Googleは、5月13日に開催したスペシャルイベント
Google launches Material 3 Expressive redesign for Android, Wear OS devices
ブログエントリのタイトルに
Material Designの歴史を振り返る
では、本題に入る前に歴史のお勉強です。
Material Designは、2014年に発表されました。
これは、Googleのデザイン部門のVPを務める
Material Designは現実世界の比喩が基本です。たとえば、画面に表示されるパネルを紙に見立て、重なっている様子は、光と影を使い現実に見えるものと同様の表現しています。また、変化や状態をアニメーションを使って表現するのも特徴で、現実世界で起こりうる様子を見せます。
2018年には、Material Design 2が発表されます。
これではMaterial Themingが導入されて、Material Designを使うアプリやウェブサイトが、ブランドイメージに合ったデザインを適用できるようになりカスタマイズ性が向上しました。
2021年には、Material Youが発表されます。
Android 12から導入されたもので、ユーザの壁紙やテーマに基づいて、ユーザインターフェースで使われるキーカラーを決定するもので、パーソナライズ性が重視されました。また、デザインが丸期調になり、例えば、ボタンは角丸になりました。
Android 13からAndroid 14までの間は、細かなリファインが続けられており、Android 12ではキーカラーの抽出に違和感がありましたが、Android 14からキーカラーの抽出が自然になり、違和感なく使えるようになりました。
Material Designが潮流に合わせてリファインが続けられていくのは想像の範囲ですが、Material Youは想像を超える新要素でした。
Material 3 Expressiveの真髄
発表されたMaterial 3 Expressiveは、Material Youに続くデザイン言語で、より多くのカスタマイズオプションを提供し、さらなるパーソナライズ性を求めたものです。他、より自然に感じるアニメーションも導入されています。真髄はこの部分だと考えています。
Material 3 Expressiveのアニメーションは、Material Designの考えに沿って現実世界の比喩がベースです。
たとえば、通知スタックから通知を削除する操作では、削除したい通知をスワイプすると、上下の通知が張り付いているので、途中まで引っ張られるアニメーションが表示されます。スワイプして通知を剥がしているようなイメージです。
これがある程度の段階で剥がれて、上下の通知がバウンスするアニメーションが表示されて削除されます。このタイミングで、おそらく触覚フィードバックもあるはずです。
これを見せられると、これまでのユーザインターフェースのフィードバックが随分とチープなものに感じます。操作過程や結果を細くするための情報としてではなく、使ったときに感じる現実との差を埋めるのがMaterial 3 Expressiveのアニメーションだと考えています。
コンピュータに現実に近い体験を持ち込み、よりわかりやすいものにするアプローチはあまりされてなかったので、Googleならではのアプローチとなるのかもしれません。筆者は常々、Googleは人の心を持った製品作りが稀有だと感じていましたが、これを埋める要素になりそうです。
今週は、このあたりで、また来週。