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KDE PlasmaをFedoraのデフォルトデスクトップに ―Budgie開発者らが変更を提案

デスクトップ環境「Budgie Desktop」の開発者としても知られるJoshua Stroblは、Fedoraプロジェクトにおいても「Fedora Budgie Spin」⁠Fedora Budgie Atomic」のリードを務めている。そのStroblを含む5人のFedora開発者は2024年4月2日、⁠Fedora Linux 42」⁠2025年リリース予定)において、デフォルトデスクトップ環境をGNOMEからKDE Plasmaに切り替える提案を行った。この提案はまだFESCo(Fedoraプロジェクトの最高決定機関)による採決が行われていないが、もし提案が認められればFedoraプロジェクトそのものが大きく変わることになりそうだ。

Stroblらは「KDE Plasma 6のリリースにより、KDE Plasmaは高品質で評判の高いデスクトップエクスペリエンスに成長した」としたうえで、FedoraがデフォルトデスクトップをKDE Plasmaに変更するべき理由として以下のような点を挙げている。

エンドユーザエクスペリエンスの向上
Plasmaは統合されたデスクトッププラットフォームの最前線であり、ユーザにとって親しみやすく柔軟性が高い、拡張しやすいエクスエペリエンスを提供する。とくにPlasmaアプレット/ウィジェットで提供されるAPIはマイナーリリースを通してより安定する傾向にあり、開発者とユーザの両方にとって健全なエコシステムを提供する。これらは基本となるウィンドウマネージャ「KWin」にも適用されており、ユーティリティとパーソナライゼーションの両方で満足度が高い。Plasmaは一般のLinuxユーザにとってスムースな⁠導入⁠として機能し、⁠GNOMEなど)他のプロダクトよりも予測可能で使いやすいデスクトップエクスペリエンスを提供する。たとえばPlasmaでは(通知やシステムトレイアイコンの機能を提供する)StatusNotifierItemをサポートするアプリケーション用のシステムトレイを提供するが、これはGNOME Shellではデフォルトでサポートされておらず、リリースによっては機能しなくなる可能性がある。
標準化のサポート
KDEコミュニティは共同で標準を開発し、アプリケーション開発者とユーザが必要とする機能をサポートしてきた長い伝統がある。KDEの進化は大規模なオープンソースデスクトップコミュニティの進化に深く関連しており、XDGアイコンテーマ、D-Bus、StatusItems、WaylandプロトコルなどはKDEに由来するか、KDEから大きな影響を受けている。とくにWaylandはさまざまな点でKDEによって進化を遂げてきた。これは単に新しいテクノロジや機能が有効になるだけでなく、KDEがコミュニティの成功や成長を促進しているということを示している。
Waylandのサポート
KDEの Plasmaは現在もっとも高度なWaylandデスクトップエクスペリエンスを提供している。たとえば分数スケーリング(flactional scaling⁠⁠、カラーマネジメント、VRR(可変リフレッシュレート⁠⁠、レガシーX11アプリケーションのサポート(オプション⁠⁠、アクセシビリティのサポート(Orcaスクリーンリーダー含む⁠⁠、AR/VRディスプレイのサポートなど。
業界サポート
KDE Plasmaはここ数年、コンシューマプロダクトで幅広い支持を集めている。たとえばPINE64製品(PinePhone、PineBooks⁠⁠、Valveの「Steam Deck⁠⁠、Tuxedo Computersの「Tuxedo OS」などが挙げられる。とくにSteam DeckはSteamOS 3.xのデスクトップモードを通して、より多くの人々にLinuxデスクトップをKDE Plasmaの形式で届けている。
コミュニティサポート
Fedoraのダウンストリーム(派生OS)の多くはフラグシップ(デフォルト)エクスペリエンスとしてKDEを搭載してリリースしているか、またはリリース後に時間をおいてKDE Plasmaに移行している。たとえばAppleシリコンをサポートする「Fedora Asahi Remix」はKDE Plasmaをフラグシップとして採用しており、⁠Nobara Project」も高品質なWaylandエクスペリエンスなどを理由にKDE Plasmaをフラグシップとしている。また、Linux XRアプリケーション開発者はKDE Plasmaの使用を推奨している。2025年からKDE PlasmaのリリースサイクルはFedoraのリリースにあわせて半年ごとのペースに切り替わるため、FedoraとKDEのより緊密な連携が可能になる。

これらの理由を挙げたうえでStroblらは、⁠Fedoraが最先端のWaylandデスクトップを提唱している現在、より幅広いユーザニーズをサポートするためにも、デフォルトのFedoraワークステーションエクスペリエンスを大規模なPCエコシステムが期待するデスクトップに一致させる必要がある」として、KDE Plasmaへの移行がFedoraに大きな利益をもたらすことを強調している。なお、KDE Plasmaがデフォルトとなった場合、GNOMEベースの環境はスピン(spin)として提供するという。

GNOMEに多額の投資を行ってきたRed HatがスポンサードするFedoraの内部から「KDE Plasmaをデフォルトに」という提案が出てきたことに驚きを覚えるものの、デスクトップのメインストリームがWaylandに移るにしたがってKDE Plasmaをデフォルトに採用するディストリビューションが増えていることは確かだ。この大胆な提案に対してFESCoおよびRed Hatはどのような判断を行うのかが注目される。

KDE Plasma Desktopの画面(Fedora Spinのページより)
KDE Plasma Desktopの画面

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