6月16日、17日に東京で開催された
福安徳晃氏の発表:日本企業のオープンソース/クラウドネイティブ技術への関心の高まり
福安徳晃氏の発表は、今回のKubeCon + CloudNativeCon Japan 2025の賑わいが、日本企業によるオープンソースおよびクラウドネイティブ技術への関心の高まりを示しているという話から始まりました。
本イベントの参加費用が高額であったにもかかわらず1,500枚の参加チケットが完売し、スポンサーシップ枠もすべて埋まったとのこと。つまり、日本企業がこれらの技術を重視し、コミュニティ内での存在感を高めたい意図がうかがえると述べました。

次に、Linux Foundationのメンバーシップ数が過去5年間
日本企業のメンバーシップが増えているのも、日本企業がオープンソースおよびクラウドネイティブ技術のエコシステムへ積極的に参加し、コミュニティにおいて企業や開発者のプレゼンスや影響力を高めることが意図されていると指摘しました。
次に、日本のクラウド市場の現状について、パブリッククラウド上でのワークロード実行率が34%で、グローバル平均
具体的な日本のエンジニア人材の状況については、Linux Foundationが公開した

一般的なAIスキルは、40%未満の企業にしか備わっていません。AIの効果的な導入と拡張に大きな障壁が生じており、AI関連の需要は増加しているため、エンジニアの雇用は増加すると予測されていますが、エントリーレベルでは減少する懸念もあります。
これらの課題に対応するため、日本企業の94%がアップスキリングを重要視しています。アップスキリングは新規雇用と比較して124%速く、従業員の定着において98%の効果があることが示されており、社内人材の育成において戦略的にアップスキリングを進めることは正しい施策と紹介しました。
日本企業がクラウドネイティブやOSSへの関心を急速に高めている背景として、クラウドネイティブ技術が世界的にデファクトスタンダードになっていることに加え、近年、日本企業の多くが利益を出していることから、これら技術への戦略的な投資が行われている面もあると述べました。
また、オープンソースへの取り組みは企業の開発文化を根本から変える必要があるが、近年はそれが可能になってきたと言及しました。たとえば、これまであまり積極的でなかった電力業界や金融業界でもクラウドネイティブ技術から大きな恩恵を受けていること、自動車業界やゲーム業界でもKubernetesやクラウドネイティブプロジェクトの活用が増加していることに触れていました。
特に、日本ではこれまでオープンソースへの取り組みが
最後に、Cloud Native Community Japan
約1年半前、日本におけるKubernetesの認定試験の受験者数は、インドの8分の1、中国の5分の1、韓国の2分の1と非常に少なかったものの、2023年11月にCNCJが立ち上がり、多くのミートアップを通じてクラウドネイティブ技術を広めた結果、状況が改善しました。最近の調査では、日本の受験者数は韓国とほぼ同レベルになり、中国との差も3分の1に縮まっています。
福安氏は、コミュニティをエンジニアを育成する
また、企業がオープンソースコミュニティとより良い戦略で関わるためには、Open Source Program Office
Chris Aniszczyk氏の発表:CNCFのこれまでと現在
Aniszczyk氏ははじめに、クラウドネイティブの開発者数は2020年から270万人増加し、現在920万人に達していることを紹介しました。

クラウドネイティブの導入は過去最高水準にあり、CNCFの調査によると調査対象の89%がクラウドネイティブ技術を採用しています。そしてKubernetesの利用率は93%に達しており、現代のインフラストラクチャにおけるその役割を確固たるものにしています。
また、GitOpsは77%の組織に採用されており、デプロイが効率化されている点も指摘しました。KubernetesでのAI/
ここで、Aniszczyk氏は、設立10周年を迎えているCNCFは成長を続けていることを強調しました。Kubernetesは歴史が11年にもかかわらず、30年以上の歴史を持つLinuxに匹敵する勢いのあるプロジェクトであり、貢献という点ではLinuxに次ぐ勢いであると述べ、それが個人的な喜びでもあると言います。
新しいプロジェクトでは、コンテナワークロードの実行やセキュリティ確保といった基本的なインフラに加え、
さて、昨年のCNCFのレポートであるCNCF Annual Report 2024を見ると、200以上のプロジェクト、728のメンバー、27万以上のコントリビューター

CNCFは現在、750以上のメンバーがいて、多くの主要なハイパースケーラー
特筆すべき点として、ベンダー企業だけでなく、東京ガスやLINEヤフーといったエンドユーザー企業からのメンバーが増加していることを挙げ、これは、日本の企業がメンバーシップを通じてこのエコシステムに積極的に関与しようとしていることを示していると述べました。

そして、日本からのCNCFプロジェクト全体への貢献について、26万件以上あり、これは世界のトップ15にランクインする貢献

CNCFの新しい取り組みとして、クラウドネイティブ技術上に構築されたAI/
このほかCNCFは、クラウドネイティブ人材育成への投資として
アジアからは280人が認定され、特に日本からは63人がKubestronautとして認定されており、これは中国の29人を上回る数とのこと。なお、CNCFが提供する全13種の認定とLinux Foundation認定システム管理者


CNCFでは、KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025開催にあたり、
東京ガスは、モノリシックアーキテクチャから脱却し、Kubernetes、Argo CD、Istioを導入することで、マイクロサービス、GitOps、サービスメッシュを実現しました。その結果、KubernetesとKarpenterによる動的スケーリングでコストを30%削減し、Kubernetesの自己修復機能により運用工数を30%削減、GitOpsとArgo CDによる高速デプロイ、そしてテスト時間を2ヶ月から2週間に大幅短縮するなどの成果を達成しました。また、データセンターのエネルギー消費量削減といった環境責任にも貢献できることを示しました。

三菱UFJフィナンシャル・

Aniszczyk氏は最後に、CNCFが年間5回、貢献している地域でのKubeCon開催にコミットしていることに言及しました。そして今回の東京でのイベントは、CNCFの期待を上回るものであり、日本コミュニティの活発さを再確認したことを述べ、来年2026年も日本でのKubeCon開催を予定していることを伝えました。