ソラコムは2025年7月9日、翌週に行われる同社の年次カンファレンス「SORACOM Discovery 2025」に先立ちメディア向けの説明会を開催、同社のIoTプラットフォームと生成AIを組み合わせた新たなサービス、戦略を発表した。
これまで同社はIoTアプリケーションの開発を支援する「SORACOM Flux」や時系列データの可視化・分析を支援する「SORACOM Harvest Data Intelligence」、自然言語でのデータ照会を可能にする「SORACOM Query Intelligence」など、収集したIoTデータを加工、分析するためにAI技術を用いたサービスを発表してきた。今回の発表では同社のプラットフォーム自体に生成AIを組み合わせる技術/サービスが追加されている。
MCPサーバーの提供開始
SORACOMの機能やリソースにアクセスするAPIをもつ独自のMCP(Model Context Protocol)サーバーがアーリーアクセス版として公開された。MCPサーバーはNode.js上で動くnpmモジュールとして提供され、MCPクライアント機能をもつAIアプリやプラットフォームからSORACOM APIへのアクセス、機能実行が可能となる。
MCPサーバーの概念、これにより課金情報からコストを分析し、コストの削減案をAIが提示するといったことが可能になる。
IoTデータ分析基盤「SORACOM Query」の正式提供開始、QueryアシスタントAI機能で自然言語での操作も可能に
2023年から一部のユーザーに公開してフィードバックにより改良を続けてきたデータ分析基盤サービス「SORACOM Query」の正式提供を2025年7月16日から開始する。「SORACOM Query」はIoTデータ収集・蓄積サービス「SORACOM Harvest Data」に蓄積された過去からの時系列IoTデータや、同社のIoT SIMの状態などの通信管理情報を検索・分析できるサービス。
SORACOM QueryはSQLにより操作するが、正式リリースにあわせて「QueryアシスタントAI」機能を搭載した。これは生成AIにより自然言語による指示をSQLに変換する機能で、自然言語で問い合わせて操作が可能となる。
アシスタントAIにより自然言語で操作できる「SORACOM Query」の画面
SORACOM Queryは、2ヵ月無料でクエリ回数に制限のあるTrialプラン、月額課金でクエリ回数に制限のない(※2000クエリを超えると別料金)ビジネスラン、そして複数のアカウントを統合して使えるエンタープライズプラン(料金はカスタム)の3種の利用プランで提供される。
「OpenAI APIプラットフォーム」とエンタープライズ契約を締結
またこの日、ソラコムはOpenAIの法人向けの大規模なシステムへの組み込みを想定したメニュー「OpenAI API プラットフォーム」のエンタープライズ契約を締結したことを発表した。APIを通じて生成AIを業務システムや顧客向けサービスに組み込む際に対応可能となるという。
具体的な内容は7月16日開催の「SORACOM Discovery 2025」にて明らかにされる見込み。