前回の記事では、Obsidianが注目されている理由として
今回は、なぜObsidian単体ではなく外部のAIと連携するのか、どうすればObsidianで管理するノートをAIと連携して活用できるのか、について解説します。
AIでノートを作成、整理する意味
この連載の第1回でも紹介したように、Obsidianは
ノートは自分の頭で考えて、自分から発する言葉を紡ぎ、整理することに意味があると考えたとき、他人
もちろん、ノートに書く内容はそれぞれの個人の自由ですし、他人が口を出すことではありません。他人の著作物を取り込んでも、個人のノートとしての利用であれば問題になることはないでしょう。AIによって出力された文章を整理したものが
わたしとしては本のタイトルに
なお、Obsidianでは複数のVault
Clineを導入する
前回の記事ではAIエージェントとして、CursorというAIテキストエディタやClineという拡張機能がよく使われていることを紹介しました。今回はテキストエディタとしてVisual Studio Code
Clineを導入するには、VS Codeの左メニューにある

インストール完了後、サイドバーに表示されたClineを選択すると、AIモデルの設定画面が表示されます。無料プランもありますが、今回は個人での利用に十分な無料枠が用意されている

このAPIキーを取得するには、Googleアカウントにログインした状態で、Google AI Studioにアクセスし、画面上部に表示される
続いて、Clineの画面で歯車アイコンから設定画面を開き、

以下では、このClineを使ってどんなことができるのか、いくつか例を挙げて紹介します。
例1)タグを自動的に付加する
Obsidianでは階層型のタグが使えます。具体的には、
ノートの内容にあったタグをつけるのが面倒なとき、AIで自動的に生成することを考えます。Obsidianには
そこで、Clineを使って階層型のタグを自動的に生成させることを考えます。Clineには
まずはVS Codeでワークスペースを作成します。Obsidianで管理しているVaultのフォルダをVS Codeで開いた状態で、VS Codeのメニューから
現時点ではワークスペース内に、次のような3つのノートがあったとします。いずれもタイトルしか書かれていません。

そして、Clineの画面下にある天秤のマーク

ここでは
Markdown形式のノートの先頭に、YAML形式で次のような階層型のタグを使ってください。
なお、すでに作成しているノートに書かれている内容は消さず、すでにタグが存在するときは既存のタグを残して、新しいタグを追加してください。
---
tags
- プログラミング言語/PHP
---
使えるタグは以下の通りです。
#プログラミング言語/PHP
#プログラミング言語/Python
#ハードウェア/周辺機器
#ハードウェア/パソコン
#ソフトウェア/ツール
#ソフトウェア/フレームワーク
このうえで、チャット欄に
現在のワークスペース内のノートに、ノートの内容に合ったタグを設定してください
のように入力すると、メモの先頭にタグが自動的に追加されます。

そして、このVault
例2)リンクを自動的に生成する
同様に、複数のノートの間にリンクを自動的に生成することを考えます。ObsidianではWikiリンクと呼ばれる形式でリンクを作成します。たとえば、次のような2つのノートがあったとします。
# Python
1991年に開発されたプログラミング言語で、Raspberry Piでも主な開発言語として使われている。
# Raspberry Pi
このとき、Pythonのノート中で次のように
# Python
1991年に開発されたプログラミング言語で、[[Raspberry Pi]]でも主な開発言語として使われている。
Obsidianではリンクをクリックしてノート間を移動できるだけでなく、リンク先のノートにはバックリンクが表示されます。これにより双方向でノート間を移動できます。

このようなリンクを自動生成するとき、Obsidianには
そこで、AIエージェントを作ってリンクするために、Clineのルールを作ってみましょう。上記の例1と同様に、
ノート間をObsidianで使われるWikiリンクでリンクしてください。
たとえば、ABC.mdというノートからDEF.mdというノートにリンクするとき、ABC.mdというノート内で次のように書かれていたとします。
```
もともとのデータはDEFでした。
```
これを、次のように置き換えてください。
```
もともとのデータは[[DEF]]でした。
```
そして、Clineのチャット画面から
現在のワークスペース内のファイルに対し、リンクが可能なノートがあればリンクを設定してください
のように入力すると、AIエージェントによってリンクが作成されます。
例3)自然言語で検索する
AIを使う例として、チャットでの検索があります。これまでの検索ではノート中に記述したキーワードに一致するものを抽出する方法が一般的でしたが、生成AIを使うと自然な文章で検索できます。
Clineのチャット画面から、次のように入力すると、関連するノートを一覧として表示してくれます。
現在のノートからIoTに関するノートを一覧にしてください
このとき、ノート内に
複数のVaultから検索する
今回解説したような内容は、Obsidianのプラグインでも似たものがありますし、今後便利なプラグインが開発されるかもしれません。するとObsidianだけで完結し、Clineなどのソフトウェアを使う必要はなくなります。
しかし、Obsidianにはどうしても越えられない制限があります。それは、ObsidianがVault単位でノートを管理していることです。つまり、1つのVaultを開いているとき、ほかのVaultの内容をまとめて操作することはできません。
このようなときにテキストエディタは便利です。特に、VS Codeが備える
注意:AIエージェントの利用のリスク
AIエージェントにノートを書き換えさせると、こちらが想定していない動作をする可能性があります。誤ってノートの中身を消してしまう、想定外の内容で上書きしてしまう、ということが発生すると、自分が作成した大切なノートが失われてしまいます。
このため、事前にバックアップを作成することは必須だといえます。そして、AIエージェントの応答を確認し、問題ないと思われる変更だけを許可するようにしましょう。
私の場合は、ObsidianのVaultをGitで管理しているため、変更に問題があれば履歴から戻せますし、差分を確認できます。このようにGitなどのバージョン管理ソフトで管理できることも、テキストデータ
他のリスクとして、情報漏洩があります。今回はGemini 2.
企業秘密などのデータをノートとして記録している場合、これが外部に送信されることは情報漏洩につながる可能性があります。個人でのメモであればそれほど問題になることはないと思いますが、企業での利用については特に注意しましょう。