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伝説のスマートウォッチ「Pebble」復活まで秒読み段階

スマートウオッチの始祖とも言える「Pebble」は、2016年に事業終了し、その資産をGoogleが引き継ぎました。

2025年1月、Pebble OSがオープンソースになったのを受けて、Pebble復活のプロジェクトが始動したことを本連載でも取り上げました。その復活が秒読み段階に入ったのでご紹介します。

復活の兆し? Pebble OSがオープンソース化 | gihyo.jp

昔の名前で出荷開始

Pebble 2 Duo(Core 2 Duo)とPebble Time 2(Core Time 2)の復活が予定されています。今回は、出荷が近づいている「Pebble 2 Duo」にフォーカスします。

July Pebble Update

まずは、製品の出荷に関してです。

最新の報告では、7月に最初のバッチを出荷する予定でしたが、少し遅れて8月に最初のバッチが出荷予定の計画に変更されました。出荷が遅れる理由は防水性能を向上させるためで、20メータ防水を実現するために取り組んでいると報告されています(オリジナルモデルは、30M防水でした⁠⁠。

また、Pebbleの商標を取り戻せたとも報告されています。これまで商標の関係で「Core 2 Duo」という名称が使われていましたが、今後は「Pebble 2 Duo」という名称が使われることになり、昔馴染みの名前で呼べます。

その名称には秘密があります。Pebble 2 Duoは、ファン向けの限定製品で、2016年にKickstarterで出資を募り成功したものの、志半ばで終わったPebble 2のやり直しの「Do-over」の意味が込められているそうです。

Pebble 2 Duoのハードウェア

それでは、Pebble 2 Duoのハードウェアを見ていきます。

Pebble 2 Duoは、1.26インチ(144×168ピクセル)で白黒の電子ペーパーディスプレイを備えています。2013年当時、スマートウォッチのディスプレイに電子ペーパーを使うのは画期的なアイデアで、屋外での高い視認性とバッテリ寿命にも貢献していました。

SoCは、Nordic社のnRF52840を使用します。

これは2018年に発売されたチップですが、Pebble 2 Duoには十分な速度を備えているようです。浮動小数点演算ユニットを備え、64MHzで動作する32bit ARM Cortex-M4を中心して、Bluetooth LEやNFC-A等の通信モジュールが周りを固めています。

RAMは、なんと256KB!です。

当時、モノクロで動作していたPebbleのハードに搭載されていたRAMは128KBだったので、倍増されたことになります。

しかし、今どきの基準で考えれば、これでPebble OSとアプリが動作するので驚きです。筆者もPebbleのアプリを開発したことがあります。このときは、メモリが少ないことに苦慮した記憶はなく、動作速度を稼ぐために、C言語で記述した記憶しか残っていません。

センサ類は加速度計とジャイロを搭載し、歩数や睡眠など活動量計としても活用できます。他、気圧計と磁気コンパスも搭載します。オリジナルモデルに搭載されていた心拍センサーは搭載していないので、健康データの計測は限定的なものになります。

Pebble 2 Duoでは、音声アシスタントでの利用を想定して、スピーカが搭載されます。このスピーカは、通知の用途でも使えるはずなので、今まで以上に気づきのキッカケを与えてくれる要素となるはずです。

バッテリの駆動時間は、最大30日間とされています。

旧Pebble 2のバッテリ駆動時間は、最大で7日間だったので大幅に向上したことになります。これは、Bluetooth LEチップの省電力化が貢献したようです。

Pebble 2 Duoは、タッチスクリーンを備えず、ハードボタンで操作するのもオリジナルと変わりがありません。今のレベルから考えれば、ハードボタンだけでの操作は使いづらいと評価される可能性があります。

しかし、Pebble 2 Duoは、コアなファンに向けた製品で、過去の資産を活かし、未来への架け橋となる存在と考えれば、妥当なハードウェアと考えることもできます。

Pebble Time 2にも期待

新しい要素は、Pebble 2 Timeが引き受けます。

これは、64色のカラー電子ペーパースクリーンやタッチスクリーンを備えています。また、心拍センサも搭載します。

5月12日にポストされた、Eric Migicovskyのブログでは、搭載SoCがSF32LB52xに変更されるようです。このために、Pebble OSを移植する必要がありますが、製造メーカのSiFliの支援が受けられるとされています。

How To Build A Smartwatch: Picking A Chip

6月11日に、Xのポストによれば、開発は順調に進んでいると報告されているので、移植もうまく進んでいることが確認できます。

出荷は、12月で少し先です。

リッチなハードやUIを持つスマートウオッチは、世に沢山あるので、Pebble 2 Timeがどれだけ受け入れられるかわかりませんが、次への展開も楽しみです。期待しましょう。

今週は、このあたりで、また来週。

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