2026年5月13日~19日にアメリカ、カリフォルニアで開催されたPythonの年次国際カンファレンス「PyCon US 2026」レポートの第2回をお届けします。第1回のレポートは以下で公開中です。
カンファレンス2日目
カンファレンス2日目です。この日は筆者と同行した寺田さんの発表、PSF Member Lunch、PyLadies Auctionなど、さまざまなイベントがありました。
Column: 人気のLightning Talkに登壇
このコラムはPython Asia Organizationの寺田(@terapyon )がお届けします。
私はPyCon USに参加すると、コミュニティーブースの運営や各国のコミュニティーメンバーとの交流を中心に活動しています。そのため、発表する側よりも聞く側になることが多いのですが、今年はLightning Talk(LT)で登壇する機会を得ました。
PyCon USでは会期中にLTが複数回あり、1枠5分ながら毎年人気です。当初は参加者の多いDay 1夕方のLT枠を狙っていましたが、ブース対応中に締切を過ぎて応募できませんでした。そこで翌朝の募集に応募し、Day 2朝のLTで2番手として登壇しました。私のLTの開始は朝8:05でした。
私は海外カンファレンスでLTをした経験はありますが、PyCon USでのLTは今回で2回目です。また、これまでのLTはコミュニティー活動やイベント運営に関する話題が多く、技術的な内容を中心に発表する機会はそれほど多くありませんでした。
今回紹介したのは、最近取り組んでいる画像検索の仕組みです。「 Searching 23,000 Photos with Modern VLMs: From Text to Image 」と題し、PyCon JPの過去の写真をセマンティック検索する仕組みを紹介しました。
5分間という制約もあるため、アルゴリズムの詳細や評価結果については触れず、「 どのようなことができるのか」を中心に紹介しました。特に、実際に動作するデモを見せることを重視して準備を進めました。
ただ、発表では時間配分をミスして、最後まで話すことができませんでした。
寺田がLTで発表している様子
LTはたった5分ですが、限られた時間の中で何を伝えるかを整理することの難しさを改めて感じました。一方で、デモは問題なく動作しました。会場からも反応があり、想定していたポイントで笑いや驚きの声が上がったのは嬉しかったです。
発表後には何人かの参加者から反響を聞けました。
「同じようなものを作ってみたい」
「どうやって実装しているのか興味がある」
自分が取り組んでいる内容に興味を持ってもらえたことは素直に嬉しかったです。
PyCon USには世界中から参加者が集まります。英語で発表することには毎回緊張しますが、自分が作ったものを直接紹介し、その場で反応を得られることは貴重な経験です。
今後もコミュニティー活動だけでなく、技術的な取り組みについても発信していきたいと思います。
8月21日から開催のPyCon JPでは、PyCon USのLTで話が出来なかった技術的な部分の解説をします。PyCon JP 2026での発表 をお楽しみに。Day 1 11:45からです。
PSF Member Lunch
PSF Member LunchはPython Software Foundation(PSF)のスタッフ、理事やメンバーが参加して、ランチをとりながらPSFの運営状況について共有、ディスカッションをする場です(筆者はメンバーとして参加) 。
各地域の支援金額のグラフでは、2024年から2025年かけて、アジア地域では12%から6%とかなり割合が減っています。これは、2025年の途中で資金が足りなくなり、助成金プログラムを停止した影響があると思います。2025年の後半にPyConを開催予定だった多くのアジアの国と地域が、PSFの助成を受けることができませんでした。
地域ごとの助成金額の推移
また、このイベントの中で「PyCon US 2027」がロングビーチで開催されることが報告されました。来年もロングビーチです。
Column: PSF Member Lunchについて
一般社団法人PyCon JP Association理事の吉田(@koedoyoshida )です。PyCon USのPSF Member Lunchに参加してきました。
食事の様子
PSFメンバーランチはランチを取りながら、PSF(Python Software Foundation)のメンバーが一堂に会し、財団の現状やこれからについて語り合う、毎年恒例の場です。
今年もPSFのExecutive DirectorであるDeb Nicholson氏から説明がありました。
Deb Nicholson氏によるPSF Member Lunchの説明
例年であれば、このランチでPSFの昨年の財務報告のサマリとなる資料が共有されるのですが、今年は財務資料の配布については見送りとなりました。そこで私は「今年は財務資料の配布がないようですが、昨年の財務状況はどうだったのでしょうか。資料はWebで公開されるのでしょうか?」と直接質問してみました。すると運営側から率直な回答が返ってきました。
「会計担当の体制が変わった影響で、今回はまとまった数字をお見せできる状態に間に合わせられなかった。ただ財務の透明性は大切にしているので、体制が整い次第あらためて資料を公表する予定です」という回答でした。その場では数字の詳細こそ出ませんでしたが、財務状況をめぐる考え方や今後の方針について、こちらの疑問にきちんと答えてくれました。
PSF Member LunchはPSFメンバーが事前登録のうえ参加できる貴重なイベントで、その場で質問も可能です。たとえば、月に5時間程度、PythonやPyConに継続的に関わっているなどの条件を認められれば、PSFメンバーのうちContributing Memberとして登録が可能で、理事選挙の投票権なども得られます。該当する方や興味のある方は、ぜひ以下のページで詳細をご確認ください。
Tachyon: Python 3.15's sampling profiler is faster than your code
本トークではPython 3.15で新しく追加されるプロファイラーTachyon (タキオン)の開発の背景や高速化のポイント、実際の使い方について紹介されました。プロファイラーとはプログラムの実行中の状態を監視や記録し、各処理の実行時間や関数の呼び出し回数などを解析するためのツールです。主にパフォーマンス改善に使用されます[1] 。
今までのプロファイラーは“The Slowest profiler on the planet”
このプロファイラーの名前はTachyonですが、Pythonのモジュール名はprofiling.sampling です。公式ドキュメントにはロゴの画像もあり、他の公式ドキュメントにはない少し変わったモジュールだなと思いました。
Tachyonは現時点では最も高速なPythonのプロファイラーです。このプロファイラーは外部からプログラムのメモリを読み取る方式のため、対象となるプログラムの動作に負荷をかけることはありません。一定時間ごとにメモリの状況をサンプリングするため、その間に実行が完了した関数などは検出されない可能性があります。とはいえ、処理が遅いところを知りたいのでプロファイラーとしては問題がないという考えです。
Tachyonのアーキテクチャーの説明のあとは、具体的な使い方について説明がされました。
キャプチャーモードでは以下のようにpython -m profile.sampling コマンドのあとにrunサブコマンド付けてスクリプトを実行すると、そのスクリプトをプロファイルします。また、実行しているプロセスに対してattachサブコマンドで接続も可能です。
プロファイルを実施するコマンド
python -m profile.sampling run main.py
python -m profile.sampling attach <pid>
プロファイル結果の出力フォーマットにはさまざまなものがあります。デフォルトはpstatsフォーマット(--pstats)です。pstatsフォーマットではプロファイル結果を色つきの表形式で、関数の場所、サンプル数、処理時間などが表示されます。
pstatsの出力イメージ(Python公式ドキュメントより)
この他、--flamegraphオプションを付けると、フレームグラフ形式で結果が表示されます。フレームグラフでは呼び出しのスタックが入れ子で四角形で表示され、幅が処理時間になります。視覚的にどの部分で処理に時間がかかっているかが把握できます。
フレームグラフの出力イメージ
オプションには--geckoというものもあり、これはFirefox Profiler 用のファイルを出力します。Firefox Profilerを知らなかったのですが、Firefox上の機能やChrome拡張として提供されているツールで、元々はWebアプリケーションのパフォーマンス解析に使用するようです。このプロファイラーに対応することで、Firefox Profiler上で対話的に解析ができるようです。
動作中のサーバーに対しても、プロセスIDを指定してプロファイリングが行えるTachyon、便利そうです。パフォーマンス改善が必要なときに使ってみたいと思います。
Column: 3年連続のPyCon US登壇で考えた、 プロポーザルを書くということ
このコラムは青野 高大(@koxudaxi )がお届けします。
今年はBeyond Optional in Real-World Projects: Missing, None, and Unset というタイトルで登壇しました。ありがたいことに、PyCon USでは2024年から3年連続で登壇する機会をいただきました。
PyCon US 2026で登壇する筆者
登壇を重ねるなかで感じるのは、話すテーマは、普段の開発と切り離された特別な話ではない、ということです。これまでのトークも、仕事やOSS活動の中で何度も見かけてきた問題がもとになっています。プロポーザルを書くたびに、その問題を自分用のメモのままにせず、聞いた人が「自分のプロジェクトでも使えそうだ」と思える形に整えられないかと考えてきました。
今年扱ったのは、「 値がないように見えるものにも、実はいくつか違う意味がある」という話です。PythonではNoneを使う場面がとても多いのですが、Web APIや設定ファイルのように外部からデータを受け取る場面では、値が指定されていないことと、明示的にnullが送られてきたことは、必ずしも同じではありません。
たとえば、PATCHメソッドでユーザー情報を一部だけ書き換える場面を考えてみます。{"nickname": null}が送られてきたら、ニックネームを消したいという意味かもしれません。一方でnicknameというフィールド自体が送られていなければ、今の値を変えない、という意味になります。Python側でpayload.get("nickname") のように書くと、どちらもNoneになり、リクエストの意図が失われます。
こうした問題は、私がメンテナンスしているdatamodel-code-generator でも何度も議論になってきました。これは、OpenAPIやJSON Schemaなどのスキーマから、PydanticモデルやdataclassesなどのPythonコードを生成するOSSです。スキーマでは、必須かどうか、null を許すか、省略されたときの扱いが、それぞれ別の意味を持ちます。これをPythonの型やデフォルト値にどう落とすかは、見た目以上に難しい問題です。
今回のトークでは、payloadの形はTypedDictで表し、送られない可能性のあるフィールドはNotRequiredで表しました。また、関数呼び出しで値が指定されていないことはUNSETのようなsentinelで表し、最後にdataclassesのモデルへ変換する流れを紹介しました。外から来たデータの意味を失わないために、どこで何を区別するかという話です。
ひとつひとつのissueだけを見ると、細かい仕様の話に見えることがあります。しかし、似た話題が何度も出てくるということは、多くの人が同じところで迷っている、ということでもあります。その迷いを特定のライブラリの中だけの話にせず、Pythonを書く人が持ち帰れる形にどう切り出すか。プロポーザルを書くときは、毎回そこを考えています。
3年続けてプロポーザルを書いてみて、話すテーマは、やはり普段の開発の中にあるのだと感じています。日々の仕事やOSS活動で何度も見かける小さな違和感を、ていねいに整理して言葉にすること。それもまた、Pythonコミュニティに知見を共有するひとつの形なのだと思います。
PyLadis Auction
カンファレンス2日目の夜にはPyLadies Auctionがあります。このイベントはPyCon USの関係者(スポンサーやスタッフなど)がグッズを提供し、オークション形式で競り落とすというものです。落札されたお金は全てPyLadiesに寄付されて、PyLadiesの運営資金となるチャリティオークションです。
会場では丸テーブルでディナーを楽しみながらオークションに参加します。前方のステージでグッズを紹介し、参加者が札を掲げて商品を競り合います。
オークション会場
写真の通りさまざまなアイテムが出品されています。透明のスケートボードはSentry提供、Meta提供のPythonレゴセットはすごくほしいですが、当然ですが金額的に全然無理でした。
さまざまなアイテム
Meta提供のPythonレゴ
オークション会場で、PyCon JP 2026のキーノートスピーカーであるCarol Willingさん にあいさつをしました。Carolさんと筆者はPyCon Malaysia 2019[2] で初めて会って、その後東京でも一緒にビールを飲んだりしています。
「日本でまた会えることを楽しみにしています。ビールに行きましょう!!」といった話を振ると「東京でもなにかやりたいですね」とうれしい提案がありました。具体的にどうなるかはわかりませんが、ご期待ください。
Carol Willingさんと
カンファレンス3日目
カンファレンス最終日です。この日は筆者自身のライトニングトーク、PSFのセキュリティエンジニアや、Steering Councilからのトークなどがありました。
ライトニングトーク
PyCon USではカンファレンス中に4回(1日目夕、2日目朝、夕、3日目夕)ライトニングトークがあります。2日目の朝は寺田さんがライトニングトークをしていました。筆者は最後のライトニングトークに申し込んでスピーカーに選ばれたので発表してきました。タイトルは「Find Better 🐱 Cat Emojis with your text!」で、昨年のライトニングトーク[3] の続きとなるトークです。
今回も昨年同様、冒頭で「Do you like Cats?(ネコは好きですか?) 」と問いかけて会場から「Yeeees!!」と答えてもらうところから本題をはじめました。聴衆の中には「あれ、この流れ去年あったな?」と思ってくれた人もいたんじゃないかなと期待しています。
筆者のライトニングトークの様子
PSF - Update from our Security Engineers
PSF(Pythonソフトウェア財団)のセキュリティエンジニアであるSeth氏とMike氏からの発表です。
Seth氏(左)とMike氏による発表の模様
PythonではパッケージのリポジトリとしてPyPI が存在します。このリポジトリは日々攻撃にさらされており、セキュリティエンジニアのお二人はそれらの攻撃にも対処しています。直近では特定のプロジェクトではなく、依存関係にあるプロジェクトを狙う手法があり、LightLLMなどのサプライチェーン攻撃などが発生しています。
パッケージをアップロードするための認証情報を盗まれないための、Trusted Publishers プロトコルについても紹介されました。このプロトコルを適用すると短い期間で期限が切れるトークンを使用するため、より安全にパッケージが公開できます。
また、セキュリティ対策はAmazon、Google、Bloomberg、Alpha Omegaなどの企業の支援によって支えられています。
ポスターセッション、 ジョブフェア
Day 3は、10時から13時までの3時間、ポスターセッションとジョブフェアが行われており、トークはありません。ポスターセッションはA0程度のサイズのポスターの前発表を行うスタイルです。ジョブフェアは企業がブースを出して求職者と直接話ができる場です。
ポスターセッションにはPyCon Taiwanのメンバーでもあるpetertc氏がいました。petertc氏はPyCon USに参加するのは初めてだそうです。発表の内容はPythonからC言語のIOCTLとやりとりすることで、デバイスを直接制御するというものです。実際に業務でも利用しているそうです。
ポスターセッションのpetertc氏
この他、朝のライトニングトークで紹介されていた火星探査をするローバーの実物が展示されていました。JPL Open Source Rover というプロジェクトだそうです。多くの来場者が興味深く見ていました。
火星探査ローバーの実物
ジョブフェアを眺めていると、Tower Research Capital という会社のブースにたくさんの人がいます。近づいてみると結構しっかりしたバックパックをグッズとして配布しています。話を聞いてみると、特に登録とかしなくてもOKということで、お礼を言ってバックパックをもらいました。周りにもこのバックパックを持っている人がたくさんいました。
ベストPyCon US 2026グッズ
Column: 肩の力を抜いて楽しむPyCon US
橘祐一郎(@whitphx )です。PyCon US 2025に続き、今年も参加してきました。
今回の私は発表者でもブース出展者でもなく、仕事として参加したわけでもありません。ただの一参加者としてロングビーチまで行きました。単純に去年参加したPyCon USが楽しかったのと、それに加えて今年はロングビーチにも行ってみたかった程度の理由で、あまり気負わずに参加しました。
私は基本的に、海外のPyConにはトークが採択されたら行くようにしていました。飛行機代もホテル代も安くないので、せっかく行くならできれば発表して目立ちたいからです。とはいえPyCon USは競争率が高く、「 登壇できたら行く」と考えているといつまでも行く機会がないかと思い、去年から発表にこだわらず普通に参加者として行くことにしました。
去年はそれでもSummitに出てみたり してそれなりに頑張っていましたが、今年は肩の力を抜いて特に気張るイベントを作らずに参加してみました。それでも十分に楽しかったです。
想像通り、基本的にはセッションを聞いたり、キーノートやライトニングトークを眺めたり、ブースを回ったりして過ごしました。会場を歩いているだけでも知り合いに会いますし、ブースや飲み会で初対面の人と盛り上がることもあります。
個人的に知り合いの多いStreamlitブースを訪問
カンファレンス前日の夜には、会場近くのバーで日本から来ていた参加者たちと飲んでいたところ、PyCon USのバッジをつけた初対面の参加者と自然に同じテーブルを囲むことになりました。特に準備していなくても、同じイベントに来ている人同士で話が弾みます。Python Asiaが音頭をとった飲み会に参加した時は、アジア各地から来た参加者が集まっていて、「 また別の国のPyConで会いましょう」という話にもなりました。実際どこかのPyConに行くとよく会いますし、今回初めて知り合えた人もいて、輪が広がっている感じがします。
開幕前日の夜に行ったビアバー。フライト後すぐだったので軽く(上)/知り合いメインの非公式ビール飲み会(中)/スポンサー主催のパーティー(下)
3日目は会場を抜け出して現地の友人と映画を観に行きました。ホテル代や参加費の元を取ろうと気負いすぎなくてもよいのだと思います。
スプリントでは、今年は特定のプロジェクトのテーブルには入らず、会場を仕事場のように使いながら自分のタスクを進めたり、近くに来た人と話したりしていました。これも去年 とは大きな違いです。スプリント2日目には、ランチに行くグループに混ぜてもらってタコスを食べた流れで、そのままロングビーチの観光地(クイーンメアリー号)を見に行き、夕方には海岸を散歩し、そのまま食事と飲みに行ってしまいました。
クイーンメアリー号
ロングビーチの砂浜
こんな感じで、意識の低い参加の仕方をしてみました。十分に楽しめましたし、それもアリではないかと思います。
Learning Computer Science with Python and Music(21)
このトークは、music21 というPython製の音楽分析ツールキットを使って、コンピュータサイエンス(CS)の基礎を学習する取り組みの紹介でした。
Michael氏のトーク
Michael氏は学生にCSを教えており、データベース設計やボット開発のようなアプリケーションは関心を引きにくいという課題があるそうです。そこで、CSの応用コースでmusic21と音楽理論を取り入れることによって、より学生の創造性を引き出し、CSへの理解度も高めることができているそうです。
music21のデモの様子
筆者は趣味の吹奏楽でトランペットを吹いており、音楽関係のライブラリとしてmusic21は興味深いものでした。music21を使うと、JuyterLabの上でPythonのプログラムからその音やコードの楽譜を表示させたりMIDIを再生できたりします。確かに音楽は、同じようなパターンの反復や音程の移動を行うことがあるので、プログラミングの考え方と重なる部分があると思いました。個人的にmusic21を自分の音楽活動で活かせないか、ちょっと調べてみようと思います。
Keynote — Rachell Calhoun & Tim Schilling
PyCon US最後のキーノートは、Djangonaut Space の共同設立者であるRachell Calhoun氏とTim Schilling氏によるものでした。Djangonaut Spaceは、Python製のWebフレームワークであるDjangoのトレーニングプログラムを提供するコミュニティです。自己学習プログラムと8週間のメンターシッププログラムを提供しており、Djangoへのコードの貢献を行い、将来のDjangoのコア開発者やメンテナーを育成することを目的としています。
Tim Schilling氏
参加者をサポートするために「ナビゲーター」と「キャプテン」という2つの役割があり、ナビゲーターはプロジェクトを推進するための技術的な支援、キャプテンは一人一人によりそった支援を行うそうです。過去の参加者が成長して次のナビゲーターやキャプテンを務めるといった、コミュニティ内での良い循環もあるそうです。
コミュニティの取り組みとして興味深いなと感じました。一方で、体制を維持して運営を継続するのはかなり大変なのではないかとも思いました。Djangoへの貢献に興味のある方は、ぜひこの取り組みを参照してみてください。
Python Steering Council
Pythonの言語仕様はPEP(Python Enhancement Proposal)というドキュメントで提案されますが、その採用、不採用を決めるのが5名のSteering Councilメンバーです。Steering Councilメンバーは毎年CPythonのコア開発者の投票によって決まります。2026年のメンバーについては以下のドキュメントを参照してください。
5名のSteering Councilメンバー
最初にSteering Councilメンバーの紹介や開発体制について話がありました。最近はコア開発者が一同に介して一週間程度の開発スプリントを行っています。2026年はOpenAIがホストとなって開催されるそうです。
続いて、2026年10月にリリース予定のPython 3.15の新機能について紹介がありました。Lazy imports(遅延インポート) 、immutable(不変)な辞書、標準ライブラリのCLIなどへのカラー表示の追加、新しいプロファイラー(Tachyon)などが紹介されました。
また、PEP 772 によって、Packaging CouncilというPythonのパッケージングに関する委員会を設立することが紹介されました。
他にはPythonの将来についての話がありました。Free-threadingのデフォルト化は近い将来(3.16から3.20のどこか)で実現したいとのことです。標準ライブラリにRustを導入することが検討されているとのことで、現在は検証を行っているところだそうです。Rustの導入がどうなるかは注視していきたいと思います。
Python Software Foundation Update
Closingの前にPSFのExective DirectorであるDeb Nicholson氏より、PSFの最新情報についての共有がありました。PSFはPythonの権利を有しており、Python言語の普及、保護、発展を目指して活動している財団です。
Deb Nicholson氏
PSFの大きなニュースとして、アメリカ政府(国立科学財団:NSF)からの150万ドル(約2.2億円)の助成金を辞退したことが報告されました。これは、助成金の契約の中に多様性、公平性、包含性(DEI)に関する活動を制限する内容が含まれていたためです。そのためPSFは助成金を拒否したとのことです。この件に関する詳細な情報は以下のブログを参照してください。
Closing
クロージングではイベントのChairであるElaine Wong氏が登壇し、関係者への感謝が述べられました。イベントを表す数字としては参加者数が2003名、そのうち57.2%が初参加者とのことです。また、オンサイトのボランティアは151名、発表者は148名で、135のオープンスペースが開催されました。PyCon USはやはり規模が大きいですね。
参加者数などの情報
そしてPyCon US 2027のChairが発表されました。2026ではCo-Chairを担当していたJon Banafato氏が、2027ではChairとなるそうです。PyCon US 2027は2027年5月13日から18日に、2026と同じロングビーチで開催することが報告されました。
PyCon US 2027もLong Beachで開催
各国PyConの宣伝
いつもはここでイベントが終わりますが、今回はClosingのあとに各国PyConの宣伝タイムがありました(今までは朝のLightning Talkでした) 。1イベント1スライドを30秒程度で、各主催者が宣伝しました。なにげに私はこのイベント宣伝をPyCon USで行うのは初めてでした。1日に2回メインステージに上がることができて、ラッキーです。
他にアジアからはPyCon Singapore、Indonesia、Korea、Taiwan、Hong Kongなどが宣伝をしていました。
PyCon JP 2026を宣伝しているところ(後に他イベントの主催者)
最後のパーティー
PyConのカンファレンスは終わりましたが、まだ終わりません!! 参加者が集まっているお店に行ってパーティーです。このお店で飲んでいるときに、韓国から参加している初めての人とあいさつをすると「takanoryなの!?」と私のことを知っているようでした。いったい、韓国でどういう噂をされているんだろう……。
カンファレンス終了後のパーティー
そのあとはローカルのクラフトビールが飲みたいので、アジアメンバー中心でBeachwood Brewing: Downtown Blendery and Taproom に移動しました。疲れている?のか、なぜかみんな床に座ってビールを飲んでいます(謎) 。こうしてPyCon USのカンファレンスは無事に終わりました。
なぜか床に座って飲む人々
終わりに
次の日(5月18日)はスプリントに参加し、夜にアナハイムに移動しました。そして5月19日は2回目のカリフォルニアディズニーランドを訪問しました。前回同様、ほぼスターウォーズエリアに1日中いるというスタイルです。今年から出没するようになったハン・ソロがいたので「日本から来たんですよー」みたいに会話をして写真を撮ってもらいました。
ハン・ソロ(本物)と握手
その後は飛行機の都合でシアトル(初訪問)に移動し、ビール友達のShaneと毎日ビールを飲みまくり、大量のビールをおみやげにもらって無事帰国しました。ビールが多すぎて、初めて関税を100円払いました。
シアトルのビールの店はどこも犬同伴が可能、とてもいい所
来年もロングビーチ(とディズニーランド)に行きますか。
筆者と寺田さんがパーソナリティをしているPyCon JP TVでもPyCon USについて報告しています。もしよかったらこちらも見てみてください。
VIDEO