Linux Daily Topics

Linux 6.8リリース⁠メインラインのGitオブジェクト数はまもなく1000万に

Linus Torvaldsは2024年3月10日(米国時間⁠⁠、⁠Linux 6.8」の正式版を公開した。通常のカーネルサイクルと同様に開発期間に約2ヵ月、7本のリリース候補版を経ての公開となる。

Linusはリリースにあたって「いくつかの作業に行き詰まりはあったが、リリースを予定より遅らせる理由は何もない。Linux 6.8はすべての点で平均的なリリースで、新しいファイルシステムやアーキテクチャの採用はない。目立つことといえば、Gitオブジェクトの数が1000万未満となる最後のメインラインカーネルになることくらいかな。オブジェクトの数は999万6,000個に達しており、linux-nextツリーではすでに超えている。もっともすばらしくキリが良い数字という以外に特別な意味はないけどね」とコメントしており、⁠平均的なリリース⁠であることを強調している。

“平均的なリリース⁠とはいえ、Linux 6.8にはいくつかの注目すべきアップデートが含まれている。おもなものは以下の通り。

  • Intelの内蔵GPU「Intel Xe」ドライバの実験的サポート(Intel i915ドライバの代替)
  • V3D DRMドライバにRaspberry Pi 5(Broadcom BCM2712)サポートが追加
  • LoongArch CPUにおけるRustのイニシャルサポート
  • RISC-VにおけるXIP(eXecute In Place)サポートの追加(ROMから直接カーネルを起動可能)
  • Intel Sapphire Rapidsなどに搭載されている内蔵アクセラレータ「Intel IAA(In-memory Analytics Accelerator⁠⁠」ドライバのカーネルへの統合
  • RustツールチェーンのRust 1.74.1へのアップグレード
  • Apple M1 USB4/Thuderbolt DARTサポート
  • Intel Lunar Lake Thunderboltのサポート
  • Nintendo Switch Onlineコントローラのサポート
  • Linux 6.7でサポートされたBcachefsの修正と改善

なお、Linux 6.8は2023年4月にリリース予定の「Ubuntu 24.04 LTS」での採用が予定されている。

Linusはすでに次期リリースとなる「Linux 6.9」のマージウィンドウをオープンしており、すでにいくつかのプルリクエストが届いているという。開発が順調に進めば、2週間後の3月24日には最初のリリース候補版、そして2024年5月前半にはLinux 6.9のアナウンスを聞くことができそうだ。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧