本連載では今回からAutodesk Fusion
Fusionは機能限定版の個人用があり、非商用利用であれば無償で使えます。無償版の場合は同時に編集できるデザインは最大10個までですが、現実的にはそれほど問題にならないでしょう。多少の操作感の違いはありますが、もちろん他の同様なCADソフトウェアである、FreeCAD・
今回はFusionの基本的な機能の概要と、OpenSCADでは実現しにくかったいくつかのディテールの作成方法を紹介します。Fusionに限らず、このようなCADソフトウェアを扱えるようになることで3Dプリントできるモデルの幅がぐっとひろがります。
スケッチからソリッドへ
Fusionでは厚みを持たない2D/
前述の通りFusionおけるソリッドとは厚みを持っているオブジェクトのことで、そのオブジェクトを指す場合にボディと呼びます。今回は紹介しませんが、厚みを持たないサーフェスという3DオブジェクトもFusionには存在します。ちなみにサーフェスのインスタンスもボディと言います。
OpenSCADでも平面に図を描画してから押し出しを使って3Dモデルを作成することは可能でしたが、図を構成する点や線の位置は絶対座標で指定する必要がありました。Fusionでは拘束という概念を利用して、相対的な位置関係を指定できます。
例えば、
以下の図では2つの直線が交わる部分で三角やトンカチのようなマークが3つあります。これらは三角から時計回りに
これらの線がつながり、閉じた形となったものをプロファイルと呼びます。任意のプロファイルを指定し押し出しを行うことで3Dモデルを作成できます。以下の図ではプロファイルと認識された部分が水色になっています。
また、Fusionのスケッチでは通常の線とコンストラクション線のどちらかを指定できます。プロファイルは通常線でのみ作成され、コンストラクション線では作成できません。つまりコンストラクション線からは押し出しはできません。コンストラクション線はいわゆる補助線と考えてよいでしょう。コンストラクション線を上手に使えば押し出しの邪魔をせずに拘束を追加できます。
ポストプロセシング
3Dモデルの形ができたあとにポストプロセシングができるのもFusionの魅力です。OpenSCADではひとつの式が実行された後でさらにその3Dモデルを変更することはできませんでしたが、Fusionならばすでにできあがった3Dモデルそのものはもちろん、そのモデルを構成する辺や面に対してあとから様々な処理ができます。
OpenSCADで簡単に行えない、しかし非常に実用的なポストプロセシングの一つがいわゆる面取りです。面取りとは任意のボディに存在するエッジ
面取りを行わないと、プリントされたアイテムを手に持った時にそのエッジが手に食い込んで持ちにくくなります。小さい差ですが、手に持って使う部品などではできあがりがこれだけで大分違ってきます。
またプリントした際にプレートとの接地面が比較的大きいモデルはプレートからはがすのに苦労しがちですが、これらのモデルの接地面のエッジに面取りを行うとエレファントフットを軽減できるとともにプレートからはがしやすくなります。
面取りは直線的に該当部分を補正しますが、フィレットは滑らかな曲線で同様の処理を行います。フィレットのほうがデザイン的に美しいことは多いですが、3Dプリントの実用的な面においては面取りで充分なことが多いです。
そしてもうひとつよく使う機能がプレス/プルです。これは任意のソリッドのボディを構成する面を選択すると、その面を指定した距離だけ直線方向に動かせるものです。この機能はは例えば複数のボディのクリアランス
以下の図では以前の記事で作った、立方体の中心を円柱が通るモデルのクリアランスを設定しています。
これらの機能を使うと以下のようなモデルが完成します。本連載第3回でOpenSCADを使ってデザインした際にはなかった上下の面取り、縦のエッジのフィレットなどが存在するのがポイントです。是非そちらとも見比べてみてください。
次のステップ
ここまで大分話が長かったですが、モデリングの基本とより高度な表現力を