Plasma AI⁠階層型エージェントループを構築するツール「Fractal」オープンソース公開

Plasma AIは2026年7月21日、複雑な作業を複数のAIエージェントに分担させるツールFractalを公開した。各エージェントが独立したループを実行し、分割可能なタスクを子ノードへ委譲することで、作業に応じたエージェントのツリーを組み立てる。ソースコードはApache License 2.0でGitHubに公開されている。

タスクをノードに分け⁠親が成果を統合

Fractalでは、1つの目標に取り組むエージェントを「ノード」として扱う。各ノードには専用のGit worktree(作業ツリー)とブランチが割り当てられ、標準では「準備」⁠計画」⁠実行」⁠レビュー」⁠コミット」の5段階を繰り返す。ユーザーは目標を記述したNODE.mdを編集して実行中のノードに指示を加えられるほか、反復回数、ツリーの深さ、子ノード数、コスト、実行時間などに上限を設定できる。

作業を分割できる場合、ノードはより狭いサブタスクを切り出して子ノードへ委ねる。委譲先も同じループを繰り返し、必要に応じて下位のノードを増やす。完了した子ノードのブランチは親ノードが取り込み、その成果を踏まえて次の計画を立てる。あらかじめ固定した構成ではなく、作業の内容に応じてツリーが成長する。

各ノードは個別の予算を持ち、自身と子孫ノードの消費額を追跡する。予算の残額が終了処理用の確保額まで減ると、現在の反復を終えた時点で実行を終了し、再帰的な処理が無制限に続くことを防ぐ。

メッセージとWikiで情報を共有⁠TUIで全体を確認

ノード間の連絡には、組み込みのメッセージ機能「Fractal Radio」を使う。親ノードから子ノードへ指示を送り、子ノードは進捗や結果を報告する。標準では、各ステップに入る前にメッセージを同期し、ほかのノードの状況を反映する。実行履歴やコスト、メッセージは、ツリーごとに1つ作られるローカルのSQLiteデータベースへ記録する。

知識は、各ノード固有のWikiと、全ノードが共有するプロジェクトWikiに分けて保持する。いずれもMarkdown形式で、共有分はリポジトリ内のwiki/に置かれる。各フォルダの_index.mdからページをたどれる構成で、通常のエディタでも編集できる。索引や相互リンクの管理には、Plasma AIがApache License 2.0で公開しているplasma-wikiを利用する。

Fractalを初期化したリポジトリ内でfractal openを実行すると、ノードツリー全体を表示する専用のTUIがターミナル上で起動する。画面では、ノードの状態、メッセージ、実行履歴、経過時間、コストなどを確認できるほか、実行中のノードへのメッセージ送信、エージェントとのチャット、ノードのターミナルへの接続も行える。

5種類のコーディングエージェントに対応

Fractalは、Claude Code、Codex、Grok Build、OpenCode、Oh My Piの5種類をバックエンドとして利用できる。実行時にはプロンプトを組み立て、各ノードの作業ツリー内でエージェントのCLIをサブプロセスとして起動する。親・子を問わず、各ノードで利用するエージェントを個別に設定できる。子ノードは標準で親の設定を引き継ぐが、別のエージェントへ切り替えられる。

自らの開発にもFractalを使用

Plasma AIは、Fractalをオープンソースで公開する前に、そのリポジトリを対象に検証した。187ノード、深さ4のツリーで135件の問題を見つけ、そのうち55件をテストファーストで修正した。

さらに、Wiki構築、調査、ベンチマーク、製品開発、数値実験、メタ最適化という6種類の作業を対象に初期指示の改善案を検討し、すべてに有効と判断した17件の変更を採用した。調整後の指示を使った6回の実行は、人が途中で指示を加えずに完了したとしている。

pipで導入⁠エージェントから操作可能

FractalのCLIはPyPIで配布されており、Python 3.12以上、3.15未満の環境でpip install fractalを実行して導入できる。通常のpipによる導入ではplasma-wikiも依存関係としてインストールされるため、外部のWikiサービスやデータベースサーバーは必要ない。

動作にはPythonのほか、Git、tmux、利用するコーディングエージェントのCLIが必要になる。fractal installを実行すると、Claude CodeやCodexからノードを作成・管理するための/fractalスキルも追加される。

また、Plasma AIはクラウド版「Fractal Cloud」も予告している。ツリーの表示、各ノードへの指示、実行中のコスト追跡に対応する予定で、早期アクセスを近日中に開始するとしている。

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