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Christoph Hellwig⁠DMAマッピングのメンテナーを辞任 “Rust騒動”余波続く

Linuxカーネルの古参メンテナーのひとりであるChristoph Hellwigは2月24日、DMAマッピングサブシステムのメンテナーを辞任した。後任にはMarek Szyprowski(Samsung所属)が指名されており、Linusもこれを承認している。なお、HellwigはDMAマッピングのほかにNVMeドライバやFreeVXFSファイルシステムなどのメンテナーも務めているが、これらの職責は変わらずに継続する。

Asahi LinuxのリードデベロッパだったHector Martinによるブリゲーディングによりカーネル開発コミュニティ内での対立を浮き彫りにした⁠Rust騒動⁠だが、その最初のきっかけはHellwigがDMAマッピングメンテナーとしてあるコードのRustバインディングを拒否したことだった(MartinはAsahi Linuxのリードデベロッパも辞任⁠。

“「誰もRustを扱うことを強制されない」ということは「誰もがRustコードを拒否できる」ことを意味しない”

その後、Rustコードの受け入れについてコミュニティ内ではさまざまな意見が噴出したが、Rust推進派に対する強硬な姿勢を崩さないHellwigに対し、当初はあまり議論に参加していなかったLinus Torvaldsが「きみ(Hellwig)がRustに反対していることはかまわないし、誰もきみにRustを読んだり書いたりすることを強要しない。だが、きみがメンテナーとして、きみが保守するコードを誰が(または何が)使っていいのかを制御できる立場にあると思っているなら、それは間違いだということははっきりさせておく。
僕はきみを尊敬しているし、一緒に働くことは好きだ。僕はイエスマンを探しているわけではないし、僕に⁠きみはいま戯言を言っているよ⁠と言ってくれる人が必要だ。だが、僕はいま、きみを非難する。きみはメンテナーとして自分のコードに責任があるが、そのコードを誰がどのように使用するかについての責任はない。⁠誰もRustを扱うことを強制されない⁠ということは⁠誰もがRustコードを拒否できる⁠ことを意味しない」と、やや強めにHellwigを批判している。

結局、HellwigはLinusによる批判の4日後にDMAマッピングのメンテナーを辞任するに至っている。Rustの統合に関してだけでなく、カーネルメンテナーの責任範囲についてもあらたな規定が必要な時期なのかもしれない。

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