Linus Torvaldsは12月14日、次期Linuxカーネル「Linux 6.19」の最初のリリース候補板となる「Linux 6.19-rc1」を公開した。今回のマージウィンドウ期間にはLinusをはじめとする主要メンテナーの多くが日本で開催された「Open Source Summit Japan」「Linux Kernel Maintainer Summit」に出席していたことから、Linux 6.19-rc1の公開が遅れることも予想されていたが、Linusは日本時間にあわせて逆に通常より若干早いタイミングで公開している。
Linux 6.19ではAMD Zen 6やIntel Nova Lakeなど最新プラットフォームに向けた準備が期待されるなど、さまざまなアップデートが予定されているが、とくに注目されているのがカーネルにおけるRustの扱いの変更だ。LinusはLinux 6.19-rc1の告知において「Rustに関してはいくつかのドライバが具体的な形となって現れてきている。これまでの“おもに準備とインフラストラクチャのフェーズ”から“実際のドライバとサブシステムの開発”フェーズに入り始めている」とコメントしており、Rustの導入が本格化することを示しているが、これは日本で行われたLinux Kernel Maintainer Summitでの議論を受けてのものだと思われる。
このサミットに参加したRust for LinuxプロジェクトのリーダーであるMiguel Ojedaは「(2022年12月リリースの)Linux 6.1で実験的にメインラインに統合されたRustは、2025年のLinux Kernel Maintainer Summitで実験が終了したと判断された。つまりRustは定着するということだ(Rust is here to stay.)」と12月13日付けでLKMLに投稿しており、LinuxカーネルにおけるRust導入が順調に進んでいることを明言、ドキュメントの実験(The Rust experiment)セクションを削除することになると語っている。
Rustで書かれたドライバはすでに数多く存在しており、たとえばNVIDIAの次世代GPU向けオープンソースドライバ「NVIDIA Nova」などがそれにあたる。また、DebianやUbuntuといったメジャーなディストリビューションもRustサポートを積極的に推進しており、メインラインにおけるRustコードの存在感はLinux 6.19でより高まることは間違いない。
Linux 6.19は2026年最初のカーネルとして2月上旬ごろにリリースされる見込みだ。