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Linux 6.16リリース ― NVIDIA GPUサポート強化⁠Intel APXサポート

Linus Torvaldsは7月27日(米国時間⁠⁠、⁠Linux 6.16」を公開した。前バージョンのLinux 6.15から約2ヵ月、7本のリリース候補(RC)版を経たリリースで、Linusは「⁠⁠Linux 6.16の)見た目は良好で、非常に小規模で落ち着いたリリース」とコメントしており、大きなトラブルもなく、順調に開発が進んだことがうかがえる。

Linux 6.16におけるおもなアップデートは以下の通り。

  • NouveauドライバでのNVIDIA HopperおよびBlackwellのサポート
  • XFSファイルシステムにおける大規模なアトミック書き込みのサポート
  • オーディオデバイス向けのUSBオフロードサポート
    • …システムの他の部分がスリープ状態でもオーディオストリームの伝送が継続可能に
  • Intel Trusted Domain Extensions(TDX:機密性の高いゲストVMを物理攻撃やホスト攻撃から保護する機構)のイニシャルサポート
  • DMA-BUFからTCPペイロードをゼロコピーで送信可能に(Linux 6.15で実装されたio_uringのゼロコピー処理の拡張)
  • 重み付けインターリーブ自動チューニングポリシーの追加
    • …指定された重みにもとづいてノード間でメモリを自動でインターリーブするモードで、ユーザが指定した比率に従ってNUMAノード間でページ割り当てが可能に
  • Intel Advanced Performance Extensions(APX:汎用レジスタを16個から32個に倍増してコード内のロードとストアを減らし、消費電力を抑えながらパフォーマンスを向上)のサポート
  • AF_UNIXソケット経由でコアダンプ送信が可能に
    • …カーネルから事前にバインドされたUNIXドメインソケットに直接コアダンプを送信することで特権プロセス起動が削減され、高速かつ安全にコアダンプを届けられる
  • x86上のローカルCPUのビルド最適化
    • …独自にカーネルをコンパイルしているユーザに向けて「CONFIG_X86_NATIVE_CPU」オプションを提供、これを選択するとカーネルビルド時に「-march=native」オプションが付与され、コンパイラはCPUに合わせてコンパイルを最適化し、パフォーマンスを向上させる

Linux 6.17リリースに“家族イベント”が影響?

Linusはすでに次の「Linux 6.17」に向けたマージウィンドウをオープンしているが、8月にはフィンランドの家族も含んだ複数の家族イベントが控えていることから「月の半分ほどは旅行に費やすことになるが、旅行が始まる前の1週間でマージ期間の大半を終わらせるべく全力を尽くす。ただしマージウィンドウの2週めにすべてのプルリクエストを処理できなかった場合は、RC1を少し遅らせる可能性がある。ただしこれは⁠遅れたプルリクエストに対して僕が寛容になる⁠というわけではないので間違えないように」⁠Linus)と、やや慌ただしいマージウィンドウになるかもしれないことを示唆している。

マージウィンドウ期間も含め、それほど開発に大きな混乱が生じなければ、Linux 6.17は9月下旬または10月初旬にリリースされると見られる。Linux 6.17は今秋リリース予定の「Ubuntu 25.10」「Fedora Linux 43」などでの採用が期待されるだけに注目度も高くなりそうだ。

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