AIニュースノート⁠America’s AI Action Plan⁠ChatGPT学習モード⁠Qwen3-30B-A3B-Instruct-2507-FP8など

gihyo.jpのニュース記事として取り上げていなかったもののなかから、直近の興味深いAIに関連するニュース概要を簡単にまとめてみました。

※この記事は、不正確な内容を含んでいる可能性のある実験的コンテンツです。正確な情報はリンク先を確認してください。

政策⁠社会動向

アメリカAIアクションプラン発表

ホワイトハウスが2025年7月23日、⁠America’s AI Action Plan」を発表した。

本プランは、イノベーション加速、AIインフラ構築、国際協調の3本柱で90以上の政策を提示。AI輸出パッケージの推進、データセンター・半導体工場の許認可迅速化、規制緩和、政府調達基準の見直しなどが盛り込まれた。AI開発の自由と安全保障、労働者保護の両立を目指す。詳細は公式PDFで公開されている。

サービス⁠アプリケーション

ChatGPT「学習モード」新登場

OpenAIが2025年7月29日、ChatGPTに新たに「学習モード」を追加した。

学習モードは、学生の主体的な学びを支援するための新機能。段階的な問題解決やヒント提示、進捗管理、パーソナライズされたフィードバックなどを提供し、単なる解答提示ではなく理解を深める設計。無償版・Plus・Pro・Teamユーザーが利用可能で、今後Edu向けにも展開予定。教育現場でのAI活用を見据えた設計が特徴。

AIモードの新機能と学習サポート - Google

Googleが2025年7月29日、検索のAIモードに新機能を追加した。

AIモードは、画像やPDFへの質問、学習計画作成用のCanvas、リアルタイムのSearch Liveなど、学習や情報探索を支援する新機能を追加。デスクトップでの画像・PDF質問や、Canvasによる学習計画の作成、モバイルでのSearch Live(動画入力対応)などが順次展開される。米国・インドの18歳以上のユーザーが対象で、今後さらに対応ファイル形式や機能が拡大予定。

※現在、日本ではAIモードは利用できない。

開発⁠開発ツール

Chrome Prompt API オリジントライアル開始

Googleが2025年7月21日、ChromeでPrompt APIのオリジントライアルを案内した。

Prompt APIは、テキスト・画像・音声のマルチモーダル入力をWebアプリやChrome拡張機能で扱える新しいAPI。ユーザーからの多様な入力をAIに渡し、応答を得ることができる。オリジントライアルは期間限定で、Chrome 139~144で利用可能。APIの詳細や利用方法は公式ドキュメントで案内されている。

Gemini CLI拡張⁠カスタムコマンド集公開

Philipp Schmid氏が2025年7月27日、Gemini CLI用の拡張・カスタムコマンド集をGitHubで公開した。

Google Gemini CLI向けの拡張・コマンド・設定例をまとめたリポジトリ。TOML形式でカスタムコマンドや拡張を定義でき、グローバル・プロジェクト単位で管理可能。設定例や導入手順もREADMEに記載。ライセンスはApache-2.0。

Beast Mode 3.1リリース - Burke Holland

Burke Holland氏が2025年7月23日、VS Code用カスタムチャットモード「Beast Mode 3.1」を公開した。

Beast Mode 3.1は、VS CodeのAIエージェント、GPT-4.1向けのカスタムチャットモード(プロンプトファイル⁠⁠。⁠途中で作業をやめず、ToDoリストで進捗管理しながら最後までタスクを完了させる」ことを強く指示し、標準のGPT 4.1の⁠途中で止まる・考えずに進める⁠傾向を克服する設計したもの。

Prompt Boost公開 - Prompt Boost

2025年7月26日、VS Code向けのプロンプト・チャットモード・MCPサーバー拡張の共有プラットフォーム「Prompt Boost」が公開された。

Prompt Boostは、VS Codeの開発体験を向上させるプロンプトやチャットモード、MCPサーバーをワンクリックで導入できる拡張ギャラリー。開発者は自作の拡張を投稿・共有でき、インストールや評価も容易。開発ワークフローの強化やカスタマイズに活用できる。

LangGraph v0.6.0リリース - LangChain

LangChainが2025年7月28日、LangGraph v0.6.0をリリースした。

v0.6.0では新しいContext APIの導入により、ランタイムコンテキストの型安全な注入が可能となった。Durability Modeの追加で永続化制御が細分化され、型安全性やAPIの整理も進んだ。既存のconfig_schemaは非推奨となり、今後はcontext_schemaへ移行が推奨される。v1.0に向けた安定化の一環。

Align Evals新機能公開 - LangChain

LangChainが2025年7月29日、LLM評価用Align Evals機能を公開した。

Align Evalsは、LLMの評価プロンプトを人間の評価と整合させるための新機能。評価基準の設定、データの人手評価、LLM評価との比較、スコアの可視化・改善サイクルを支援。LangSmith Cloudで利用可能で、今後は自己ホスト版にも展開予定。

モデル⁠基盤技術

Qwen3-30B-A3B-Instruct-2507-FP8公開 - Alibaba Qwen

Alibaba Qwenが2025年7月29日、Qwen3-30B-A3B-Instruct-2507-FP8モデルを公開した。

本モデルは30.5BパラメータのFP8量子化版で、命令追従・推論・コーディング・多言語対応・長文(26万トークン)処理に強み。非思考モード専用で、推論・学習用コードやエージェント連携例も提供。GPQAやAIME25、LiveCodeBench v6、Arena-Hard v2、BFCL-v3などのベンチマークで、Gemini-2.5-FlashやOpenAI GPT-4o-0327などの商用モデルと比較され、多くの項目で高いスコアを記録。特にGPQAやArena-Hard v2でOpenAI GPT-4oやGemini-2.5-Flashと同等以上の性能を示している。ライセンスはApache-2.0。

GLM-4.5シリーズ発表 - Zhipu AI

Zhipu AIが2025年7月28日、GLM-4.5およびGLM-4.5-Airを発表した。

GLM-4.5は推論・コーディング・エージェントタスクに特化した大規模言語モデル。3550億パラメータ(32Bアクティブ⁠⁠、128kコンテキスト、ファンクションコール対応。12種のベンチマーク総合でGPT-4oやGrok 4に次ぐ上位(3位)となり、Claude 4 OpusやGemini 2.5 Pro、Qwen3-32B-Thinkings 2507など主要商用・オープンモデルを上回る。エージェント、推論、コーディング各分野でも高いスコアを記録し、特にエージェントタスクで最上位、推論・コーディングでもClaude 4 OpusやSonnetと同等以上の性能を示す。オープンウェイトはHugging Face等で公開、APIやローカル推論も可能。

NVIDIA Llama Nemotron Super v1.5公開

NVIDIAが2025年7月29日、Llama Nemotron Super v1.5のリリースを発表した。

本モデルは推論・エージェントタスクで高精度・高効率を実現し、70Bパラメータ級のオープンモデル中で最高水準の性能を達成。AIME24/25やGPQA、LiveCodeBench、IFEval、BFCL V3など複数ベンチマークでQwen3-32BやLlama Nemotron Ultra 253B v1などのオープンモデルを上回る精度を記録。AI総合指標(Artificial Analysis Intelligence Index)でもQwen3-32BやKimi K2、Magistral Smallなどを抑えるスコアとなっている。独自の合成データセットや強化学習を活用し、推論・関数呼び出し・チャット・コーディングなど幅広い用途に対応。Hugging Face等でモデル・データセットも公開予定。NVIDIA NIMマイクロサービスとしても展開される。

Wan2.2公開 - Wanチーム

Wanチームが2025年7月28日、動画生成モデルWan2.2を公開した。

Wan2.2はMixture-of-Expertsアーキテクチャを採用した大規模動画生成モデル。A14B(27Bパラメータ)やTI2V-5B(高圧縮VAE)など複数モデルを提供し、テキスト・画像・テキスト+画像から高精細な動画生成が可能。ComfyUIやDiffusersとの連携、FP8量子化、推論・学習用コードも公開。Apache-2.0ライセンス。

Hugging Face CLI「hf」正式リリース

Hugging Faceが2025年7月25日、公式CLIを「huggingface-cli」から「hf」へリネームした。

新CLI「hf」はコマンド体系を整理し、hf <リソース> <アクション>形式で直感的な操作が可能。hf authhf uploadなど主要機能を統合。また、Hugging Faceのクラウド資源上で任意のスクリプトやDockerイメージを実行できるhf jobsも追加。旧CLIは当面併用可能。インストールはpip install -U huggingface_hub

研究動向

Trending Papers: AI研究の注目論文まとめ

Hugging Faceが2025年7月28日、コミュニティで注目を集めるAI研究論文のトレンドページを公開した。

Hugging Faceの「Trending Papers」では、直近でGitHubスター数が急増したAI分野の研究論文を一覧できる。各論文には対応するGitHub実装へのリンクも付与されており、研究内容と実装例を同時に参照できるのが特徴。ランキングはGitHubのスター獲得状況をもとに自動集計され、毎日更新される。論文の分野は大規模言語モデル、マルチモーダルAI、エージェント、生成AI、最先端のアルゴリズムなど多岐にわたる。研究者や開発者は、最新の注目論文やその実装例を効率よくキャッチアップできる。

LLM自動アライメント監査エージェントの構築と評価 - Anthropic Alignment Science Blog

Anthropicは2025年7月24日、AIモデルのアライメント(安全性・倫理性)を自動で監査するエージェントの開発・評価に関してのブログを公開した。

Anthropicは、LLMのアライメント(意図通りの安全な振る舞い)を自動で監査する3種のAIエージェントを開発し、実験的に評価した。これらのエージェントは、モデルに意図的に埋め込まれたバイアスや隠れた目的を発見する「監査ゲーム」や、行動評価・レッドチーミング(脆弱性探索)など複数の環境で検証された。特に「調査エージェント」は、報酬モデルのバイアスを学習したLLMの根本的なミスアライメント(例:不適切な助言や偏った応答)を特定し、最大52種の問題行動を抽出。さらに、複数エージェントの結果を集約する「スーパーエージェント」手法で発見率が大幅に向上した。実運用モデル(Claude 4等)への適用でも有用性が示されたが、現状では人間の監査員と比べて探索の幅や記憶管理、仮説検証の柔軟性に課題が残る。今後は、より現実的な環境や多様なモデルへの適用、監査エージェントの能力向上が期待される。オープンソース実装や評価用プロンプトも公開されている。

その他

GoogleトレンドAPI(アルファ版)リリース - Google

Googleが2025年7月24日、GoogleトレンドAPI(アルファ版)を発表した。

GoogleトレンドAPIは、検索トレンドデータを一貫したスケーリングで取得できる新API。最大5年分・日/週/月/年単位・地域別データ取得に対応。現時点では一部テスター限定のアルファ版で、今後順次拡大予定。API利用は組織内分析や研究、パブリッシャー、ビジネス用途を想定。

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