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Linux 6.15リリース⁠BPFに新しいキュー型スピンロックを実装

Linus Torvaldsは5月25日(米国時間⁠⁠、⁠Linux 6.15」の正式リリースを明らかにした。開発期間は約2ヵ月、7本のリリース候補(RC)版という通常通りのスケジュールに沿った、Linus曰く「とくにやっかいな問題は見当たらない(Nothing looks particularly scary.⁠⁠」カーネルリリースを迎えている。

Linux 6.15におけるおもなアップデートは以下の通り。

  • POSIXタイマーサブシステムによるタイマーIDの割り当て方法が強化され、CRIU(Checkpoint/Restore in Userspace)サブシステムがタイマーIDをより確実かつ高速に復元可能に
  • プロセス/タスクが回収されたあとでもpidfdからステータス(終了情報)が読み取り可能に
  • pidfdを使用するシステムコールでプロセスが自分自身を参照することができる特別な値「PIDFD_SELF」
  • ファイルシステムマウントに適用されたIDマッピングに関する情報を取得できるシステムコール「statmount()」
  • io_uringのネットワークゼロコピー受信およびepollイベント読み取りのサポート
  • BPFに新しいタイプのロックとしてレジリエントなキュー型スピンロック(resilient queued spinlock)が実装された。複数のスレッドにおいてロックが競合していなければ従来通りにスピンロックが動作、2つのスレッドがロックを要求する場合は2番めのスレッドにpending(待機状態)を設定してスピンを開始、3つ以上のスレッドがロックを要求する場合は3番目以降のスレッドをtail(待機キュー)に追加することで動的にデッドロックを検出する
  • Linux 6.13で導入されたガードページを拡張し、ファイルバックアップでも有効化
  • ユーザ空間でデバイスファームウェアを安全に構成/更新するための方法を標準化するサブシステム「fwctl」⁠以前、導入をめぐって議論)
  • アドレス空間における特定のメモリマッピングを変更不可能にするオプション(デフォルトでは無効)
  • 将来的にNVIDIA GPU用のnovaドライバとなる予定の「nova-core」スタブドライバのイニシャルサポート(Rustコード/現時点ではほとんどのユーザに無関係)
  • Intel/AMDプラットフォームにおけるAVX‐512 CRCコードの高速化

なおLinusはすでに次のLinuxカーネルである「Linux 6.16」に向けてマージウィンドウをオープンしており、プルリクエストの受付を開始している。順調にいけば2週間のマージウィンドウ期間後の6月8日(米国時間)に最初のリリース候補版である「Linux 6.18-rc1」が公開、7月後半には新しいLinuxカーネルのリリースとなる予定だ。

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