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Linux 6.9リリース ―Intel FREDのマージ⁠ARM64でのRustサポートなど

Linus Torvaldsは2024年5月12日(米国時間⁠⁠、⁠Linux 6.9」のリリースをアナウンスした。開発期間は約2ヵ月、7本のリリース候補(RC)版を経ての一般提供開始となる。Linux 6.9のリリースにあたりLinusは「全体的にかなり正常に感じられるリリース」とコメントしており、多くの改善が実施された安定したカーネルに仕上がったことがうかがえる。

Linux 6.9のおもなアップデートは以下の通り。

  • x86プロセッサにおけるイベント配信(IDT)の代替技術で、特権レベル間の移行時間を短縮し、ソフトウェアの堅牢性を高めるフレームワーク「Intel FRED」のメインラインへのマージ
  • IntelのノートPC向けCPU「Meteor Lake」のパフォーマンスと電力効率の向上
  • プロセッサ内の特定のコアを優先的に使用し、システム全体のパフォーマンスを改善する「AMD P-State Preferred Core」のサポート
  • ARM64アーキテクチャ(AArch64)におけるRustサポート(Rustによるカーネル開発が可能に)
  • GCCの名前付きアドレス空間(named address spaces)機能を利用した、CPUごとのデータアクセスへの最適化
  • 古いNTFSドライバの削除とNTFS3の採用
  • io_uringにおけるtruncateおよびリングごとのNAPIのサポート
  • Rust 1.76へのアップグレード

とくに注目されるのは、2年越しの議論を経て統合されたIntel FREDのサポートだ。FREDはIntelが次世代プロセッサでサポートすることを約束しているフレームワークで、新たな命令セットの定義によりIDTイベント配信を代替し、80286アーキテクチャから由来する4層構造の特権メカニズム「リングプロテクション(Ring Protection⁠⁠」の改善を図っている。LinusはFREDのコンセプトが発表された2021年3月、⁠忌まわしい80286を根絶するための正しいアプローチ」と高く評価しており、今回のLinux 6.10でFRED搭載プロセッサが市場に出荷される前にメインカーネルへのマージを行っている。

Linuxはすでに次のバージョンである「Linux 6.10」のマージウィンドウをオープンしており、プルリクエストを受け付けている。開発が順調に進めば、2024年7月後半にはLinux 6.10リリースのニュースを聞くことができそうだ。

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