Thinking Machines Labは2026年7月15日、同社初のAIモデル「Inkling」を発表した。テキスト、画像、音声を横断して推論できる汎用モデルで、重みも公開した。発表時点で、同社のサービス「Tinker」でファインチューニングでき、Inkling Playgroundでも試せる。
テキスト・ 画像・ 音声に対応、 推論量も調整可能
Inklingはマルチモーダルモデルとして、テキスト、画像、音声を入力として受け取り、テキストを出力する。
タスクに応じて推論に使うトークン量を連続的に変えられる「continuous thinking effort」も備える。推論量を抑えてコストと待ち時間を減らしたり、難しいタスクには多くの推論量を割り当てたりできる。Thinking Machines Labは、推論量の設定を調整することで、より少ないトークンで同じ評価スコアに到達できるとしている。
公開されたモデルカード によると、InklingはMixture of Experts(MoE)アーキテクチャを採用している。総パラメータ数は9750億で、このうち各トークンの処理には410億のパラメータを使う。最大100万トークンのコンテキストを扱う。公式発表では、事後学習の対象として、数学、エージェントによるコード作成とツール利用、音声、画像、チャット、安全性を挙げている。
Thinking Machines Labの共同創業者兼CEO、Mira Murati氏も、Inklingについて「ゼロから学習した、同社初のモデル」とXで述べている 。
能力の目安として、音声評価ベンチマークのVoiceBench、MMAU、AudioMCでは、オープンウェイトモデルの上位に入ったとしている。モデルカードにはthinking effortを最大値の0.99に設定した評価結果も掲載されている。ターミナル上の実作業を測るTerminal-Bench 2.1では63.8%を記録した。実在するGitHubリポジトリの課題解決を測るSWE-bench Verifiedは77.6%、大学院レベルの科学知識と推論を問うGPQA Diamondは87.2%となっている。
重みを公開、 Tinkerでファインチューニング可能
モデルの重みはHugging Face で公開されている。ダウンロードした重みは、利用者が用意したGPU環境上で、Inklingに対応したvLLMやSGLangを使って実行できる。InferactはvLLM、RadixArkはSGLangでInklingをサポートしている。
同社が提供するTinker では、同日からInklingをファインチューニングできる。このほか、公開初日からサードパーティーのTogether AI、Fireworks AI、Modal、Databricks、BasetenがInklingのAPIを提供している。
Thinking Machines Labは、Inklingをモデルファミリーの第1弾とし、同様の手法で学習した軽量版「Inkling-Small」の概要も示している。その重みは今後公開する予定としている。
コラム: Thinking Machines Labが描く「多様なAI」
Thinking Machines LabのMira Murati氏はX投稿 で、同社が1年前、人間の可能性を広げるために「マルチモーダルAI」「 カスタムモデル」「 オープンサイエンス」に重点を置いたと振り返っている。その後の取り組みとして、人間とAIの協働を目指すInteraction Models の研究プレビュー、オープンウェイトモデルをファインチューニングできるTinker、研究成果を共有するConnectionism を挙げた。
Thinking Machines Labは、人間の意思と判断を拡張するAIの開発に取り組んでいる。2026年7月10日付の「The Future Worth Building Is Human」 では、人の価値観は一つにまとめられず、人や組織がそれぞれの現場で培う知識も一か所に集めきれないとして、人々や組織がそれぞれ形づくる、多様なAIが共存する未来を描いている。