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Google Tensor G5に関わるアレコレのまとめ

Google Pixel 6シリーズ以降は、独自SoC「Google Tensor」が搭載されているのはご存知のとおりです。夏ごろ発売のPixel 10シリーズには、Tensor G5が搭載されると予想されています。今回は、これに関わる話題をいくつかピックアップしてみました。

製造はSamsungからTSMCに切り替え

Tensor G5の製造は、長年のパートナーだったSamsungからTSMCに切り替わると見られています。Samsungは、それを衝撃として受け取っていると9ToGoogleが伝えています。

Google shift to TSMC for Pixel 10 chip was a 'shock' to Samsung

記事では、製造パートナーの切り替えの理由として、Samsungのチップ製造歩留が大きく低いことが挙げられています。歩留まりとは、製造工程で合格品ができる割合を示す指標です。記事では、3nmの製造プロセスの歩留まりは、Samsungが50%であるのに対してTSMCは90%に達するとしています。

製造プロセスでも変わりますが、80%から90%が平均な歩留まりとされているので、Samsungの歩留まりは、相当低いことになります。歩留まりの高さは、製造されるチップのコストや供給能力に直結するので、結果として製造されるSoCの競争力にもなります。この切り替えが販売価格に直結しないかもしれませんが、Pixel 10シリーズは価格競争力を持っている可能性があります。

## 搭載モデムはSamsung製のまま

搭載モデムがMediaTek製に変更される話がありましたが、引き続きSamsung製のモデムが使われるようです。

Pixel 10 will still use an Exynos modem, leak shows

Samsung製のモデムが使われる理由として、リークされたPixel 10 Proのハンズオン画像の中に、DevCheck Proのスクショがあり、これが示したモデムがPixel 9と同じ「g5400」だったため、Samsung Exynos 5400モデムを引き続き使用することを示すとしています。

Exynosモデムと言えば、発熱や接続性、バッテリー消費に課題がありましたが、Pixel 9で搭載されたExynos 5400は、それらが大幅に改善されているため、同じモデムを使用してコスト削減を図ったと考えられています。

GPUはARM MaliからImagination Technologies製に変更

GPUは、これまでのARM Maliシリーズから、Imagination Technologiesが開発した最新世代のモバイルGPU「DXT-48-1536」に切り替わります。

Imagination Technologiesといえば、古くからモバイルを知る人にとっては懐かしい名前です。同社が開発したPower VRは、AppleのAシリーズに採用されており、一時期はモバイルGPUの代表格でした。しかし、Appleは、A11から独自GPUに切り替えて、Power VRの搭載を中止します。

この動きに対して、Imagination Technologiesは「自社の知的財産を侵害せずに、Appleが独自GPUを開発するのは極めて困難」と主張し紛争手続きを開始して話題になりました。法的措置も辞さない構えでしたが、訴訟には至らず協議が続けられて、2022年には新たなライセンス契約を締結しています。

Imagination Technologiesは、この影響を受けて株価が大きく下落して経営危機に陥ります。最終的には身売りが決定されて、中国系ファンド「Canyon Bridge Capital Partners」が約830億円で買収し、現在も同グループの一員として事業を行なっています。

DXT-48-1536は、2クラスタの構成で、動作周波数は1.1GHzです。

ハードウェアによるレイトレーシングとGPUの仮想化に対応するのが特徴で、これまで使っていたGPUはサポートしていません。また、高度なAI推論支援も行えます。

また、2クラスタの構成の数字だけ見てしまうと、最近のGPUでは控えめどころか少ない印象を受けますが、クラスタあたりに多数の演算ユニットを備えた設計になっており、これらの集合体としてクラスタと呼ぶようです。

今のところ性能に関わる情報が一切ないので、端末が登場してからのお楽しみとなっています。

今週は、このあたりで、また来週。

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