OSSデータベース取り取り時報

第131回AIコーディングの普及で○○○は不要になる? MySQL Critical Security Update Patchリリース & 新バージョン番号⁠PostgreSQLバージョン19ベータ版が登場

この連載はOSSコンソーシアム データベース部会のメンバーがオープンソースデータベースの毎月の出来事をお伝えしています。

「AIコーディングの普及で○○○は不要になる?」@OSC京都

8月のオープンソースカンファレンス 2026 Kyoto(OSC京都)では、OSSコンソーシアムが企画セミナーを実施します 。開催日は8月1日(土⁠⁠、会場は今年も京都リサーチパーク(KRP)です。

概要 AIコーディングの普及で○○○は不要になる?(仮)
LLM・生成AIなどのAI技術によってITエンジニアの仕事も変わりつつあります。AIコーディングやバイブコーディングがその代表でしょう。プログラミングが楽になる・要らなくなるというシンプルなものばかりではなく、もっとさまざまな影響がありそうです。
このセッションでは、OSSコンソーシアム会員のそれぞれの専門領域から、その影響を探ってみようとしています。たとえばノーコード開発ツールの代わりになるのでしょうか。また、データベースアクセスが簡単になるのでしょうか。
プログラム構成 〔Part 1〕ミニセミナーの部
〔Part 2〕クロストーク(座談会)の部
登壇者(予定) 内田太志:株式会社インプリム
梶山隆輔:日本オラクル株式会社
竹岡尚三:株式会社アックス
鵜川徹:株式会社デジタル・ヒュージ・テクノロジー
溝口則行:TISI株式会社[1]
OSSコンソーシアムが担当するOSC京都でのセミナーの登壇者(予定)
OSSコンソーシアムが担当するOSC京都でのセミナーの登壇者(予定)

[MySQL]2026年6月の主な出来事

6月は、MySQLサーバー 9.7.1LTSと8.4.10LTSの各バージョンがリリースされました。また、MySQL ShellとMySQL Routerの各バージョンもリリース。MySQL NDB Clusterはこれらのバージョンに加えて、8.0.47がリリースされています。なお、MySQLサーバー 8.0は2026年4月をもって、新規パッチの提供が行われないサステイニング・サポートとなったため、8.0.47はリリースされていません。

オラクルのCritical Security Update Patch

6月にリリースされた各バージョンは、Critical Security Update Patch(CSPU)という位置づけとなっています。このCSPUは、オラクルが4月に発表したセキュリティの強化策の一環です

オラクルがこれまで1、4、7、10月にCritical Update Patch(CPU)としてパッチやマイナーバージョンをリリースしていました。オラクルも利用企業として名の挙がるClaude Mythosなどの登場によって加速するAIによる脆弱性検出に対応するため、深刻な脆弱性が発見されたソフトウェアのパッチをより高い頻度でリリースすることとした、オラクルの新しい取り組みがこのCSPUです。

5月下旬にオラクルとして最初のCSPUがリリースされた際には、MySQLは該当する課題がなかったためリリースはありませんでしたが、6月はMySQLの複数の製品も対象となりました。MySQL Shellが製品として挙げられていますが、リストの中でコンポーネントがShell for VS Codeになっているものは、CSPUの発表前に2026.5.0+9.7.0がリリース済みとなっています。

なお、MySQLに関するCSPUはコミュニティ版、商用版共通となっています。

新しいバージョン番号のスキーム

CSPUによってリリース頻度が上がることや、LTS(Long-Term Support)とイノベーション・リリースの2本立ての開発になっていることもあり、バージョン番号によるリリースの時期や意味合いの理解の簡素化を求める声がコミュニティから出ていました。

この要望に対応するため、6月に新しいバージョン番号のスキームが発表されました。

  • リリースされた年と月を表す⁠YY.M⁠形式とする
    • 例:2026年7月にリリースされるバージョンは26.7.0、10月は26.10.0
  • LTSは⁠YY.M⁠はリリースされた年月で固定で、最後の桁がマイナーバージョンを表す
    • 例:2028年4月に次期LTSがリリースされた場合は28.4.0、以降は28.4.1、28.4.2…

現在リリース済みの8.4 LTSと9.7 LTSのバージョン番号には変更はありません。

第1回MySQL Contributor Summit 2026

5月26日に米国で第1回のMySQL Contributor Summit 2026が開催されました。オラクル以外にもAmazonやPerconaなどに加え、個人のコントリビューターによる機能の提案のプレゼンテーションが行われました。AI時代に重要となるベクトル・ストアとして複数の実装が提案されていました。

提案内容はMySQLコミュニティチームのGitHubのページで公開されています。たどり着くためには若干手間がかかりますが、それぞれの提案のバグ報告(リンクにbugs.mysql.comが含まれている)に講演資料が掲載されています。第2回は8月に開催されることが発表されています。日本語でのイベントのまとめがMySQL公式ブログ日本語版に掲載されています。

MySQLの開発へのコミュニティの参画の呼びかけは継続されており、GitHubをベースとしたバグレポートや機能追加要望のプロセスの改善も続いています。

[PostgreSQL]2026年6月の主な出来事

この連載でも事前情報をお伝えしてきましたが、新機能が搭載される次期メジャーバージョン19のベータ版が公開されました。また、前回は概要だけお知らせをしたPostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム(PGECons)の成果発表セミナーについても報告します。

次期メジャーバージョン19の最初のベータ版がリリース

6月4日、PostgreSQLグローバル開発グループからPostgreSQL 19の最初のベータ版が公開されました。このリリースには、正式リリース前の機能プレビューが含まれていますが、ベータ期間中に内容が変更される可能性もあります。リリースのお知らせで記された主要機能(ハイライト)だけでもかなりの数に上ります。ここではそこからさらに抜粋してお知らせします。

性能
やはり注目したくなるのが性能の改善でしょう。
  • io_method=workerを指定することでI/Oワーカーの数が自動的にスケーリングされるようになりました。
  • ユーザーがプランナーの決定を安定化させ、制御できるようになりました。
  • バキュームとメンテナンス操作が改善されました。これにはさまざまな追加や変更が含まれています。
  • 新しいREPACKコマンドとCONCURRENTLYオプションが追加されました。
  • 外部キーチェックが存在する場合、挿入処理のパフォーマンスが最大 2 倍向上しています。
  • クエリプランナーと実行エンジンのいくつかの領域が改善されています。
  • マルチチャネルワークロードに影響を与えるLISTEN/NOTIFYのスケーラビリティも改善されています。
開発者エクスペリエンス
このカテゴリでも多数の改善がされていますが、その中から2つピックアップします。
  • SQL/PGQ のサポートが導入されました。
  • ロール、テーブルスペース、データベースを再作成するために必要なDDLステートメントを取得する新しいSQL関数が追加されて、スクリプト作成や移行作業が簡素化されました。
セキュリティ
  • PostgreSQLサーバーがクライアントから要求されたホスト名に基づいて異なるTLS証明書を提示できるようになりました。
  • パスワードの有効期限が近づいていることをユーザーに事前に警告する設定(デフォルトは7日間)が追加されました。
  • MD5認証の廃止に向けた取り組みの一環として、MD5認証が成功した後にクライアントに警告を表示するようになりました。
その他の注目ポイント
  • PostgreSQL 19のベータ版期間には、より広範なエコシステムにおけるプロトコルの互換性の問題を特定するための、一時的な「グリースモード」が含まれています。

上記のカテゴリ以外にも、モニタリングと可観測性や、論理レプリケーションとクエリフェデレーションといったカテゴリに分類されるさまざまな改良・追加も入っています。

新機能および変更点の完全なリストについては、リリースノートを参照してください。また、今回リリースされたのは次期バージョンの最初のベータ版です。当然、さまざまな未解決項目が残っています。今後、テストに必要な追加のベータ版やリリース候補版をリリースして、2026年9月〜10月ごろの最終リリースに向けて完成度が上がっていきます。

PostgreSQLエンタープライズ⁠⁠コンソーシアム成果発表セミナーの報告

5月29日にPostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム(PGECons)による2025年度の活動成果発表セミナーがオンラインで開催されました。今年も多数の方が申し込み・参加された様です。今回発表された部会・WGの中から、新技術検証WG(WG1)と移行WG ⁠WG2)の概要をお知らせします。各部会・WGの発表スライドがWebページで公開されています。

新技術検証WG(WG1)「定点観測(バージョン間性能比較)」
SRA OSSの越野太基さんによる発表です。毎年恒例で実施している新旧バージョンの性能測定の報告です。今年は検証時点での最新バージョン18と1つ前のバージョン17が対象でした。バージョン18.1、17.7、1年前の検証で使用した17.2の3つを比べています。
参照系の性能(TPS)は 18.1が最も高く、 17.7、17.2の順番でした。18.1の性能は平均2.4%程度向上していました。レイテンシもTPSと同じ順番で、CPU利用率やメモリ使用率には目立った差異はありませんでした。
更新系の性能(TPS)は17.7が最も高く、18.1、17.2の順番でした。18.1は旧バージョンよりも約2.5%の性能低下が見られたとのことです。更新系で18.1が旧バージョンよりもわずかに性能が劣った理由についても推定ですが話されていました。バージョン18でチェックサムがデフォルトで有効になったことや、機能追加によるオーバーヘッドの影響などが考えられるものの、確定的なことは報告時点では不明とのことです。
どのような環境で、どのような負荷を掛けて実施したのかは公開されているスライド資料をご参照ください。
バージョン間性能比較検証の参照系の測定結果
バージョン間性能比較検証の参照系の測定結果
移行WG(WG2)「2025年度のWG2の活動について」
NECソリューションイノベータ 黒澤彰さんと、富士通 太刀掛彩希さんによる発表です。
2025年度のWGでは、ロール・権限の調査や、近年の移行や運用に関連する機能強化について調査・整理する活動がされました。
近年の移行や運用に関連する機能強化についての調査・整理ですが、 バージョン17のときに接続時のイベントトリガの追加や増分バックアップがあり、バージョン18では仮想性整列がサポートされる様になりました。これらの強化された機能の概要が説明されました。これらの結果は成果物に追記して今後に公開の予定とのことです。

今回のセミナーでは上記の他に、PostgreSQLの適用領域拡大に向けた技術的課題の改善動向についてCR(Community Relations)部会のSRA OSS 長田悠吾さんから、2026年度活動計画について運営委員会から発表がありました。

[Tsurugi]2026年6月の主な出来事

今月も次世代高速RDB劔"Tsurugi"の最新情報をお伝えします。

次世代高速RDB劔"Tsurugi"事例紹介セミナー2026(仮)の開催

7月15日に、次世代高速RDB 劔"Tsurugi"に関するセミナーが開催されます。今回のセミナーでは劔"Tsurugi"を活用した事例を紹介する予定とのことで、現時点で詳細は発表されていませんが、近日中に講演内容や登壇者が発表されるでしょう。

Tsurugi 1.11.0リリース

6月18日、Tsurugiのバージョン1.11.0がリリースされました。

SQL関連の機能追加として相関サブクエリに対応しています。相関サブクエリは、外側のクエリのカラムを参照するサブクエリです。また、1つ前のTsurugi 1.10.0で対応したスカラーサブクエリ機能を拡張し、前述の相関サブクエリを記述できるようになりました。これにより、外側のクエリの行ごとに異なる結果を返す動的なサブクエリの記述が可能となり、高度な条件判定やデータ抽出を効率的に実行できるようになった様です。

さらに、BLOB型、CLOB型にも正式に対応するようになりました。

2026年7月以降開催予定のセミナーやイベント⁠ユーザ会の活動

イベントごとに利便性のあるオンライン開催や、従来通りのオンサイト(会場)開催、またはハイブリットが混在するようになっています。興味を持たれて参加したいイベントの開催形態にご注意ください。

オープンソースカンファレンス(OSC)〔7月〜8月開催分〕

日程 〔Shimane〕2026年7月11日(土)10:00~17:00
〔Kyoto〕2026年8月1日(土)10:00~18:00
〔ODC〕2026年8月29日(土)10:00~17:45
場所 〔Shimane〕松江テルサ(島根県松江市)
〔Kyoto〕京都リサーチパーク 4号館(京都市下京区)
〔ODC〕日本工学院専門学校 蒲田キャンパス 3号館7F(東京都大田区)
内容 オープンソースカンファレンス(OSC)は、オープンソースの今を伝えるイベントです。東京だけでなく、北は北海道、南は沖縄まで、年間を通じて全国各地で開催しています。オープンソース関連のコミュニティや協賛企業・後援団体によるセミナーやプロダクトの展示などを、入場・参加料が無料でご覧いただけるイベントです。今回ご案内する開催地はすべて、セミナーと展示の両方とも会場開催です。
〔Shimane〕プログラムの一部が公開されています。
〔Kyoto〕プログラムはまもなく(7月上旬)公開される予定です。
〔ODC〕出展者(団体)募集中です(7/21締切⁠⁠。
記事本編でお知らせしたように、8月1日のOSC京都ではOSSコンソーシアムもセミナーを行います。また、その他のOSSデータベース関連の発表の詳細は、公開される各回のプログラム詳細をご参照ください。
主催 オープンソースカンファレンス実行委員会

次世代高速RDB劔"Tsurugi" 事例紹介セミナー2026

日程 2026年7月15日(水)14:00~17:30頃
場所 TKP東京駅カンファレンスセンター(東京都 中央区)
内容 次世代高速RDB 劔"Tsurugi"に関するセミナーを行います。今回のセミナーでは劔"Tsurugi"を活用した事例を紹介する予定です。講演内容、ゲストは、後日お知らせいたします。申し込みフォームからお申し込みをしてご参加ください。
主催 株式会社ノーチラス・テクノロジーズ

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