2026年3月4日、TOC有明にて、EM
当日、メディアパートナー
AI時代のEMのあり方を考える
生成AIの普及によって、コーディングやデザインのハードルは急速に下がりつつあります。その結果、
こうした変化は、エンジニアを束ねる立場にあるEMにとっても無関係ではありません。EMConf JP 2026では、AI時代におけるキャリアへの不安や、エンジニアやEMの価値はどこにあるのかといった問いに向き合うセッションが数多く見られました。
AI Coding の先にある、Engineering Manager の本当の仕事
キャディ株式会社 藤倉 成太氏、@sigemoto
キャディ株式会社VPoEの藤倉氏は、AIによってEMの仕事がどう変わるのかを、
まず藤倉氏は、AIが登場したからといって、ソフトウェアの役割そのものがなくなるわけではないと説明します。蒸気機関や電力といった過去の技術革新でも、登場直後は社会や経済への影響は限定的でした。本当に大きな価値が生まれたのは、生産ラインやサプライチェーン、組織やルールといったしくみが、新しい技術を前提に作りなおされたときだったとのこと。
AIの時代も同様で、単なる作業の自動化ではなく、AIを前提にしたシステムやしくみを設計することで、大きな価値が生まれると語りました。
一方で、エンジニアの仕事の中身は大きく変わる可能性があります。AIエージェントによってコード生成やレビューが自動化され、これまで経験豊富なエンジニアが担ってきた仕事も代替され始めています。そうした中で人間に残る役割は、
その結果、開発チームのあり方も変わる可能性があります。AIを活用することで役割の境界は曖昧になり、PdMやデザイン、バックエンドなどを横断しながら、2〜3人程度の小規模チームでプロダクトを作る形が増えていくのではないかと藤倉氏は見ています。
こうした変化の中で、EMの役割も変わります。技術的な不確実性が下がることで、プロジェクト管理の重要性は相対的に低下する一方、メンバーの意思決定や責任を支えるピープルマネジメントの重要性は、むしろ高まるといいます。
最後に藤倉氏は、AIによる変化の先にある未来は誰にも正確には予測できないとしつつも、こうした大きな転換期の最前線に立てること自体がおもしろいことだとして、
(なお、講演はスライドにトークテーマのみを映す形式で行われたため、資料の公開はありません。)
AI時代、mentoが考えるマネジメントのサクセスとその実践
株式会社mento 松山 勇輝 氏、@matsumatsu202
株式会社mentoの松山氏の発表は、
松山氏は、AIによって生産性は向上しているものの、人の意思決定がボトルネックになっていると語ります。依然として、
発表の中で特に印象的だったのは、マネージャーは人だけでなく、AIエージェントも管理するようになるという指摘です。さらに興味深かったのは、エンジニアリング領域こそが、AIによる生産性革命の最前線にあるという見方でした。
現在、エンジニアリング現場で起きている変化は、数年後には他の職種へ、さらにその後にはエンタープライズ企業へと波及していく可能性が高いといいます。つまり、今エンジニア組織で起きている問題は、あらゆる職種が将来直面する課題の予告編とも言えるとのこと。
noteにて登壇内容が全文書き起こしされています。
このように、AI時代にEMに求められる価値を考える講演は、聴講者の悩みや関心とも重なっており、その分注目度も高かったようです。AIを活用することはもはや当たり前となっているため、そのうえでどのように価値を発揮するかといった、もう一歩踏み込んだ議論が多かったように思います。
マネージャーとして組織・人の課題と向き合う
先述のように、
技術やツールが進歩しても、組織の課題が簡単に解決されるわけではないようです。ここでは、組織の課題についてのセッションを紹介します。
技術的負債の泥沼から組織を救う3つの転換点
株式会社スリーシェイク nwiizo 氏、@nwiizo
nwiizo氏は、
特に印象的だったのは、次の言葉です。
技術的負債を技術だけで解決できるものととらえるのではなく、組織構造や学習文化を見なおし、変化を阻む要因に丁寧に対処する必要があることが伝わってくる発表でした。
スーパーマンに頼らない“分権型組織”で作る強い開発チーム
株式会社スマートバンク 三谷 昌平 氏、@shohei1913
三谷氏のセッションでは、
2024年、スマートバンクでは、従来の短期解散型のプロジェクトチーム体制から
その解決策として、同社では、
マネージャーがすべてを抱え込むのではなく、現場が自律的に意思決定し、前に進めるための役割を設計する――その重要性を感じさせる、示唆に富んだセッションでした。
エンジニアリング以外の視点を養う
現代は、エンジニア/
EMConfでは、エンジニアに求められるエンジニアリング以外の視点についてもセッションが行われました。
「事業目線」の正体 〜3つのフェーズのCTO経験から見えてきた、EMが持つべき視点
Almoha LLC CEO/
sotarok氏は
数字を知り、顧客と隣接組織を理解し、それを戦略へ反映していく。このプロセスは、AI時代のEMが
「事業目線を持って」
マネージャー版 "提案のレベル" を上げる
株式会社Kyash こにふぁー氏、@konifar
こにふぁー氏は、より高度な判断が求められるようになるほど、それを周囲と合意形成していく
不確実性が高く、正解のない状況で意思決定を進めるには、自分一人で完璧な提案
AIが実装を担うようになるほど、人間はより曖昧で答えのない問いに向き合うことになります。そのとき、正解に近づき続ける
これからの時代「EM」に求められること
AIの進化によって環境が目まぐるしく変わる中で開催された今回のEMConfでしたが、繰り返し語られていたのは、AIによる変化そのものよりも、その変化の中で人が何を担うのか、そしてEMがどこに価値を発揮するのかという問いでした。
実装や作業の一部をAIが担うようになったとしても、何を作るのかを見極め、組織として前に進むための意思決定を支え、人とチームの力を引き出す役割までは、簡単に置き換えられません。本イベントを通じて見えてきたのは、AI時代だからこそ、EMには
イベントを支えた運営チーム
最後に、本イベントを支えた運営のみなさんの活躍についても触れたいと思います。
本イベントは、運営のみなさんの尽力による参加者体験の良さも印象に残りました。
会場には、EMの
© 2026 EMConf JP 2026 実行委員会
また、今回からDE&I
運営コアメンバーのさとだい氏
こうした運営チームの丁寧な準備と工夫に支えられ、EMConf JP 2026は多くの参加者にとって学びの多い一日になっていたように思います。本記事の締めくくりとして、イベントを支えた運営のみなさんに感謝を申し上げます。
