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Linux 6.13公開⁠2025年最初のカーネルリリース “ギターペダル当選者”発表

Linus Torvaldsは1月19日(米国時間⁠⁠、事前のアナウンス通りに2025年の最初のカーネルとなる「Linux 6.13」を公開した。開発期間中には年末年始の2週間の休暇があったが、Linusは休暇中も滞りなくリリース候補版(RC)を公開しており、通常のリリースと変わらない約2ヵ月の開発期間と7本のRCを経てのリリースとなった。

Linux 6.13のおもなハイライトは以下の通り。

  • 遅延プリエンプションを実現するバッチ「PREEMPT_LAZY」の追加(PREEMPT_LAZYは最終的にPREMPT_VOLUNTARYのリプレースとなることを目指している)
  • マルチグレインタイムスタンプ(multigrain timestamps)のサポート
    • …NFSなど 高解像度のタイムスタンプが必要なアプリケーションに対応
  • XFS、ext4のDirect I/O、および一部のmd RAIDモードでのアトミック書き込み(書き込み保護が解除された書き込み)のサポート
    • …ストレージのセクタサイズ(4Kバイト)よりも大きいデータをアトミックに書き込み可能に
  • アプリケーションのアイドル期間中のNAPI(New API)の一時停止(ビジー期間中はビジーポーリングモードに切り替え)
  • ネットワークデバイスのハードウェア機能を利用して送信トラフィックを制御する「TX-HW shaping API⁠
  • ガードページを実装するmadvice()システムコールに「MADV_GUARD_INSTALL」フラグを実装することで、オーバーヘッドのない軽量ガードページ(lightweight guard page)を実現、メモリマッピング呼び出しを約5倍高速化
  • io_uringのさまざまな改善
    • …リングのサイズ変更のサポート、部分的なバッファの複製、静的NAPIサポート、ハイブリッドI/Oポーリングのサポートなど
  • ARM64仮想化
    • …Arm CCA(Confidential Compute Architecture)のもとで保護された仮想マシン(VM)内でLinuxを実行可能に
  • ARM64のセキュリティ改善
    • …ROP(Return Oriented Programming)攻撃を防御するためのガードコントロールスタック「GCS」の実装
  • AMDの第5世代サーバ向けCPU「AMD EPYC 9005」の機能の一部であるPCIe TPH(TLP Processing Hints)の有効化
  • 多数の新しいRustインフラストラクチャコードの追加
  • NVMe 2.1のサポート
  • ReiserFSファイルシステムのメインラインからの完全削除

Linusはすでに次のカーネルとなる「Linux 6.14」のマージウィンドウをオープンしており、プルリクエストの受付を開始しているが、オープン前から20を超えるリクエストが届いているという。

なお、LinusはLinux 6.13のリリースと同時に前週に募集していたギターペダルの当選者5名を発表した。前週のアナウンスでは「当選者は1名」としていたが、実際には「ギターペダルへの応募メールが届き始めたら、パニックになってついキットを買い込みすぎてしまった」ことから5名まで拡大したようだ。ギターペダルはこれからLinusが組み立てた後に、マージウィンドウの作業の合間にLinus自身が当選者に郵送する予定となっている。

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