Fedoraプロジェクトは2月9日、Fedora Spins(GNOME以外のデスクトップ環境を実装したフレーバー)に含まれるデスクトップOSの新ブランド「Fedora Atomic Desktops」を発表した。Red Hatが開発するハイブリッドなパッケージ管理システム「rpm-ostree」をベースに、GNOMEやKDE Plasmaといったデスクトップ環境を実装した“アトミック(atomic)”なスピンの総称で、現時点では4つのスピンが含まれている。
Fedora Atomic Desktopsブランドに含まれる4つのスピンは以下の通り(カッコ内はベースにしているデスクトップ環境/Waylandコンポジタ)。
- Fedora Silverblue … 既存のFedora Silverblue(GNOME)
- Fedora Kinoite … 既存のFedora Kinoite(KDE Plasma)
- Fedora Sway Atomic … Fedora Sericea(Sway)から変更
- Fedora Budgie Atomic … Fedora Onyx(Budgie)から変更
今後、Fedora Atomic Desktopsにスピンが追加される場合は「Fedora (デスクトップ環境) Atomic」という名前が付くことになる。なお、SilverblueとKinoiteに関しては「すでにひろく知れ渡っている名称であるため、あえて変更せずに既存の名前を維持する」(Fedoraプロジェクト マーケティング担当 Joseph Gayoso)という方針だという。
今回のブランド変更で“アトミック”を前面に出した理由として、Gayosoは以下の3つのポイントを挙げている。
- 現時点ではアトミックなバリアントをもっていないが、実験的なチャレンジが始まっているスピンがいくつかあり、近い将来にそれらを受け入れ可能な統合的なアンブレラとしての機能
- アトミックスピン(rpm-ostreeベースのスピン)について話題を共有する場所
- rpm-ostreeのアプローチは“imuutable(不変)”よりも“atomic(原子的)”と表現するほうが適切である
新ブランドの中心的存在であるFedora Silverblueはもともと「Fedora Atomic Workstation」という名称であり、さらに遡れば2014年にRed Hatがスタートしたコンテナ実行環境に特化した「Project Atomic」(すでに終了)に端を発している。アプリケーションデプロイメントの文脈では“コンテナ環境=immutable”で語られることが多いが、Red Hat/Fedoraは従前から「rpm-ostreeで実装されたOS(コンテナホスト環境)は、不変性よりも原子性によって説明されるほうが適切である」と主張しており、その主張が今回のブランド再編に強く表れたといえる。今後はFedoraファミリのコンテナベースOSであるFedora CoreOSやFedora IoTとも協調しながら、アトミックなOSとしてのブランド確立を図っていく。