「PyCon JP 2026 広島」見どころ完全ガイド ―キーノートスピーカー北尾崇氏(Pyxel作者)紹介⁠サイン会も開催

2026年8月21日〜23日の3日間、広島国際会議場にて「PyCon JP 2026」が開催されます。

今年のPyCon JPは、充実のトークセッションだけでなく、業界を代表する豪華キーノートスピーカーの登壇や、会場限定の著者サイン会企画など、見どころが盛りだくさんなイベントになっています。

この記事では、PyCon JP 2026主催メンバーのyamaneが、PyCon JP 2026の見どころを紹介します。特に、レトロゲームエンジン「Pyxel」の作者として知られる北尾崇さんによる基調講演の見どころについてたっぷりお伝えします!

PyCon JP 2026ってどんなイベント?

PyCon JPは、Pythonユーザが集まり、知識や技術を共有し、新たな繋がりを生み出す日本最大級のPythonカンファレンスです。昨年2025年も同じ広島国際会議場での開催で、会場には全国からPythonユーザが集まりました。昨年の様子がこちらです。

PyCon JP 2025の様子
PyCon JP 2025の様子

今年も昨年同様、熱気あふれる3日間になりそうです。

現地では、トップエンジニアの試行錯誤が詰まったアツい講演を間近で聴いたり、他企業のエンジニアと技術的な悩みについて語り合ったり、相談できます。自分の技術レベルの向上や、日々の開発へのモチベーションにつながるはずです。

トークの多くは、後日アーカイブでも公開されます。それでも毎年、全国から広島まで人が集まってくるのはなぜでしょうか。その答えは、現地でしか味わえない体験にあります。ここからは、その体験を代表する3つのポイントを紹介します。

豪華スピーカーによる基調講演

PyCon JP 2026では、以下のお二人がキーノート(基調講演)スピーカーとして登壇されます。

  • Carol Willing さん
  • 北尾 崇 さん
キーノートスピーカーのお二人
キーノートスピーカーのお二人

Carol Willingさんは、Pythonコア開発やProject Jupyter、オープンソース・ガバナンス、オープンサイエンスの分野で長年にわたりコミュニティを支えてこられた、Pythonコミュニティを代表するリーダーです。

北尾 崇さんは、Python向けオープンソース・ゲームエンジン「Pyxel」の作者です。ゲーム開発、プログラミング教育、XR・AI研究などの幅広い経験を通じて、⁠気軽に楽しくプログラミング」に触れられる機会を世界に広げています。

バックグラウンドの異なる2人が揃った、今年ならではのキーノートラインナップです。

充実のトークセッション

約50件あるトークセッションでは、初学者向けの内容から、Python内部の実装やエコシステムに関するコアな内容、AI/LLMを使った最新の活用事例まで、幅広いテーマが揃っています。

タイムテーブルはこちらです。

筆者としては、AI技術をPythonとどう組み合わせ実用化していくのか、に興味があり、生成AIと絡めたトークセッションが非常に楽しみです(筆者自身もPythonを使う現場で働いているのですが、AI agentと一緒に品質の良いシステムを作り上げるにはどうしたら良いか試行錯誤の最中なので...!⁠⁠。

先進企業の取り組みに触れられる⁠スポンサーブース

会場内のスポンサーブースでは、各社が現場で取り組んでいる技術的課題や、Pythonを活用したプロダクト開発の裏側について、エンジニアから直接話を聞くことができます。キャリアや最新の技術動向に興味がある方は、ぜひ立ち寄ってみてください。

余談ですが、筆者はPyCon JP 2026ではスポンサーチームの一員として活動してきました。当日はスポンサーブースが多くの来場者でにぎわい、交流が盛り上がることを楽しみにしています!

大作ゲーム開発からOSSへ ―キーノートスピーカー北尾さんの技術的歩み

ここからは、キーノートスピーカーの一人である北尾崇さんの魅力と講演の見どころに迫ります!

北尾さんはかつてコナミに在籍し、世界中で大ヒットを記録した『METAL GEAR SOLID』⁠主人公ソリッド・スネークの⁠待たせたな⁠で有名ですね!)をはじめ、⁠ZONE OF THE ENDERS』といった名作コンシューマーゲームの開発において、まさに第一線のエンジニア・クリエイターとして中心的な役割を果たしてきました。

ハイエンドなWeb・ゲーム開発やグラフィックエンジンの構築を通じて圧倒的な技術と実績を築いてきた北尾さんですが、現在は個人でのOSS開発や、⁠誰もが気軽に楽しくプログラミングに触れられる環境づくり」へと情熱を注がれています。その代表作が、Python向けのレトロゲームエンジン「Pyxel(ピクセル⁠⁠」です。

Pyxelユーザーガイドから抜粋
Pyxelユーザーガイドから

なぜ「Pyxel」は世界中で愛されるのか?

Pyxelは、ファミコン風のレトロゲームをPythonだけで手軽に作れるオープンソースのゲームエンジンです。以下に、Pyxelが親しまれている理由を3つに絞って紹介します。

初心者でもすぐ作れる圧倒的な軽快さ
わずか数行のシンプルなコードで画面にドット絵を描き、音を鳴らし、ゲームを動かすことができます。複雑な環境構築や重いゲームエンジンの導入に悩まされることなく、⁠思い立ったその日にゲームが作れる」のが最大の魅力です。
上級者も納得の拡張性と設計美
シンプルな見た目でありながら、APIの設計は本格的です。疑似3D描画や独自のレンダリングエフェクトなど、上級者が踏み込んだ表現をしたくなったときにも対応できるだけの奥行きがあります[1]
プログラミング教育からインディーゲーム制作まで
世界49ヵ国・1万人以上が参加するフランス発のプログラミングイベント「Nuit du Code」での教材採用[2]や、Steamで配信されている本格インディーゲーム『Dungeon Antiqua』シリーズのベースとしても使用されており[3]、教育現場から商業開発まで幅広く活用されています。

「プログラミングの本来の楽しさ」を届けるために

北尾さんがPyxelを開発した背景には、80〜90年代のゲーム開発体験があります。当時はGUIもなく、入門書を片手にBASICやC言語をCUIで打ち込むところからプログラミングが始まりました。スペックの限られたハードと格闘しながら「なぜあのゲームはあんなことができるんだろう」と頭を悩ませる日々。その体験を北尾さんはこう振り返っています。

「この『制約を乗り越えようとする』過程こそが、私のエンジニアリングの原点だったのです」

引用元『メタルギア』『ZOE』の開発者がレトロゲームエンジン「Pyxel」を作った理由【フォーカス】

一方で、現代はツールや環境の高度化が進み、⁠技術をゼロから学ぶきっかけ」に出会いにくくなっているとも北尾さんは指摘します。Pyxelはあえてホビーパソコン時代の「制約」を再現したゲームエンジンとして設計されており、その制約こそが、試行錯誤する楽しさやプログラミング本来の醍醐味を取り戻す仕掛けになっています。

北尾さんの基調講演の見どころ

コンシューマーゲーム開発の最前線から、PyxelというOSSへ。その両方の経験を持つ北尾さんが、AI時代のものづくりとエンジニアリングの原点を語ります。

ゲームを作る楽しさをどう体感させるか

北尾さんが講演で伝えたいのは「ゲームを作る上での楽しみ方」であり、それを聴衆に体感させるための"仕掛け"も考えているとのことです。ゲーム作りや、プログラミング体験そのものを設計してきた北尾さんならではの視点が、基調講演という場でどう表現されるのかが楽しみです。

AI時代に⁠開発における新たな制約をどこに見つけるか

開発業務の制約がAIによって無くなっていく中で、⁠次の制約をどこに見つけて、工夫を凝らすか」は、私たちエンジニアの腕の見せ所でもあると思います。

Pyxelで80〜90年代の制約をあえて再現し、制約を乗り越える過程を次の世代に手渡してきた北尾さんが、AI時代の文脈でこの課題をどう語るのか。個人的には、そうした内容が語られることを楽しみにしています。

Day2クロージング前という注目の枠での登壇、ぜひ会場でお聞きください。

※ 講演内容は記事公開時点での予定であり、当日変更になる可能性があります。

書籍『ゲームで学ぶPython! Pyxelではじめるレトロゲームプログラミング』の魅力

基調講演でも語られるであろう「ゲームを作る楽しさ」を直接体験できるのが、北尾さんが執筆・監修された書籍『ゲームで学ぶPython! Pyxelではじめるレトロゲームプログラミング』(技術評論社、2025年1月刊)です。

今回のPyCon JP 2026では、基調講演に加えて、北尾さんによる会場限定の著者サイン会が開催される予定です!

どんな本なの?

本書は、Pyxelを使ったゲーム制作を通じてPythonを学ぶ入門書です。⁠お絵描きプログラムを作ろう」⁠アニメーションを作ろう」と段階を踏みながら、最終的にはシューティングゲームやアクションゲームが作れるようになります。各章でどんなことが学べるのか、簡単にご紹介します。

  • Chapter 1〜4:Python・Pyxelの環境構築から、変数・関数・繰り返し処理をゲームの文脈で学ぶ
  • Chapter 5〜7:クラス、衝突判定、タイルマップ、画面遷移など、本格的なゲーム開発に必要なテクニックを実践的に習得
  • Chapter 8:作ったゲームを公開・シェアする方法まで解説

筆者も読んでみたのですが、まずChapter 1〜2でPyxelのサンプルプログラムを「動かす」体験から始まり、変数・関数・繰り返し処理といったPythonの文法もすべてゲームを作る文脈で登場するため、⁠Python触ったことがないよ!」という方も最後まで飽きずに読み進められる構成になっています。⁠難しくなってきたからやめた」という挫折ポイントをうまく潰してくれている印象でした。

筆者は2D探索型アクションゲームをよく遊ぶのですが、Chapter 7「アクションゲームを作ろう」を読んだときに「これを改造すれば"ぼくの考えた最強のアクションゲーム"が作れる...!」と思わず前のめりになりました。タイルマップ・スクロール・ジャンプ・敵の出現処理の実現方法まで解説されているので、読み終わった後に「次は何を作ろう」という気持ちが自然と湧いてくる本です。

Pyxelの哲学がそのまま本になっている

Pyxelが大切にしてきた「気軽にゲーム制作を楽しめる」というコンセプトは、本書の構成にもそのまま反映されています。環境構築で挫折させない。少ないコードで手ごたえを感じさせる。ゲーム制作を通じてプログラミングの楽しさを届けたいという、北尾さんの一貫した姿勢が伝わってきます。

PyCon JP 2026のサイン会は、北尾さんと直接話せる貴重な機会です。本書を手に入れて、ぜひ当日会場でサインをもらいに行きましょう!

※サイン会開催の詳細は現在調整中のため、決まり次第公式サイト等でご案内します。

PyCon JP 2026 広島会場で開発者の熱量に触れよう!

2026年8月21日(金⁠⁠、22日(土)広島国際会議場にて「PyCon JP 2026」が開催されます(スプリントは翌23日⁠⁠。

北尾さんの基調講演をはじめ、充実したトークセッション、スポンサーブース、そして著者サイン会と、現地でしか得られない体験が揃っています。広島でお会いしましょう!

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