VS Code 1.120リリース⁠Agentsウィンドウの安定版向けプレビューを開始

Microsoftは2026年5月13日、Visual Studio Code(以下VS Code)のバージョン1.120をリリースした。今回のリリースでは、エージェントを使った開発を支援するAgentsウィンドウの安定版向けプレビューを開始したほか、BYOK(Bring Your Own Key)モデルのトークン使用量表示、Markdown差分プレビュー、ターミナルコマンドのリスク評価などが追加されている。

Agentsウィンドウの安定版向けプレビューを開始

バージョン1.119では、VS Code Insiders向けのVisual Studio Code Agentsで、新規セッション作成時のリポジトリ選択UI、サブセッション管理、Web/モバイル向け表示、作業中の進行状況表示などが改善されていた[1]

今回のVS Code 1.120では、Agentsウィンドウの安定版向けプレビューが始まった。Agentsウィンドウは、複数のプロジェクトにまたがるエージェントセッションを扱うための専用ウィンドウであり、通常のVS Codeエディタのコンパニオンとして別画面で動作する。起動には、VS Codeのタイトルバーにある「Open in Agents」ボタンなどを利用する。

安定版向けのプレビュー公開にあわせて、Agentsウィンドウの使い勝手も改善された。新しいセッションを作る画面で、エージェントの実行基盤や実行環境の分離方法など、前回ドロップダウンで選んだ項目が保持されるようになった。また、Changesパネルから編集を直接破棄できるようになり、Filesパネルにはベースブランチの上流の変更を確認して取り込むための同期ボタンが追加された。完了済みセッションを開いたときに、エージェントが行った変更全体のビューを自動的に表示するようにもなった。

Agentsウィンドウでは、テーマ、文法、言語、キーバインドのように、追加のコード実行を伴わない拡張機能は自動的に有効化される。それ以外の拡張機能は、デフォルトのVS Codeプロファイルにインストールしたうえで、設定のextensions.supportAgentsWindowに拡張機能のIDを指定する必要がある。

エージェント関連ではこのほか、GitHub Copilot CLIでインストールしたエージェントプラグインをVS Codeが自動検出するようになった。これにより、同じプラグインをVS Code側にもインストールしたり、chat.plugins.pathsへパスを追加したりする作業が不要になった。

BYOK管理とモデル選択を見やすく

BYOKでは、AnthropicやOpenAIなどのAPIキーや、対応するモデルプロバイダーへの接続情報をユーザー自身で登録してチャット機能で使う。VS Code 1.120では、BYOKモデルのコンテキストウィンドウ管理が改善された。

これまでは、ユーザーが持ち込んだAPIキーで利用するモデルについて、チャット画面のコンテキストウィンドウコントロールが常に0%およびゼロトークンとして表示されていた。トークンの計上が組み込みモデルに限られていたためで、今回のリリースではBYOKモデルも計上対象となり、正確なトークン使用量と使用率を確認できるようになった。

推論能力を持つBYOKモデルについては、応答品質とレイテンシ、コストのバランスを調整するthinking effortを、Chatビューのモデルピッカーから設定できるようになっている。設定値は各リクエストでモデルへ渡される。今回新たに対象となるのは、OpenAI、xAI(Grok⁠⁠、OpenRouter、カスタムOpenAIデプロイやAzure OpenAIデプロイなど、OpenAI互換エンドポイント経由で提供されるBYOKの推論モデルになる。Anthropicモデルはすでに対応済みで、VS Code 1.120ではプロバイダー間の操作がそろえられた。

モデルピッカー全体にも改善が入り、プロバイダーごとのグループ化や名前検索に対応した。最近使ったモデルの一覧でもプロバイダー名が表示されるため、似た名前のモデルを区別しやすい。チャット入力欄で/modelsと入力すると、モデルピッカーにアクセスできる。

チャットではターミナル出力の整理⁠リスク表示⁠Planモードを改善

チャット機能では、長いターミナル出力によるコンテキストウィンドウの消費を抑えるため、プレビュー機能として設定にchat.tools.compressOutput.enabledが追加された。この設定を有効にすると、VS Codeはコマンド出力をモデルへ送る前に圧縮・整理する。具体的には、git diffでは変更のない大きな部分を省略し、ロックファイルやスナップショットの差分も省く。ls -lはファイルやディレクトリの名前だけに絞り、npm installでは進捗バー、非推奨警告、監査サマリーを取り除く。なお、圧縮された出力の先頭にはモデル向けの短い説明が付き、適用されたフィルターと、元のテキストが必要な場合に圧縮を無効にできることを伝える。

チャット上でターミナルコマンドの実行を確認する画面には、実験的機能としてリスク評価も追加された。設定のchat.tools.riskAssessment.enabledを有効にすると、コマンドの内容をAIが説明し、3段階のリスクバッジを表示する。バッジの種類は、ファイルの読み取りや出力だけを行う操作は緑のSafe、ワークスペース変更、パッケージインストール、ネットワーク送信などを伴う操作はオレンジのCaution、リモートへのforce pushやワークスペース外のファイル削除のように取り消しが難しい操作は赤のReview carefullyとなる。

チャット関連の改善としては、ClaudeエージェントやCopilot CLIでPlanモードを使う場合の計画確認UIも改善した(設定はchat.planWidget.inlineEditor.enabled⁠。エージェントが実行を始める前に提示する計画を、別のエディタタブを開かず、チャット内に表示される計画確認画面で確認・編集できるようになった。計画にフィードバックを返す際には、フィードバック入力中であることや、これまでに入力した内容も表示される。

Markdown差分をプレビュー表示で確認可能に

Markdownでは、バージョン1.119で、Markdownファイルを開いたときにプレビュー表示へ切り替えるボタンや、Markdown: Switch to Preview Viewコマンドが追加されていた。

バージョン1.120では、Markdownファイルの差分レビューをレンダリング済みのプレビュー上で確認できる、Markdownプレビューの差分ビューがプレビュー機能として追加された。デフォルトでこのビューを使うには、設定ファイルのsettings.json上でworkbench.diffEditorAssociations"*.md": "vscode.markdown.preview.editor"を追加する。

この差分ビューはサイドバイサイド表示とインライン表示の両方に対応する。設定を変更せずに試すには、Source ControlビューなどからMarkdownの差分を開き、エディタのReopen Editor With...操作でMarkdownプレビューの差分ビューへ切り替える。エージェントやプルリクエストによるドキュメント変更のレビューで役立つとしている。

Markdownプレビューのデフォルト動作も一部変更された。プレビューをダブルクリックするとソースエディタへ戻るmarkdown.preview.doubleClickToSwitchToEditorと、エディタで選択している行をプレビュー側で示すmarkdown.preview.markEditorSelectionは、今回からデフォルトで無効になった。どちらも必要な場合は設定で再度有効にできる。

このほか、Markdownファイルを開いてリンクを入力する際、ファイル内のHTML要素に記述したid属性も候補表示やリンク検証で認識されるようになった。Markdownエディタ上のテーブルでは、選択範囲を文脈に応じて広げたり戻したりするスマートセレクトにも対応した。コマンドパレットからExpand Selection(またはShift+Alt+→)を実行すると、セル内の選択からセル、行、表全体へと段階的に広げられ、Shrink Selection(またはShift+Alt+←)で逆方向に戻せる。

統合ブラウザではタブ共有とlocalhostリンクを改善

バージョン1.119では、統合ブラウザで開いているタブを、チャットに追加するコンテキスト候補やコンテキストピッカー、ドラッグ&ドロップから共有できるようになっていた。共有したタブは、エージェントがページを読み取ったり操作したりできる。

バージョン1.120では、統合ブラウザでlocalhostターゲットを扱う際、ローカルホストだけでなく全ネットワークインターフェイス向けのリンクも表示する変更が入った。

GitHub Pull Requests拡張機能も更新

VS Code 1.120のリリース時点で利用できるGitHub Pull Requests拡張機能(バージョン0.144.0)では、プルリクエストやIssueを扱う機能が更新された。主な変更点は次のとおり。

  • プルリクエストのコメントへ、コピー&ペーストやアップロードボタンで画像を追加できるようになった。
  • プルリクエストをワークツリーでチェックアウトする際、自動で作られるフォルダ名がより説明的なものになった。
  • 設定のgithubIssues.issueBranchTitleで、Issueの種類を表す${issueType}テンプレート変数を利用できるようになった。

GitHub Pull Requests拡張機能とは別に、VS Code本体の拡張機能APIにも開発者向けの更新がある。カスタムエディタの差分表示に関する提案APIや、VS Code組み込みの差分アルゴリズムを利用するためのdocumentDiff提案APIが追加された。詳しくはリリースノートを参照のこと。

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