り上げられており、AIやMachine LeaningのトピックやPythonとExcel、GISの話題など、初心者の方でも理解しやすかったものもあったようです。詳細は公式WebのScheduleから確認できますが、ここでは私が気になったトークが2つありましたので紹介します。
気になったトーク① Visualizing Formula 1 Performance based on F1 Telemetry Data
- Visualizing Formula 1 Performance based on F1 Telemetry Data
- Dima M Dinamaさん
Formula1
気になったトーク② When Python Meets Excel for Real
- When Python Meets Excel for Real
- Satangmongkolさん
PythonとExcelについてを話すトピックはなかなかなかったので、実際にどのように使っているのかが気になりました
KasidisさんはDigital Analytics Managerという肩書きをもっており、DataRockieというオンラインススクールのオーガナイザーです。PyCon Thailand 2023のスポンサーでもありました。帽子を被った少年のイラストは何だろうと思ったら、彼のアイコンのようです。また、今回のトークでもツバの付いた帽子を逆にかぶる姿で登壇し、どうやら彼のトレードマークのような感じがしました。
Facebookページでは2022年8月現在10万人以上のフォロワーがいるようです。彼はトークにとても慣れているようで、トーク中の歩き方や絵の仕草もベテランのように感じました。
トピックの中で
私の登壇について
タイトルと概要
タイトルは
ざっくり言うと、PythonとOpenCVライブラリを使用して、PCのWebカメラからオブジェクト (主に人の顔) を検出する方法についての紹介です。さらに、顔や人が認識されたときにどのようなアクションを実行するかを条件分岐を組み込んで説明しました。このほか、2023年に行われたPyCon APAC 2023の座長経験について語りました。
登壇の流れ
タイ スタッフの司会の方がまず私を紹介し、そこからトークが始まりました。まず驚いたのが、プロレスの入場のようにトークの開始時に場を盛り上げてくれた登壇者紹介です。思わずニコリとしてしまうような登壇者紹介に
トークは自己紹介から始まり、PyCon APAC 2023の開催状況をさらっとお話しした後、本題に入りました。なぜこのタイトルなのか、OpenCVについての利用法などから背景、概要、トピック、登壇内容をまとめ、トークを進めて行きました。
今回のトークで皆さんに一番知ってもらいたいことは、PythonのコードとOpenCVライブラリ&カスケード分類器をインストールするだけで物体検出ができるという楽しさです。
実際に紹介したPythonコードを実行すると、このように人の顔が検出されます。今回は例として顔以外も検出されてしまった失敗例も紹介し、現段階でのコードは完全ではないことを説明、それがあることで改善点を示すことができます。
質疑応答に関しては、登壇中は行わないお願いをし、登壇が終わってからオープンスペースか懇親会で話しましょうというスタイルにしました。実際に懇親会で質問や意見があり、OpenCV以外の似ているライブラリやライブのデモンストレーションのより良い方法を知ることができ、自分自身とても勉強になった気がします。
うまくいったこと、いかなかったこと
海外登壇は英語が基本です。当たり前ですが日本語は通じません。英語の登壇資料は発表直前まで考え、その登壇内容をスマートフォンに送り、それを見ながら登壇をしました。うまくいった点と言えば、全部英語でやりきれたこと。もちろん、ネイティブスピーカーと比べて改善点はありますが、終わったときはとても嬉しかったです。
しかし、大きな失敗もありました。OpenCVを使い、PCのWebカメラでデモンストレーションをしようとした時のことです。ライブデモは失敗がつきもの、と先人たちから言われていたのですが、前日まで動いていたPythonコードが直前で起動しなくなり、実際にリアルタイムでカメラを使ったデモンストレーションするところがうまくいきませんでした。タイのスタッフさんによるサポートもありましたが起動できず、一部残念な結果となりました。駆けつけてくださったタイのスタッフさんにはとても感謝しています。
おそらくPythonコードからMacBookのカメラに繋ぐところで、何かが止まっているようでした。やはり、ライブでのデモンストレーションは怖いですね。私の勉強不足でもありますので、次は何か対応策を考えて臨みたいと思います!
ライトニングトーク
5分登壇のLT
なお、寺田さんによるPyCon Thailand 2023のインタビュー動画が公開中です。こちらもご覧になってください。
さまざまな参加者との交流
Pythonコミュニティとの交流も楽しい一面でした。カンファレンス前日
懇親会でもらった素晴らしい意見
私のOpenCVについての登壇後に、かなりコアな意見をいただきました。イスラエルのエンジニアから教えていただいたScale-invariant feature transformというもので、日本語ではスケール不変特徴変換
開発者やエンジニアとの交流
開発者やエンジニアとの交流の場も用意されていました。Break Timeの間にはホワイエの場所でタイならではのおやつも振る舞われ、参加者同士でのコミュニケーションも活発に行われていました。
カンファレンス初日の夜に行われたオフィシャルパーティやカンファレンス最終日夜の有志による懇親会など、これまで知り合えなかった人たちと繋がることで、新たな発見やインスピレーションを得ることができました。また最終日の夜の交流会ではキーノートスピーカーであるポーランドから参加のŁukasz Langaさん、台湾から参加のChia-liang Kaoさん、オーストラリアから参加のAnthony Shawさんも参加し、Pythonのコアな話からコミュニティの関わり方など、国を超えての意見が飛び合いました。
自分自身のスキルアップやキャリアの可能性を広げるためにも、こうした交流の場はとても重要なものだと感じました。そして多くの方がソーシャルネットワークサービスとしてLinkedInを使っていることがわかりました。
スタッフとの交流
今回はカンファレンスの組織や運営の裏側も見ることができました。私はPyCon JP 2022、PyCon APAC 2023で座長として日本でのカンファレンス運営に携わってきました。今回のカンファレンスの準備や運営も多くの人々が関わっていることを知り、彼らの熱意や努力に感銘を受けました。座長のJames KaninさんとChang Phanthipさんはチームをよくまとめ、とても活発にチーム運営に尽力している様子が伺えました。彼らをはじめ、多くのスタッフが関わり、イベントがスムーズに進行することは、参加者にとってもより良い体験になっていたと思います。
交流を通じスキルアップできたか?
最新の技術情報を得ることができただけでなく、他の参加者との交流や意見交換を通じて自分のスキルアップにもつながりました。最も大きかったのは日本語は一切使えない状況で各スタッフと英語で事前確認し、発表を英語で行うことです。ふだん日本では英語を使うべき場でも日本語に甘えてしまいますが、今回はそれを乗り越え海外登壇の経験でスキルアップできたのではないかと思います。さらに多くのプロフェッショナルな方々との出会いが、将来の活動やキャリアにも影響を与えることになるかもしれません。
私は今後もPyCon Thailandに参加する予定ですし、同様のイベントにも積極的に参加していきたいと思っています。Pythonプログラミングの最新動向やトレンドをキャッチアップするためにも、こうしたカンファレンスは欠かせないものだと感じます。PyCon Thailandの次回の開催は2年後の2025年だそうです。2024年は力を蓄える時期でしょうか。
最後に
最後に、参加を検討している方に向けてアドバイスをお伝えします。まずは、自分の興味関心に合ったセッションやトピックを選ぶことをお勧めします。たとえば、私はロボットやドローン、ハードウェアに関する事に関心があります。将来的にはPythonでロボットを作れたらいいなと思い、Raspberry Pi×Pythonでハードウェアを動かしたり、カメラ×Pythonでロボットの目となる機能をプログラミングしたりといったことを考えています。皆さんはどのようなトピックに興味がありますか?
はじめは1人かもしれません。私もPyCon JP 2017に参加したときは1人でした。カンファレンスで積極的に交流することで新たな発見やつながりが生まれるかもしれません。ぜひ友人や他の参加者とコミュニケーションを取ることをお勧めします。
全体として、PyCon Thailand 2023はテクノロジーと文化の素晴らしい融合カンファレンスだったと感じます。バンコクの街並みは日本の都市とはまた違う活気もあり、日々進化しています。バンコクでの開催はカンファレンスを一段と特別なものにしました。
PyCon Thailand 2023をはじめ海外のPyConは、Python学習者やプログラマにとって本当に貴重な経験となるカンファレンスです。最新の技術情報を得たり交流することで新たなアイデアやインスピレーションを得ることができます。次回のタイでの開催は2025年、ぜひこの機会にPyCon Thailandに参加してみてください。きっと素晴らしい体験が待っています!
PyCon Thailand 2023の詳細は公式サイトから見ることができますので、こちらもぜひご覧ください。