OpenAIは2026年8月25日付の「ChatGPT & Codex changelog」で、ChatGPTデスクトップアプリの内蔵ブラウザーに、WebMCPを利用した「サイトツール」を追加した。WebMCP対応サイトを開くと、ChatGPT WorkやCodexが、ページが提供する機能を構造化されたツールとして検出し、ユーザーの依頼に応じて利用できる。同社の公式開発者アカウントはあわせて、ChatGPT SitesもWebMCPに対応したと案内している。
開いているページの機能を、 エージェント向けのツールとして公開
WebMCP [1] を使うことで、WebサイトはJavaScript関数やHTMLのフォーム要素を、自然言語による説明や入出力スキーマを備えた「ツール」としてAIエージェントに公開できる。エージェントは画面を解析してクリックや文字入力を繰り返すだけでなく、サイト側が用意した操作を直接呼び出せる。WebMCPは現時点で、Web Machine Learning Community Groupの草案として公開されている。
ChatGPTでは、WebMCPを「サイトツール」 として実装した。デスクトップアプリの内蔵ブラウザーで対応サイトを開き、ChatGPT WorkまたはCodexに作業を頼む形で使う。たとえば文書編集サイトで、特定の節を見つけたり、ユーザーが確認できるようコメントを残したりする用途が挙げられている。
実際に、ChatGPT Learn とOpenAI Developers では、search_openai_docs やlookup_page など、ドキュメントの検索やページの読み取り、関連ページへの移動、カスタムガイドの作成に使うサイトツールを提供している。内蔵ブラウザーで開くと、ChatGPT WorkやCodexがこれらのツールを検出して利用できる。
なお、サイトツールでは、ユーザーとエージェントが同じページとログイン済みのセッションを共有する。別のページへ移動したり、ページを閉じたりすると、そのページが公開するサイトツールを利用できなくなる場合がある。また、目的に合うサイトツールがなくても、これまでどおりチャットから指示を行ってブラウザーを操作することもできる。
ChromeでのWebMCP対応 は実験段階で、Chrome 149からオリジントライアルに参加できる。ローカル開発ではchrome://flags/#enable-webmcp-testing から試験用フラグを有効にできる。
[1] MCP(Model Context Protocol)は、AIアプリをローカルまたはリモートのMCPサーバーに接続する仕組みで、対象ページを開いていなくてもツールを利用できる。WebMCPのツールは開いているページ上で動作する。WebサイトはWebMCPとMCPの両方に対応できる。
ChatGPTでサイトツールを使うには
利用にあたっては、ChatGPTデスクトップアプリを最新版に更新する必要がある。OpenAIは、GPT-5.6 SolまたはGPT-5.6 Terraを利用するよう案内している。GPT-5.6 Lunaでは現時点でWebMCPが無効で、EnterpriseおよびEduワークスペースも対象外となる。また、サイトツールは段階的に提供されている。利用できるのは、開いているページがWebMCP対応ツールを提供している場合に限られる。
内蔵ブラウザーのアドレスバーで「Site tools」を選ぶと、ページが公開している個々のツールを確認できる。「 Recently used」が表示される場合は、そこから「Sources」を開き、サイトツールの呼び出し内容を確認できる。サイトツールは、「 Settings > Browser > Permissions」の「Enable site tools」をオフにすると無効化できる。
サイトツールの定義や実行結果は、サイト側から提供される。内蔵ブラウザーはサイトツールの呼び出しごとに安全性を確認し、メッセージ送信、購入、データの削除、権限変更などには通常の確認ポリシーも引き続き適用される。こうした確認はリスクを減らすためのもので、OpenAIは、機密情報を共有したり実行結果を信頼したりする前に、利用先のサイト、要求された操作、実行結果を確認するよう求めている。
WebMCP対応サイトを作成
開発者は、WebサイトやWebアプリがすでに備える操作を、WebMCP対応のツールとして公開できる。ツールの処理には既存のロジックを再利用し、認証、認可、入力検証にもサイト側の仕組みを使う。WebMCPには、JavaScriptでツールを定義する命令型APIと、HTMLフォームへ注釈を付ける宣言型APIが用意されている。OpenAIのガイドでは、ツールが受け付ける入力を必要最小限に絞り、データの変更や送信など実行に伴う影響を説明に明記したうえで、処理内容を確認できる情報を実行結果に含めるよう勧めている。
エージェントに実行させたい操作を自然言語でCodexに伝え、既存のWebアプリやChatGPT SitesのプロジェクトにWebMCP対応を追加するよう依頼することもできる。作成したアプリの公開先はChatGPT Sitesに限らず、任意のホスティング環境を選べる。
OpenAIは、WebMCP対応アプリの例 として、エージェントと共同で3Dモデルを編集する「Codex Modeling Studio」 、文書へコメントを付けられる「Margin Editor」 、クロスワードを作成する「Crossword Desk」 、旅程を編集する「WanderNote」 、ブラウザー上でデータを分析・可視化する「Duckboard」などを公開している。
OpenAIが8月25日に公開した「Automating repetitive work at OpenAI with Codex」 では、WebMCPの実用例として、同社のJeremy Lewi氏が、モデルや機能の評価を繰り返す作業にCodexとRunme を利用する流れを紹介している。Runmeは、Lewi氏がCodexを使って開発しているオープンソースのWebアプリで、Markdown形式の文章、実行可能なコード、HTMLを組み合わせたノートブックを作成できる。Lewi氏は、評価の手順やコマンド、結果、判断を一つのノートブックに記録し、次の評価に活かしている。
Runmeはクライアント側で動作し、WebMCPを通じてブラウザー側にツールを登録する。エージェントは、そのツールを使ってRunmeやノートブックの操作手順とアプリのドキュメントを読み取れるほか、実行範囲を限定したJavaScriptプログラムでノートブックの内容を読み書きできる。従来型のMCPエンドポイントを提供するサーバーを追加すると、その構築や運用が必要になり、ノートブックのデータをサーバー側で扱うことにもなる。WebMCPなら、Runmeの機能をブラウザーから直接公開できるため、こうしたサーバーを追加せずに済むという。
10日間の「WebMCP Challenge」も開催
OpenAIはWebMCP対応の発表にあわせ、Google Chrome、Shopify、Cloudflare、Vercel、Render、Netlifyと共同で、オンラインハッカソン「WebMCP Challenge」 を開始した。新規アプリだけでなく、既存サイトへWebMCP対応を追加した作品も応募できる。
応募締切は日本時間2026年9月4日午前5時。応募要項 によると、応募にあたっては、作品をChatGPTの内蔵ブラウザーまたはWebMCPを有効にしたChromeからアクセスできる状態で公開する必要がある。提出物には、アプリの公開URLと説明、音声付きで3分未満の公開デモ動画、オープンソースライセンスを付けた公開コードリポジトリなどが含まれる。
賞金総額は3万5000ドル。上位10作品には、OpenAIから各3000ドルの賞金、Codex Micro、ChatGPT Proの1年間利用権などが贈られ、協賛各社からも賞品やクレジットが提供される。受賞作品は9月23日に発表される予定。
コラム: ChatGPT WorkのクラウドブラウザーもWebサイトへのログインに対応
同じ8月25日付の「ChatGPT & Codex changelog」では、サイトツールとあわせて、ChatGPT Workのクラウドブラウザーから対応するWebサイトへログインできるようになったことも案内された。サイトツールはデスクトップアプリの内蔵ブラウザーで、開いているページが公開するWebMCPのツールを使う。一方、クラウドブラウザーはWeb版やモバイル版のChatGPT Workから利用し、クラウド上のコンピューターでページを読み、クリックや文字入力を行う。ユーザーがその場を離れたり、手元のPCを閉じたりしても、作業を継続できる。
Browserガイド によると、ログインが必要になるとChatGPT Workは作業を一時停止し、ユーザーに認証を求める。その前に、追加のレビューモデルがフィッシングや偽装の兆候を確認する。専用のログインフォームに入力したユーザー名やパスワードは、モデルを介さずブラウザーへ直接渡され、ChatGPTにも保存されない。ログイン後のセッションは以後のタスクでも維持される。予約の確定や支払いなどの重要な操作では、実行前にユーザーの承認を求める。
ChatGPTの公式X は利用例として、電気・ガスなどの利用開始手続き、行政機関や医療機関の予約、保険内容や医療費の確認、条件に合う賃貸物件の保存、返品する荷物の集荷依頼、会計ソフトへの請求書登録などを挙げている。
ただし、自動ブラウザーを遮断するサイトやCAPTCHAを求めるサイトでは、タスクを完了できない場合がある。
OpenAIのJames Sun氏は自身の投稿 で、この機能を使った体験を紹介した。移動中に、家族に預けていた犬のフードを注文したほか、先延ばしにしていた定期購入の解約、自身と妻のフィットネス目標に合う宅配食の選択、理髪店の予約をChatGPT Workへ任せたという。こうした体験を踏まえ、将来は人々が、専用のコンピューターとIDを持ち、継続的に動作するエージェントと協働するようになるとの見方を示している。
コラム: ChatGPTのブラウザー拡張がEdge、 Brave、 Opera、 Vivaldiに対応
8月25日の変更履歴では、ChatGPTのブラウザー拡張 がChromeに加え、Microsoft Edge、Brave、Opera、Vivaldiへ対応したことも案内された。ChatGPTデスクトップアプリの「Settings > Computer Use」から設定し、ChatGPT WorkまたはCodexで利用する。
5つのブラウザーすべてが、開いているタブをチャットから指定する「タブメンション」とブラウザー操作に対応する。Chrome、Edge、Brave、Vivaldiでは、閲覧中のページの横にChatGPTを表示するサイドチャットも利用できる。普段使っているブラウザープロファイルのログイン状態を保ったまま、開いているタブ上でChatGPT WorkやCodexに作業を頼める。
コラム: ChatGPTの「スケジュールされたタスク」がイベント起動と共有に対応
これらのブラウザー関連機能とは別に、OpenAIは同日付の「ChatGPT & Codex changelog」 で、ChatGPTの「スケジュールされたタスク」が、指定した時刻や間隔だけでなく、Gmail、Slack、GitHubのイベントをきっかけに実行されるようになったと案内した。ChatGPTの公式Xによると、イベント起動はWeb版とモバイル版のChatGPT WorkでPlusとProユーザー向けに提供される。
Scheduled tasksガイド によると、Gmailでは新着メールを送信者や件名で絞り込める。Slackでは指定したチャンネルの新着メッセージを監視できる。GitHubでは、プルリクエストのレビューやコメント、コミットの更新、マージなどを実行条件にできる。なお、1つのタスクに複数のイベントを設定できるが、時刻ベースのスケジュールとは併用できない。
イベント起動を設定するには、対象のアプリを接続し、必要なアクセス権を承認する。Slackでは監視対象のチャンネルにChatGPTのSlackアプリを追加し、GitHubでは対象リポジトリへのアクセスを許可する必要がある。
公式Xは、スケジュールされたタスクをFreeユーザーにも順次展開し、最大3件まで作成できると案内した。タスクはほかのユーザーと共有でき、共有リンクを受け取ったユーザーは自分向けにカスタマイズして利用できるという。
続く投稿では、実際に試せるタスクとして次の4つを紹介している。
コラム: ChatGPT Sitesが共同編集と公開URLの変更に対応
OpenAIは8月20日付の「ChatGPT & Codex changelog」 で、ChatGPT Sitesが共同編集と公開URLの変更に対応したと発表した。共同編集が提供されている環境では、サイトの所有者は、同じワークスペースのアクティブなメンバーを編集者として招待できる。
編集者 は、サイトが使うデータベースの内容を読み取り、サイトの更新やバージョン保存を行える。ただし、サイトの初回公開は所有者が行う。初回公開後は、編集者も変更を公開できる。公開範囲、設定、分析、所有権、以前のバージョンへの復元、編集者の管理に関する権限は、引き続き所有者にある。
また、URL編集が提供されている環境では、所有者が新たなデプロイを作成せずに、既存サイトのChatGPT上の公開URLを変更 できる。変更前のURLから新しいURLへは、パスやクエリーパラメーターを含めてリダイレクトされる。
コラム: macOS版でApple Messages連携とCodexスレッド共有を追加
8月20日の更新では、macOS版ChatGPTデスクトップアプリにApple Messagesプラグイン も追加された。すべてのプランで利用でき、ChatGPT WorkとCodexから、Mac上のiMessage、SMS、RCSの会話を読んだり検索したりできるほか、メッセージの作成や送信も行える。現時点ではApple Silicon版のアプリに限られる。
メッセージを送信する際は、原則としてユーザーが本文と宛先を承認する。常時許可や承認設定に関する詳しい注意点は公式ガイド を参照のこと。
また、ローカルのCodexスレッドを読み取り専用のスナップショットとして共有 できる機能もすべてのCodexプランに追加された。スナップショットは共有時点の内容で固定されるため、元のスレッドを後から変更しても共有内容には反映されない。個人アカウントではURLを知る人なら誰でも開ける一方、ワークスペースアカウントでは、作成元ワークスペースの認証済みメンバーだけが閲覧できる。
Codexは、共有前に一部の秘密情報を自動検出して伏せるようになっている。ただし、メッセージ、画像、差分などに機密情報やファイルパスが残る可能性があるため、OpenAIは共有画面を確認するよう求めている。共有リンクはChatGPTの「Data Controls」 にある「Shared links」から確認したり取り消したりできる。
コラム: Mac上の活動をメモリーとタイムラインにまとめる「Computer History」を提供
OpenAIは8月13日、macOS版ChatGPTデスクトップアプリで「Computer History」 の提供を開始した。Computer Historyは、macOS上のアプリやWebサイトでの活動をメモリーとタイムラインにまとめ、ChatGPTやCodexが参照できるようにする。記録対象とするアプリやサイトを選べるほか、収集の一時停止や履歴の確認・削除も行える。
ただし、Computer Historyではスクリーンショットや音声は記録されない。ブラウザーのプライベートモードで閲覧したWebサイトも履歴に含まれない。
Computer HistoryはChatGPT Pro、Business、Enterpriseユーザーが利用できる。初期状態ではオフで、利用にはメモリーを有効にする必要がある。提供開始時には欧州経済領域(EEA) 、スイス、英国が対象外だったが、OpenAIは8月20日にこれらの地域へも提供を拡大した。
コラム: Codex cloudがGitLabにベータ対応
OpenAIは8月19日付の「ChatGPT & Codex changelog」 で、Codex cloudのGitLab連携をベータ版として追加した。すべてのChatGPTプランが対象で、GitLabプロジェクトをCodex cloudへ接続し、プロジェクト用の環境を作成できる。イシューやマージリクエストのコメントで@codexをメンションしてタスクを開始できるほか、マージリクエストの単発レビューや自動レビューも依頼できる。
GitLab連携ガイド によると、連携機能はCodex cloud上で動作する。コードの編集・実行、コミット、マージリクエストのブランチへのプッシュには、プロジェクトごとの環境が必要になる。GitLab Self-ManagedまたはGitLab Dedicatedでは、グループ配下のプロジェクトをまとめてレビュー対象にできるが、このグループ設定だけではコーディングタスクを実行できない。なお、このベータ版には、デスクトップアプリのGitHub連携にある「Create pull request」などのリポジトリ操作機能は含まれない。
GitLabのイベントをきっかけにCodexを動かすには、Webhookを設定できる権限が必要になる。GitLab Self-ManagedまたはGitLab DedicatedでWebhookを使う場合は、GitLab 19.0以降が必要となる。接続方法や詳しい条件はGitLab連携ガイドを参照のこと。