『Software Design 2026年6月号 』の第1特集「 GitHub Copilot完全入門 」から第3章「github.comでCopilotを使いこなす」を公開します。本特集のほかの章では、VS CodeやCLIからGitHub Copilotと使う方法や、組織でGitHub Copilotを導入するノウハウについて解説しています。ぜひ本誌にてご確認ください。 また、本記事で説明されているCopilotの課金体系には変更が入っています。最新の情報を、
追録記事 で説明していますので、併せてご確認ください。
github.com上のCopilot Chat
本節ではgithub.com上のGitHub Copilot Chat(以降、Copilot Chat)のアクセス方法、主要機能、そしてMCPによる拡張について紹介します。
ブラウザから使えるCopilot
github.com上のCopilot Chatには、図1 の3つの導線のいずれかからアクセスできます。いずれの導線からでも、ソフトウェア開発に関する一般的な質問から、リポジトリ固有のコードに関する具体的な質問まで幅広く対応します。
主な機能を表1 にまとめます。VS Code上のCopilot Chatとの主な違いは、コード補完(inline suggestions)やファイルへの直接編集・適用機能がない点です。github.com版はチャットによる対話型AIアシスタントとして位置づけられています。
なお、Copilot Freeプランでもgithub.com上のCopilot Chatは利用可能です[1] 。
リポジトリコンテキストの活用
github.com上のCopilot Chatの大きな特長は、リポジトリのコンテキストを活用した質問ができる点です。検索バーから「repo:OWNER /リポジトリ 」の形式で質問すると、Copilotは指定リポジトリのコード、issue、pull request(以降、PR)などを参照しながら回答を生成します(図2) 。
コンテキストの種類によって、さまざまな質問が可能です。
リポジトリ:コード構成や実装方針に関する質問
issue:バグの原因調査や対応方針の相談
PR:変更内容の要約や影響範囲の確認
コードファイル:特定ファイルの処理内容の解説
Copilotは質問内容に応じてAgent Skills(スキル機能。以降、Skills)を動的に選択し、GitHub APIを通じてリポジトリデータにアクセスします。Skillsにはコード検索やBing Web検索などがあり、「 Use the Bing skill to find...」のようにスキルを明示的に指定することも可能です。「 What skills are available?」と尋ねれば、利用可能なスキルの一覧を確認できます。
Copilotの拡張 ─ MCPとサードパーティエージェント
MCP(Model Context Protocol)は、AIモデルと外部データソースやツールとの接続を標準化するオープン標準です。特定のベンダーに依存しない仕様であり、Copilot以外のAIツールからも利用できます。Copilot cloud agent(後述)およびGitHub CLIではGitHub MCP Serverがデフォルトで構成済みです。github.com上のCopilot ChatではSkills機能が動的に選択され、GitHubデータの取得を通じてリポジトリ操作を支援します(図3) 。
GitHub MCP Registry [2] では、パートナーやコミュニティが公開したMCPサーバーの一覧を確認できます(public preview) 。IDEにMCPサーバーを追加することで、Copilotの機能を外部ツールやデータソースへ拡張できます。
Copilot FreeプランおよびStudentプランを除く有料プランの場合、コーディングエージェント(Anthropic Claude、OpenAI Codex等)をサードパーティエージェントとして利用できます[3] (public preview) 。利用にはGitHub Actions minutesとプレミアムリクエスト(コラム「プレミアムリクエストとは何か 」参照)を消費します。
[3] サードパーティエージェントの利用可能な機能は、エントリーポイント(github.comのAgentsパネル、IDE連携等)によって異なる場合があります。たとえばDeep Research・計画・反復はgithub.comでのみ利用可能です。最新のプラン別対応状況は公式ドキュメントを確認してください。
さらに、Copilot BusinessプランおよびEnterpriseプランでは、組織やエンタープライズの管理者がMCPの有効・無効をポリシーとして制御できます。必要なToolset(機能グループ)のみを有効化することで、セキュリティとパフォーマンスの両立が可能です(表2) 。
Copilot code review
前節ではgithub.com上のCopilot Chatを紹介しました。本節では、PRに対してAIがコードレビューを行う「GitHub Copilot code review(以降、Copilot code review) 」を取り上げます[4] 。人間のレビューワークフローにCopilotを組み込む方法を、基本操作から応用設定まで段階的に解説します。
Copilot code reviewの概要と利用方法
Copilot code reviewは、PRの変更内容を複数の観点から分析し、問題の指摘と修正コードの提案を行う機能です。あらゆるプログラミング言語に対応しており、専用にチューニングされたモデルを使用します[5] 。利用手順は次の3ステップです。
[5] Copilot code reviewは専用にチューニングされたモデルのミックスを使用しており、モデルの切替には対応していません。Copilot Chatのモデル設定はCopilot code reviewには影響しません。
PRを作成、または既存のPRに移動する
Reviewersメニューを開き、[ Copilot]を選択する(図4)
通常30秒未満でレビューが完了し、コメントが投稿される(図5)
Copilotのレビューは常に「Comment」として投稿され、「 Approve」や「Request changes」として行われることはありません。そのため、PRの必須承認数にはカウントされず、マージをブロックしない特性を持っています。投稿されたコメントは、人間のレビューと同様にリアクション・返信・解決・非表示が可能です。なお、コードの変更をプッシュしても自動で再レビューは実行されないため、再確認が必要な場合はReviewersメニューの再リクエストボタンから手動で要求を行う必要があります。
自動レビューの設定
デフォルトでは、CopilotをReviewerに手動で指定する必要があります。しかし自動レビューを設定すれば、PR作成時にCopilotが自動的にレビューを開始します。設定は3つのレベルで行えます(表3) 。
リポジトリや組織レベルの設定では、Branch Rulesetに「Automatically request Copilot code review」ルールを追加します。さらに次のオプションで自動レビューの範囲を拡張できます。
Review new pushes :新しいコミットがプッシュされるたびに再レビューを実行する
Review draft pull requests :Draft状態のPRでもレビューを実行する(人間のレビュー前にエラーを早期発見できる)
カスタム指示によるレビューの最適化
Copilot code reviewは、リポジトリに配置したカスタム指示ファイルを読み取り、レビュー観点をカスタマイズできます。指示は3つの範囲で設定可能です。
リポジトリ全体 :.github/copilot-instructions.mdに自然言語[6] で記述する(リスト1)
パス指定 :.github/instructions/**/*.instructions.mdにファイルパス条件付きの指示を記述する
組織全体 :組織設定でカスタム指示を定義する(Business、Enterprise)
[6] カスタム指示は英語でも日本語でも記述できます。先頭4,000文字までが有効です。
リスト1 .github/copilot-instructions.md
コードレビュー時は可読性を重視し、ネストした三項演算子を避けてください。
コードレビュー時に /security/security-checklist.md のチェック項目を適用してください。
PRをレビューする際、CopilotはPRのベースブランチにある指示ファイル を使用します。たとえばmy-feature-branchをmainにマージするPRでは、mainブランチのカスタム指示が適用されます。フィーチャーブランチ上で指示を変更しても、そのPRのレビューには反映されない点に注意してください。
Column Copilotへの返信は認識されない
Copilotのレビューコメントに返信を書いても、その内容はCopilotには認識されません。返信は人間のチームメンバーにのみ表示されます。Copilotに指摘内容を修正させたい場合は、「 エージェンティック機能 ─ 提案の自動実装」項で紹介する「Fix with Copilot」機能を利用してください。
修正コードが提案された場合は、数クリックで適用できます。単一の提案を個別にコミットすることも、複数の提案をまとめて一括コミットすることも可能です。
エージェンティック機能 ─ 提案の自動実装
Copilot code reviewには、レビュー精度と利便性を高めるエージェンティック機能が搭載されています。
フルプロジェクトコンテキスト収集 は、リポジトリ全体を分析してコード変更のコンテキストを理解する機能です。変更差分だけでなくプロジェクト全体の構造をふまえた、より的確なレビューコメントが得られます。
「Fix with Copilot」機能 (public preview)[7] を使うと、レビューコメントの修正提案をGitHub Copilot cloud agent(以降、Copilot cloud agent)に委任できます。Copilotのレビューコメントに表示される[Fix with Copilot]ボタンをクリックすると、Copilot cloud agentが指摘内容に基づいてコードを修正し、元のブランチに対する新しいPRを自動作成します。フローは次のとおりです(図6) 。
Copilotのレビューコメントで[Fix with Copilot]をクリックする
PRにDraftコメントが作成され、Copilotへの指示を入力できる
CopilotがCopilot cloud agentとして修正を実施し、元のブランチに対する新PRを自動作成する
この機能により、レビュー指摘の反映を手作業で行う必要がなくなります。次に紹介するCopilot cloud agentの入口としても機能しており、コードレビューから自律的なコード修正へとシームレスにつながる設計です。
エージェンティック機能の実行にはGitHub Actionsランナーが使用されます[8] 。また、Copilot code reviewの実行ごとにCopilot プレミアムリクエストのクォータを1件消費します。プランごとの月間クォータや、クォータ到達後の挙動については、コラム「プレミアムリクエストとは何か 」を参照してください。
[8] GitHub-hostedランナーがデフォルトで使用されます。組織でGitHub-hostedランナーが無効化されている場合、エージェンティック機能は利用できず、より限定的なレビューにフォールバックします。self-hostedランナーでの代替も可能です。
Column プレミアムリクエストとは何か
Copilot code reviewやCopilot cloud agentを利用すると、「 プレミアムリクエスト」と呼ばれる月間クォータ(割り当て量)を消費します(表A) 。プレミアムリクエストとは、Copilotの高度な機能やプレミアムモデルの利用時にカウントされるリクエスト数のことです。
消費量はモデルごとの「マルチプライヤー」で変動します。有料プランではGPT-4.1やGPT-5 miniなどの標準モデルは消費ゼロですが、Claude Opus 4.6は1回で3リクエスト分を消費します。Copilot code reviewは1回のPRレビューにつき1リクエスト、Copilot cloud agentは1セッション開始につき1リクエスト(モデル倍率適用)です。
クォータに到達すると、有料プランでは標準モデルでのChat利用は継続できますが、プレミアムモデルやCopilot code review、Copilot cloud agentは月次リセット(毎月1日 UTC 00:00)まで利用できません。追加購入($0.04/リクエスト、Freeプラン除く)も可能です。未使用分の翌月繰り越しはありません。
Copilot cloud agentはプレミアムリクエストに加えてGitHub Actions minutesも消費する点に注意してください。GitHub Actions基盤の一時環境で動作するため、アカウントのGitHub Actions無料枠を共有し、枠を使い切るとCopilot cloud agentも利用できなくなります。
Copilot cloud agent
前節のCopilot code reviewでは 「 Fix with Copilot」でCopilot cloud agentにレビュー提案の実装を委任できることを紹介しました。本節ではこのCopilot cloud agent自体の概要と、issueを起点としたPR自動生成のフローを解説します。
なお、Copilot cloud agentを導入する際には、表4 の制限事項を把握しておく必要があります。
Copilot cloud agentの概要とagent modeとの違い
Copilot cloud agent(旧称:GitHub Copilot coding agent)は、開発タスクを自律的にバックグラウンドで完了するCopilotの機能です。GitHub Actionsを基盤とした一時的な開発環境で動作し、リポジトリの調査から実装計画の作成、コード変更、Draft PRの作成までを自動で実行します。
対応するタスクは幅広く、バグ修正、新機能の実装、テストカバレッジの向上、ドキュメント更新、技術的負債の解消、マージコンフリクトの解決などに活用できます。Copilot Freeプランを除く有料プラン(Student、Pro、Pro+、Business、Enterprise)で利用可能です。
第2章で紹介したagent modeと名前は似ていますが、動作のしくみは大きく異なります。表5 にその違いをまとめます。
agent modeが開発者のそばでペアプログラミングのように動作するのに対し、Copilot cloud agentはタスクを委任して結果をPRとして受け取る非同期型のワークフローです。全ステップがコミットとログで記録されるため、チーム全体での可視性にも優れています。
issueからPR自動生成までのフロー
issueにCopilotをアサインする
Copilot cloud agentの最も代表的な利用方法は、GitHub issueにCopilotをアサインすることです。github.comでの手順は次のとおりです。
リポジトリのIssuesページで対象issueを開く
右サイドバーの[Assignees]をクリックする
一覧から[Copilot]を選択する
「Assign agent to issue」ダイアログが開くので、オプションを確認・指定し、[ Assign]をクリックする
ダイアログでは、ターゲットリポジトリ、ベースブランチ、カスタムエージェント、追加の指示、使用モデルなどを指定できます(図7) 。
アサイン後、Copilotはissueのタイトル・本文・既存コメント・追加指示を読み取り、リポジトリを調査して実装計画を作成します。その後ブランチ上でコードを変更し、テストやLintを実行したうえでDraft PRを作成します。完了するとレビュアーとしてユーザーを追加し、通知が届きます(図8 、図9 ) 。
Deep Research・ 計画・ 反復
github.comのAgentsパネルやAgentsタブからCopilot cloud agentを利用する場合、PR作成前にDeep Research(リポジトリの深い調査) →計画作成→コード変更という反復的なステップを踏むことができます。Diff画面で変更内容を確認し、追加指示で何度でもやり直しを指示できます(図10) 。満足したら[Create pull request]をクリックすることで、初めてPRが作成されます[9] 。
issueアサイン後にissueへ追加したコメントはCopilotからは見えません。追加の情報や要件変更は、Copilotが作成したPRのコメントで伝える必要があります。
なお、Copilot cloud agentのエントリーポイントはissueだけではありません。Agentsパネル、GitHub CLI、IDE連携、GitHub MCP Server等、多彩な方法が用意されています。
開発環境のカスタマイズ
Copilot cloud agentはGitHub Actions環境で動作するため、プロジェクト固有のツールや依存関係を事前にセットアップしておくことで、作業の精度と速度が向上します。主なカスタマイズ手段を紹介します。
copilot-setup-steps.yml
.github/workflows/copilot-setup-steps.ymlをリポジトリのデフォルトブランチに配置すると、Copilot cloud agentの作業開始前に依存関係のインストール等を自動実行できます。GitHub Actionsと同じ構文で、ジョブ名はcopilot-setup-steps固定です(リスト2) 。
リスト2 copilot-setup-steps.yml設定例
name: "Copilot Setup Steps"
on:
workflow_dispatch:
push:
paths:
- .github/workflows/copilot-setup-steps.yml
jobs:
copilot-setup-steps:
runs-on: ubuntu-latest
permissions:
contents: read
steps:
- uses: actions/checkout@v5
- uses: actions/setup-node@v4
with:
node-version: "20"
cache: "npm"
- run: npm ci
Copilot自身でも依存関係を発見・インストールできますが、LLMの非決定的な性質上、試行錯誤が発生しがちです。確実に環境を整えるにはこのファイルの活用が推奨されます。
MCP設定
Copilot cloud agentにはGitHub MCP ServerとPlaywright MCP Serverがデフォルトで構成されており、リポジトリの設定でサードパーティMCPサーバーを追加して機能を拡張できます。
カスタムエージェントとhooks
.github/agents/ディレクトリにMarkdownファイルを配置すると、特定タスクに特化したカスタムエージェントを定義できます。YAMLフロントマターで名前と説明を指定し、本文にプロンプト(行動指示)を記述します。たとえばフロントエンド専門、テスト専門、ドキュメント専門といった役割ごとに異なるエージェントを用意できます。
また.github/hooks/にJSONファイルを配置して、エージェント実行の各フェーズでカスタムコマンドを実行できます[10] 。このほかCopilot Memory(public preview)を有効にすると、リポジトリの学習情報を蓄積して作業精度を向上できます[11] 。
まとめ
本章では、github.com上で利用できるCopilotの3つの主要機能を紹介しました。
Copilot Chat は、ブラウザからアクセスできる対話型AIアシスタントです。リポジトリのコンテキストを活用した質問や、MCPによる外部ツール連携により、コードの調査・理解を効率化できます。
Copilot code review は、PRに対するAI自動コードレビュー機能です。Reviewerに指定するだけで問題の指摘と修正コードの提案が得られ、カスタム指示によるレビュー観点の調整や、「 Fix with Copilot」による修正の自動実装まで対応します。
Copilot cloud agent は、issueを起点にリポジトリの調査から実装・PR作成までを自律的に実行する機能です。GitHub Actions環境でバックグラウンド動作し、全ステップがコミットとログで可視化されます。
いずれの機能も、IDEをインストールすることなくWebブラウザだけで利用できる点が共通しています。第2章で紹介したエディター上のCopilotと組み合わせることで、コーディングからレビュー、タスク委任まで、開発ワークフロー全体をCopilotでカバーできます。
次の第4章では、ターミナルで活用するCopilot CLIと、Copilotの動作をカスタマイズするAgent Skillsを取り上げます。ローカル環境でのCopilot活用をさらに深めていきましょう。