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これが“ニューノーマル” ―Linux 7.2リリース⁠AIレビューによる大量の修正が常態化へ

Linus Torvaldsは8月16日、⁠Linux 7.2」の公開をアナウンスした。スケジュール的には通常通り、2週間のマージウィンドウ期間と7本のリリース候補版を経ての公開だが、今回のリリースサイクルではAI/LLMによる大量のレビューおよびそれに起因する修正が、最後のRC7まで継続的に行われている。

Linusは「リリース最終週は予想以上に大変だったが、いわゆる⁠ニューノーマル(AI/LLMによるレビューの常態化)⁠の状況下では、リリースを遅らせていたらリリース自体が実現しなかったかもしれない」とコメントしており、AI/LLMによる環境の変化をとまどいながらも受け容れる方針のようだ。

Linux 7.2でもっとも注目されている機能のひとつが「キャッシュ認識タスクスケジューリング(cache-aware scheduling⁠⁠」だ。これは同じデータを共有するタスクを同じLLC(Last Level Cache)ドメイン内に配置し、キャッシュの局所性を向上させることで、スケジューラのキャッシュミスやキャッシュバウンスを減らすことを目的としている。

従来のスケジューリングではCPUの負荷バランスが重視されがちだったが、Linux 7.2ではよりキャッシュの局所性を考慮(≒キャッシュを認識)することで、データアクセスの効率化を図る。AIワークロードはもちろん、同じデータを複数のスレッドで頻繁に共有するデータベースやWebサーバ、仮想化基盤などでも大幅な性能向上が期待できる。

そのほかのおもなアップデートは以下の通り。

  • より公平なGPUスケジューラの実装 … 従来のFIFO(First In, First Out: 先入れ先出し)にもとづいたアルゴリズムから、オリジナルのLinux CFSタスクスケジューラの考え方をもとにしたアルゴリズムに変更、特定のジョブがGPUを占有しないよう、GPU上の公平性やスケジューリング効率を高める
  • ページ再利用を最適化してメモリ負荷が高い状況下でのパフォーマンス向上を図るMGLRU(Multi-Gen LRU)の改良 … ベンチマークツール「YCSB」を使用したMongoDBなどのワークロードで最大約30%のパフォーマンス向上
  • Btrfsのさまざまな改善 … ラージフォリオ(large folio)のデフォルト有効化、最大2MBの巨大なフォリオに対する実験的なサポート、生のチェックサムをユーザ空間に返すGET_CSUMSの追加、シーケンシャル書き込みとダイレクトI/Oのパフォーマンス向上など
  • RustのzerocopyサポートおよびCのstrncpy APIの削除
  • USB4またはThunderboltケーブルを使ってマシン間で直接データを高速転送できるプロトコル「USB4STREAM」によるUSB4を使用したデータストリーミングのサポート

Linusはすでに次のカーネルとなる「Linux 7.3」のマージウィンドウをオープンしており、2週間後の最初のリリース候補版に向けてプルリクエストを受け付けている。開発が順調に進めばLinux 7.3は2026年10月中旬ごろにリリースされる予定だ。

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