OSSデータベース取り取り時報

第126回MySQL 9.6.0リリース⁠Fujitsu Enterprise Postgres 18リリース

この連載はOSSコンソーシアム データベース部会のメンバーがオープンソースデータベースの毎月の出来事をお伝えしています。

[MySQL]2026年1月の主な出来事

1月は、MySQLのイノベーション・リリースの最新版であるMySQL 9.6.0が公開されました。またMySQL 8.4 LTSとMySQL 8.0の各マイナーバージョンおよび各クライアント・プログラムがリリースされました。なお接続部品のConnectorのバージョン9.6.0は、サポート中のすべてのMySQLサーバーのバージョンに接続可能になっています。そのため8.4.xや8.0.xはリリースされていません。クラウド版MySQLであるMySQL HeatWave 9.6.0もリリースされました。

また、VS Codeの拡張機能であるMySQL Shell for VS Code 1.20.0+9.6.0がリリースされました。MySQL Workbench 8.0.45で利用可能となったMySQL HeatWave Migration Assistantが、MySQL Shell for VS Codeにも組み込まれています。

2025年はMySQL30周年の記念の年として世界各地で記念イベントが開催されました。アジアで開催されたイベントの模様の動画もMySQLコミュニティチームから公開されています。

東京で開催されたMySQL30周年記念イベントの模様
MySQL 30周年記念イベント動画1
MySQL 30周年記念イベント動画2

MySQL 9.6.0イノベーション⁠リリースでの新機能や変更点

MySQL 9.6.0は、予定であれば次のLTS(Long-Term Support)リリース前の最後のイノベーション・リリースとなります。9.6.0では、外部キーの処理をこれまでのInnoDBストレージ・エンジンのレベルではなく、サーバーのレベルで処理する大がかりな変更を行っています。これまでどおりInnoDBで処理するためのシステム変数innodb_native_foreign_keysが追加されました。なおこの innodb_native_foreign_keysは9.6.0で追加と同時に非推奨となっています。InnoDBのREDOログのエラーメッセージにはLSN(Log Sequence Number)が追加されました。

MySQL AI 9.6.0での新機能や変更点

MySQLサーバーに機械学習エンジンやLLM、 新しいGUIツールであるMySQL Studioを統合した新しい商用版のMySQL AIも9.6.0がリリースされました。MySQL HeatWaveでは一足先にサポートされていたNL2MLが追加されています。このNL2MLは、自然言語での質問から機械学習自動化のコンポーネントであるAutoMLを利用するための手順やSQL文の生成を行う機能です。類似した名称のNL2SQLは自然言語からSQL文を生成して実行する機能ですが、このNL2MLはSQL文の生成までを行うため、実行には生成されたSQL文をコピーして手動で実行する必要があります。

MySQL HeatWave 9.6.0での新機能や変更点

9.5.0でサポートされたマテリアライズド・ビューが改良され、アプリケーションからのSQL文が明示的に既存のマテリアライズド・ビューを使用していない場合でも、HeatWaveが最適と判断したマテリアライズド・ビューを自動的に使用し、応答性能の向上を狙えるようになっています。集計処理を効率化するための新しいSQLのシンタックスとしてGROUPING SETSが追加され、複数のGROUP BYとUNION ALLを組み合わせないと得られないような集計のSQL文をシンプルに書けるようになっています。

HeatWave Lakehouseでは、Parquetファイルフォーマット内のリストやネストされた構造をJSONとしてロードできるようになりました。またオブジェクト・ストレージ上のデータをHeatWaveのメモリにロードする前に、データ構造などの検証を行うためのオプションが追加されています。

OCIの生成AIサービスの拡充にあわせて、HeatWave GenAIで利用できるLLMにOpenAIのgpt-ossとGoogle Geminiが追加されました。OCIの生成AIサービスで利用可能なモデルはリージョンによって異なっており、頻繁に更新されていますので、マニュアルの一覧を確認してください。

また、9.6.0リリースの前のタイミングで、192 ECPU(192 vCPU相当)と1.3TBのメモリを搭載した大型のシェイプMySQL.192が利用可能となっています。

[PostgreSQL]2026年1月の主な出来事

1月はPostgreSQL自体のリリースはありませんでした。サポート中の各メジャーバージョンに対するマイナーバージョンの次回リリースは2月中旬の見込みです。

今回はデータベース分野での人気ランキングの現状と期待について、そして最新のバージョン18がベースとなったサポート付きの機能拡張製品のリリースについてお知らせします。

PostgreSQL人気ランキングの現状と期待

DB-Enginesのデータベースランキングをご覧になっている方は多いでしょう。現在 MySQLが2位、 PostgreSQLは4位、その間の3位はMicrosoft SQL Serverです。1位のOracleを含めて上位の順位はもう長いこと変わっていません。それほどデータベースの分野は下剋上しにくい世界でもあります。

しかし、最新の1月度のランキングを見ると、3位と4位のPostgreSQLとの差があとわずかになっています。毎年、PostgreSQLは着実に得点を向上させてきています。ここ数年間の傾向が今年も継続すれば、2026年中にPostgreSQLが3位に上がって、2位のMySQLと並びそうです。ランクアップのニュースをいつお知らせできるか今から楽しみです。

なお、DB-Enginesでは毎年の年初に、前年の「DBMS of the Year」を発表していましたが、2025年のDBMS of the Yearの発表はありませんでした。

DB-enginesランキングチャート – 2026年1月時点の上位5種
DB-enginesランキングチャート

Fujitsu Enterprise Postgres 18リリース

PostgreSQLは、開発コミュニティであるThe PostgreSQL Global Development Groupがリリースするものが中心で、これがいわゆるコミュニティ版です。この連載でお知らせをしている新バージョン(メジャーバージョンやマイナーバージョン)のお知らせは、このコミュニティ版を基準にしています。

そして、コミュニティ版が中心ではありますが、機能拡張やサポートサービスが付いたものを提供・販売している企業がたくさんあります。ちょっとややこしいのは事実ですが、これがPostgreSQLのエコシステムになっています。

1月、そのようなPostgreSQL由来の製品を提供している富士通から、最新バージョン18をベースとしたFujitsu Enterprise Postgres 18がリリースされました。

Fujitsu Enterprise Postgres 18は次の2点が主要な特徴になっているようです。

  • 生成AIの活用においてRAG(Retrieval-Augmented Generation)と呼ばれるアプローチが広く用いられています。RAGの効果を最大化するため、外部データソースとして利用可能な知識データ管理機能を提供しています。
  • 従来のAIアプリケーション開発を支援する「知識データ管理」を強化したり、ミッションクリティカル対応を強化する「マルチマスターレプリケーション」が提供されます。

リレーショナルデータベース(RDB)は、AIをはじめとする先進技術と連携し、ビジネス価値を創出する中核的な役割を担うようになってきています。その役割を担えるような特徴を持たせたものになっています。

2026年2月以降開催予定のセミナーやイベント⁠ユーザ会の活動

イベントごとに利便性のあるオンライン開催や、従来通りのオンサイト(会場)開催、またはハイブリットが混在するようになっています。興味を持たれて参加したいイベントの開催形態にご注意ください。

第55回 PostgreSQLアンカンファレンス@オンライン

日程 2026年2月5日(木)20:00〜22:00
場所 オンライン開催
内容 今回は、発表枠がいつもと変更になっているようです。⁠PostgreSQLについてしゃべりたいことがある、聞いてほしいことがある!」⁠PostgreSQLについて聞いてみたい、相談したい!」そんな感じで登壇してもらってOKです。
  • 初心者による「使ってみた/動かしてみた」
  • 中級者による「こういうノウハウ使ってる」
  • 上級者(?)による「こういう拡張してみた」
その他、PostgreSQLに関連する話題であれば何でもOK!アンカンファレンス形式なので、何が出るかは当日参加してのお楽しみ。
主催 PostgreSQLアンカンファレンス

HeatWavejp主催 HeatWavejp Meetup #17

日程 2026年2月12日(木)19:00〜20:30
場所 [オフライン会場]PASONA SQUARE(東京都港区南青山3-1-30)
[オンライン会場]オンライン(Zoom)
内容 HeatWavejpは、MySQL HeatWave の良さを知っていただき、参加者同士でノウハウやナレッジを共有できるユーザーコミュニティです。#17はバージョンアップに関連したテーマで開催予定です。MySQL 8.0 がいよいよ EOL を迎え、Sustaining Support フェーズに入ります。これまで様子見を続けてきた MySQL 8.0 利用者にとっても、⁠いつか」ではなく「どう進めるか」を具体的に考えるタイミングになってきました。本Meetupでは、MySQL 8.0 から次のバージョンへ進むにあたり、バージョンアップ/マイグレーションを検討する際に技術者として押さえておきたい考え方や整理ポイントを共有します。HeatWavejpメンバーの皆さん、初参加でもMySQL HeatWaveに興味のある方は、是非、オフライン会場にお越しください!!
主催 HeatWavejp(MySQL HeatWave Japan User Group)

九州発!次世代デジタルインフラの未来 九州版ワット⁠ビット連携とは何か?〜地域電力とデータ活用の新潮流〜(劔"Tsurugi"講演あり)

日程 2026年2月18日(水)13:30~16:00
(申込締切2026年2月10日(火)まで)
場所 電気ビル共創館3階(福岡市中央区)
内容 地域で進むデジタル化を背景に、九州発の「ワット・ビット連携」による次世代デジタルインフラの姿が紹介されます。電力とデータ活用を組み合わせた新たな地域モデルを解説し、九州で今後広がるビジネス創出や地域振興の可能性を探るヒントをお届けします。この中で新DBMSの劔"Tsurugi"に関する講演があります。
主催 共催: 九州電力株式会社、株式会社ノーチラス・テクノロジーズ、株式会社インターネットイニシアティブ

オープンソースカンファレンス(OSC)〔2月〜6月開催分〕

日程 〔Tokyo/Spring〕2026年2月27日(金⁠⁠、28日(土⁠⁠ 10:00〜18:00
〔Kagawa〕2026年4月18日(土)10:00~18:00予定
〔Nagoya〕2026年5月23日(土)10:00~18:00
〔Sendai〕2026年6月6日(土)10:00~18:00予定
場所 〔Tokyo/Spring〕駒澤大学 駒澤キャンパス 種月館(東京都世田谷区)
〔Kagawa〕e-とぴあ・かがわ(香川県高松市)
〔Nagoya〕中小企業振興会館(名古屋市千種区)
〔Sendai〕東北電子専門学校(仙台市青葉区)
内容 オープンソースカンファレンス(OSC)は、オープンソースの今を伝えるイベントです。東京だけでなく、北は北海道、南は沖縄まで、年間を通じて全国各地で開催しています。オープンソース関連のコミュニティや協賛企業・後援団体による、セミナーやプロダクトの展示などを入場・参加料が無料でご覧いただけるイベントです。今回ご案内する開催地はすべてセミナーと展示の両方とも会場開催です。
〔Tokyo/Spring〕セミナーのタイムテーブルが公開されました。OSSコンソーシアムも2月27日(金)の午後にセミナーを開催します。
〔Kagawa〕2月上旬から出展者募集予定です。
〔Nagoya〕3月上旬から出展者募集予定です。
〔Sendai〕3月中旬から出展者募集予定
OSSデータベース関連の発表の詳細は、公開される各回のプログラム詳細をご参照ください。
主催 オープンソースカンファレンス実行委員会

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