Intelは7月18日、同社が独自に開発/保守を行ってきたローリングリリース型のLinuxディストリビューション「Clear Linux OS」の提供を終了することを発表した。前日の7月17日にはClear Linuxの最新スナップショットが提供されていたのだが、Clear Linuxのサポートチームは「すべての良いことには終わりがある(All good things come to an end)」と題したアナウンスを公開、「IntelはこれをもってClear Linux OSのセキュリティパッチ、アップデート、メンテナンスの提供を終了する」と告知し、ユーザに対しては別のディストリビューションにできるだけ早く移行することを推奨している。
Clear Linux OSは2015年2月にIntelが発表したローリングリリース型のディストリビューションで、Intelハードウェア(x86_64)に高度に最適化されており、DevOpsやAI、クラウド、コンテナといった特定のユースケースで高いパフォーマンスを実現するOSとして知られていた。今回の突然のプロジェクト終了を嘆く開発者は少なくなく、ユーザフォーラムには悲しみの声が続々と寄せられている。なお、アナウンスには「IntelはLinuxエコシステムに引き続き深く投資し、Intelハードウェアを有効/最適化するために、さまざまなオープンソースプロジェクトとLinuxディストリビューションを積極的にサポートし、貢献していくので安心してほしい」と書かれている。
IntelはClear Linux OS終了の理由を明らかにしていないが、同社は現在、直接的な収益を上げることができないプロジェクトの見直しや中止を戦略的に進めており、その事業再編の一環でClear Linux OSのサポートが打ち切られた可能性が高い。また、ここ最近はソフトウェア部門のエンジニアのレイオフ/退職が続いており、7月に入ってからもLinuxカーネル開発にかかわってきたJithu Joseph(Intelファームウェアドライバ開発)やKiril Shutemov(14年に渡ってメインライン開発に従事)といった著名エンジニアがIntelを退職している。Clear Linux OSという高い評価を得ていたプロジェクトがシャットダウンし、古参のLinuxエンジニアが去っていくなかで、今後IntelがどのようにLinux/オープンソースプロジェクトをサポートしていくのか、その具体的なアプローチは残念ながらまだ見えてこないようだ。