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2025年のLinux関連ニュースを振り返る

2025年もあと数日を残すのみとなり、本コラムも本年最後の掲載なので、年末らしく、この1年で起こったLinux界隈のあれこれをざっくりと振り返ってみたい。

Linuxカーネル

メインラインのアップデートは1月19日の「Linux 6.13」に始まり、11月30日の「Linux 6.18」まで合計6本のリリースが行われた。なお最後に公開されたLinux 6.18は長期サポート(LTS)版として今後2年間に渡ってメンテナンスが行われることになる。Linuxカーネルの通常の開発サイクルは約2ヵ月、2週間のマージウィンドウ期間のあとに、7週間に渡ってリリース候補版が出されるケースがデフォルトだが、2025年はこのスケジュールがまったく崩れることなく進行し、あらためてLinus Torvaldsの「変わらない作業を淡々と、徹底してやり続ける」というスタイルが浮き彫りになった。

カーネル機能のアップデートに関しては、ドラスティックな新機能の追加よりも、パフォーマンス改善やセキュリティ強化を重視した改善、とくにBtrfsやext4、XFSといった主要なファイルシステムの継続的な機能強化が目立った。また、2022年から始まったRustの統合が着実に進み、メインラインにおける実験的フェーズを完了したことも重要な進展のひとつだったといえる。なお、カーネル開発コミュニティとコンプライアンス案件で何度も衝突し、Linusからも警告を受けていたKent Overstreetがリードデベロッパとして開発するファイルシステムBcachefsはLinux 6.18でメインラインから完全に削除されることとなった。

2026年最初のカーネルリリースとなる「Linux 6.19」は2月初旬ごろに登場する予定で、さらにその次となるリリースは(慣例に従えば)⁠Linux 6.20」ではなく「Linux 7.0」となる見込みが強い。

デスクトップはWayland一本化が進む

デスクトップ環境のトレンドとしてはやはりWaylandへの一本化がより進んだことが挙げられるだろう。GNOMEもKDEもX11のサポートを徐々に終了してWaylandにフォーカスする方針を明らかにしており、GNOMEに至っては9月リリースの「GNOME 49」でX11のデフォルト無効化を予定していたが、技術的な問題からいったんこれをリバートし、2026年春に予定している「GNOME 50」での実現を目指している。

また、KDE Plasmaも10月にリリースした「KDE Plasma 6.5」でWaylandとの親和性を大幅に強化させており、近い将来(2027年前半ごろ)にリリース予定の「KDE Plasma 6.8」では完全にX11サポートをドロップし、Waylandオンリーで提供する方針を明言している。また、FirefoxやChromeといったWebブラウザや、Ubuntu、Debian、FedoraといったメジャーなLinuxディストリビューションもX11セッションサポートの縮小とWaylandサポートの拡大を表明しており、2026年はこのWayland一本化への流れがさらに加速することは間違いないだろう。

もっとも、X11アプリを使わなければならない状況にあるユーザも少なからず存在するわけで、そうしたユーザに対してはWayland上でX11アプリを動かすための互換レイヤである「XWayland」の利用が推奨されることが多い。また、Alpine Linuxの開発者が取り組んでいる「Wayback」という互換レイヤもあり、現在はバージョン0.3が公開されている。ただ、いずれにせよWaylandへの流れはもはや止めようがなく、X11アプリユーザは具体的な移行手段を検討する時期にきている。

Others

その他、今年のLinux関連ニュースで気になったものを挙げておく。

  • 2年ぶりのメジャーアップデートとなったDebian 13 "Trixie"が8月にリリース、Debian 15のコードネームは⁠Duke⁠に決定、systemdフリーのDevuanもTrixieベースに
  • Intel、Brendan Greggなど著名なLinuxカーネルエンジニアやオープンソースエンジニアの退職が相次ぐ、オープンソースプロジェクト「Clear Linux OS」のサポートも終了
  • Linux/オープンソースの開発におけるAIツールの利用についての議論が増えるもAI懐疑派/慎重派の発言も目立つ
  • NVIDIA、BlackwellやRubinなど次世代GPUアクセラレータのLinuxサポートに積極的に対応、Rustで書かれたドライバ「NOVA」はLinux 6.15でイニシャルサポート
  • Red Hat Enterprise Linux 10が5月にリリース、3年ぶりのメジャーアップデートでAIサポートとセキュリティを強化
  • Linux Foudation、2025年度の収益として3億1000万ドルを達成、初の3億ドル超え

個人的に注目しているのが、Linux/オープンソース開発におけるAIの統合だ。先日、Firefoxの新CEOがFirefoxへのAI機能実装を宣言したところ、少なくない数のユーザから強い批判を受けたことは記憶に新しいが、おそらくLinuxカーネルやディストリビューションにおいても今後、同様のトピックが議論される機会が増えることが予想されるだけに、動向を注視していきたい。


2025年も本コラムをお読みいただき、ありがとうございました。良いお年をお迎えください。

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