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不測の事態に備えて ― Linux 6.19-rc7にカーネル開発の継続性に関するドキュメントが追加

Linus Torvaldsは1月25日、次期Linuxカーネル「Linux 6.19」の7本目のリリース候補版(RC)となる「Linux 6.19-rc7」を公開した。通常のサイクルであれば7本目のRCが最後のRCとなるが、Linux 6.19は年末年始のホリデーシーズンをまたがった開発となったため、Linusは次週(2/1予定)に8本目のRC公開を予定している。

今回のRC7で注目されるのは「Linuxカーネルプロジェクトの継続性(Linux kernel project continuity⁠⁠」に関するドキュメントが含まれたことだ。これはLinuxカーネル開発における⁠不測の事態⁠―つまり、なんらかの理由でLinusがGitのメインリポジトリ(torvalds/linux.git)を更新できなくなった場合、あるいはLinusがその更新を望まなくなった場合にコミュニティがどのように行動するかを定めたもので、2025年12月に東京で開催された「Linux Maintainers Summit」の最終パートで議論された結果を反映している。ドキュメントの概要は以下の通り。

  • Linuxカーネル開発プロジェクトは100人以上のメンテナーがそれぞれのリポジトリを更新して変更を反映しているが、最終段階はLinusによって集中管理されている。だが2018年のLinux 4.19のように必要に応じて別のメンテナーがその作業を行うこともできる

  • Linusが今後その作業を行うことを望まなくなった、または行えなくなった場合のプロジェクトは遅滞なく1人以上の代わりを見つける必要がある。そのプロセスは$ORGANIZER(直近のMaintainers Summit主催者、バックアップとして現在のLinux FoundationのTechnical Advisory Board:TAB)議長が主催する

  • 不測の事態発生から72時間以内に$ORGANIZERは直近のMaintainers Summitの招待者と議論を開始する。過去15ヵ月間にサミットが開催されていなければTAB議長が招待者を決定する

  • 招待者は必要に応じて他のメンテナーを招集できる

  • 会議の議長は$ORGANIZERが務め、プロジェクトとコミュニティの長期的な健全性を最大限に高めるという期待のもと、トップレベルカーネルリポジトリの継続的な管理に関する選択肢を検討する

  • 2週間以内にグループの代表者はksummit@lists.linux.devメーリングリストを利用してコミュニティに今後のステップを伝える

  • Linux FoundationはTABの指示に従い、この計画の支援と実施に必要な措置を講じる

いつかはLinusがカーネル開発から離れる日が来る ―もっともLinusは最近、Linux Foundationと新しい契約を締結し、すぐに退任するつもりはないとされているが、プロジェクトの継続性を考慮すれば不測の事態に備えたプロセスをドキュメントとして用意しておくことは当然といえる。そのプロセスを実行する必要がしばらくはないことを願っていたとしても。

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