イラストでわかる! Blenderの基礎知識

AIツール「Claude」使ってBlender上でモデリングしてみよう ~準備編~

本連載では、Blenderの基本的な知識、機能についてイラストを交えながら紹介しています。第57回目は、AIツールを使って指示を出し、Blender上でモデリングを行うための準備をしていきます。

どんな手順でAIを使うのか

今回は「Claude」というAIとの対話が行えるチャットツールを使って指示を出し、Blenderでモデリングを行っていく方法を見ていきます。パソコンにClaudeをインストールし設定を行うと、Claude上で指示を出すだけでBlender上にモデルが作られます。

もうすこし具体的に説明します。Claudeのチャット上でBlenderを操作する指示を出すと、AIは「Blenderでなにをしてほしいか」という課題に分けて、Blenderの操作コマンドの組み合わせを作ります。また、AIが「Blenderを使う必要がある」と判断することで、Blenderに指示を中継するサーバー「BlenderMCP」をClaudeが自動的に起動します。

このBlenderMCPサーバーを経由して、Blenderの操作コマンドの組み合わせをBlenderに伝えます。こうしてAIがBlenderを操作するようになります。この操作結果は、BlenderMCPが把握してClaudeに伝え、AIがそれを踏まえて、チャットでどのようなことをしたのかを説明してくれるわけです。

つまりClaudeとBlenderのほかに、BlenderMCPという中継サーバーも今回必要になってきます。

事前準備

事前にいろいろ準備する必要がわかったところで、具体的な手順を見ていきます。

Claudeのインストール

最初にClaudeのインストールを行います。以下のURLからデスクトップ版のClaudeをインストールしましょう。

Claude自体はWeb上でも使えますが、今回使う方法ではパソコンにインストールしたClaudeを使います。

コマンドのインストール

続いて、中継するサーバー「BlenderMCP」をダウンロードして設定していきたいのですが、BlenderMCPを動かすためには次のものがパソコンにインストールされている必要があります。

  • プログラミング言語Python 3の実行環境(バージョン3.10以上が必要です)
  • Pythonのパッケージ管理マネージャーの「uv」

ここではmacOSでのインストール作業を見ていきます。すでにPythonとuvを使える場合には読み飛ばしてください。

これらのインストールには、ターミナルアプリからコマンドを実行していきます。

その際macOSでは、簡単なコマンドで各種ツールをインストールできるパッケージ管理マネージャー「Homebrew」を利用するのが便利です。ただHomebrewを動かすために、macOS用の開発ツール「Commnad Line Tools」もあわせて必要になるため、そのインストールからはじめていきます。

まずは、開発ツールパッケージ「Commnad Line Tools」です。ターミナルを開いて、

$ xcode-select --install

と入力してEnterを押して実行します。インストールダイアログが表示されるので、⁠インストール」ボタンを押して進めてください。

次に、パッケージ管理マネージャーであるHomebrewです。インストールコマンドがHomebrew公式サイトに書かれているので、それをコピーし、ターミナルに貼り付けてEnterを押して実行します。

$ /bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"

途中、パスワードが確認されますので、入力してエンターを押して進めましょう(パスワードはターミナルに表示されないので注意してください⁠⁠。パスワードは、一人でパソコンを使っていればログインする際に入力しているものと同じです。

Homebrewをインストールしたことで、Homebrewが管理しているツールをインストールできるbrewコマンドがターミナルで使えるようになりました。

それではPython 3の最新版をbrewコマンドでインストールします。次のコマンドをターミナルで入力してEnterを押します。

$ brew install python3

これにより、Python 3のコマンドが使えるようになったはずです。ターミナルからpython3 -V(Windowsではpython -Vを実行することで、パソコンに入っているバージョンが確認できます。バージョンを確認しておきましょう。

$ python3 -V
Python 3.13.5

ターミナルの操作の最後に、brewコマンドを使ってuvをインストールします。次のコマンドを入力してEnterを押します。

$ brew install uv

インストールの確認は、同じくバージョンを確認して、uvコマンドが使えるか確認しておきましょう。uv -Vを実行してバージョンを確認できます(実際のところBlenderMCPでは一緒にインストールされるuvxコマンドが使われます⁠⁠。

$ uv -V
uv 0.8.0 (Homebrew 2025-07-17)

なお、Windowsの場合、Pythonは公式サイトなどからインストールできます。uvについてはBlenderMCPのサイトのインストール方法を確認してみてください。

Blender用のアドオンのダウンロード

次に、あとで使うBlender用のBlenderMCPアドオン(addon.py)をダウンロードしておきます。以下のBlenderMCPのサイトのアドオンのページを開いください。

中央にプログラムが書かれていますが、その右上部分にダウンロードボタンがあるので、それを押すとダウンロードできます。または、直接アドオンのファイルを開いて、addon.pyとして保存してください。

このアドオンのファイルは、自分の好きな場所で保存しておきます。あとで、Blenderからファイルを選択するので、場所は覚えておきましょう。

Claude上で設定を行っていく

もろもろと準備ができたら、次はClaudeとBlenderそれぞれで設定を行っていきます。まずはClaudeのほうから進めていきます。

Claudeを開くと、画面左上に三本線が表示されています。この三本線をクリックして[ファイル]から[設定]を選択します。すると、画面が切り替わります。

設定ウィンドウが表示されたら左側から[開発者]を選択して、右側に表示されるローカルMCPサーバーという見出しの下にある[設定を編集]ボタンを選択します。するとエクスプローラーが表示されます。

おそらく「claude_desktop_config.json」というファイルがわかりやすく選択された状態でフォルダが表示されます(見当たらない場合には、該当するファイル名を探してみてください⁠⁠。このファイルをクリックして開きます。

このファイルを開いて、以下のコードをそのまま貼りつけて保存し、ファイルを閉じます(もしも、ほかの設定を既に行っていたら、mcpServersの項にblender以下を追加するかたちになります⁠⁠。

{
    "mcpServers": {
        "blender": {
            "command": "uvx",
            "args": [
                "blender-mcp"
            ]
        }
    }
}

この設定を行ったあとに、一度Claudeの再起動してください(動作しなければ、パソコンの再起動も試してみてください)[1]

これにより、Claudeのチャットで指示を出したときに、AIがBlenderの操作を必要だと思ったら、ClaudeによってBlenderMCPのサーバーが(インストールされて)自動で起動するようになりました。BlenderMCPはその内容をBlenderに伝えようするわけですが、まだBlenderはBlenderMCPのからの指示を受け取れません。それは、このあとのBlenderのアドオンで設定することになります。

Blender上で設定を行っていく

BlenderMCPアドオンのファイルをさきほどダウンロードしましたが、これをBlenderにインストールします。Blenderを起動して、画面左上にある[編集]から「プリファレンス」を選びます。すると、プリファレンスの設定画面が表示されます。

プリファレンス画面左側から[アドオン]を選択し、画面右上にある矢印をクリックして[ディスクからインストール]を選びます。ウィンドウが新しく表示されるので、先ほどBlenderMCPアドオンのファイル(addon.py)を保存した場所を選び、このファイルを選択します。これでアドオンがインストールができます。

アドオンがインストールができたら、プリファレンス画面を閉じます。そして、Blenderの画面を選択している状態でNを押してサイドバーを出すと、⁠BlenderMCP]という項目が表示されているはずです。

このBlenderMCPアドオンには英語でいろいろな項目がありますが、一番下の「Connect to MCP server」ボタンがBlenderMCPと接続するボタンになります(BlenderMCPからの接続の待ち受けを開始します⁠⁠。なお、このボタンを押すと「Running on port 9876」とボタンの下部に表示され、ボタン自体は「Disconnect from MCP server」⁠BlenderMCPサーバーと接続を解除する)ボタンに切り替わります。

「Connect to MCP server」ボタンを押すことでBlenderとBlenderMCPのサーバーが接続されます。接続されたことで、Claudeのチャットで書いたBlenderに関する指示をAIが解釈して、必要であればBlenderMCPをとおしてBlenderを操作してくれるようになりました。


これで、Claudeから指示を出してBlender上でモデリングを行う準備ができました。次回は、実際に指示を出してどのような結果になるのか、また、Claudeで指示したモデルをもとにモデリングを行うとどうなるのかなどを見ていく予定です。次回も読んでくださると嬉しいです!

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