Linux Daily Topics

LibreOffice 26.8リリース⁠AI機能は「あえて搭載しない」

The Document Foundation(TDF)は8月26日、オープンソースのOfficeスイート「LibreOffice 26.8」のリリースを発表した。対象プラットフォームはWindows、macOS、Linuxで、120の言語に対応している。

TDFはLibreOffice 26.8の特徴を「文書のタイポグラフィ品質」⁠扱う文字体系の範囲」⁠Microsoft Officeなど他のOfficeスイート製品との互換性」にフォーカスしたリリースと位置づけており、なかでもWriterに関してはよりきめ細かな変更が実施されている。

  • 画像を大量に含むような、サイズが非常に大きい文書の読み込み速度の改善
  • 「Paragraph Composer」というテキストレイアウトアルゴリズムの導入により、段落内の複数行を考慮した単語間のスペースのより均等な配置→該当する行だけでなく段落全体を見て文字間のバランスを調整
  • OpenTypeの可変フォント(Variable Fonts)のネイティブサポート
  • アラビア語などのRTL(Right to Left)言語や日本語/中国語/韓国語のCJK言語など、多言語文書への対応を強化

とくにTDFが「今回のリリースでもっとも大きな改善点」と呼ぶ双方向テキストおよび複雑なテキストにおけるアップデートで、英語などのLTR言語とアラビア語などのRTL言語が混在した文書がより正しく配置されるようになっている点が特徴的だ。

英語とアラビア語が混在した双方向テキストの表示例。Sample textは「サンプルテキスト」、アラビア語の右側هذه وثيقةは「これは文書です」、左側のتجريبيةは「実験的な/試験的な」を意味する。Beforeの画像では1行目のアラビア語部分とカッコ(カッコは英語由来)の関係が不自然に表示されているが、After(LibreOffice 26.8)ではアラビア語として自然な位置関係で表示されている。RTLとLTLが混在すると「文字は正しいが、空白や改行の位置がおかしい」ということが起こりやすかったが、今回の改善により段落の書字歩行校を自動的に検出し、行末の空白も段落全体の書字方向にあわせて配置できるようになった
英語とアラビア語が混在した双方向テキストの表示例

また、Microsoft Officeとの互換性に関しては、Microsoft OfficeがOOXML形式で保存する新しいグラフタイプ(箱ひげ図、ファネルチャート、パレート図、サンバースト、ツリーマップ、ウォーターフォールなど)について基本的なラウンドトリップサポートがChartに追加された。ただし、現時点ではLibreOfficeでこれらを描画/編集できるわけではなく、いったんOffice形式に保存して、ふたたび読み込んだときにできるだけもとのデータを維持するにとどまっている。

なお、LibreOffice 26.8ではAI機能は実装されておらず、TDFは今後もLibreOfficeにAIを組み込まないことを「意図的な設計方針」として表明している。Microsoft 365やGoogle WorkspaceがAI機能を多く取り込む方針であるのに対し、LibreOfficeはむしろAIを搭載しない(AIにデータを渡さない)ことで、新たな価値を訴求している点が興味深い。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧