Canonical所属のUbuntuエンジニア Robie Basakは1月29日、Ubuntu開発者向けのメーリングリストにおいて、Ubuntu開発者が利用する公式のリアルタイムコミュニケーションチャネルを3月1日付けで従来のIRCからMatrixに変更することを明らかにした。
Ubuntu開発チームは長年、IRCチャネルを通じて開発者どうしの議論を行ってきたが、若い世代のエンジニアや新規のコントリビュータからは「時代遅れのコミュニケーションプラットフォームをいまだに利用している」と指摘されることも増えていた。とくにIRCクライアントツールのインタフェースは新規開発者からの不満が多く、Basakは「現状のままでは、潜在的なコントリビュータを失うことになりかねない。(IRCの使用継続は)プロジェクトの将来に悪影響を与える」と警鐘を鳴らしていた。また、Basakが2024年7月にCanonical所属のUbuntu開発者にIRCの変更についてアンケートを取ったところ、回答者のうち10人が移行に賛成(Basak含む)、1人が反対、6人がさらなる議論を希望するという結果となった。
新規コントリビュータや古参のIRCユーザなども含めた議論の結果、Basakらは「2025年1月時点でMatrixはUbuntuコミュニティでひろく定着している」という事実をあらためて確認し、公式チャネルのIRCからMatrixへの移行を決定、Ubuntu開発者に対しては議論の断片化を避けるために、今後はIRCチャネルでは会話を行わず、3月1日までにMatrixに適切に参加するように推奨している。意外すぎるほど長くUbuntu開発者の間で使われてきたIRCだが、ようやくその役割を終えつつあるようだ。