既報のとおり、Linuxカーネルプロジェクトは10月中旬にリリース予定の「Linux 7.3」に向けて開発を進めているが、ここ数ヵ月に渡って議論されてきた“AIノイズ”―AI/LLMツールによるパッチとバグ報告― の大量発生が、メンテナーにとってより大きな負荷となっているようだ。
古参のカーネルメンテナーとして知られるGreg Kroah-Hartman(GKH)は9月2日、「今回(Linux 7.3)はきびしいrcサイクルになりそうだ」とLinux開発コミュニティのソーシャルプラットフォーム「social.kernel.org」で発言、今後も予想されるAIパッチ/バグ報告の大量増加に警鐘を鳴らしている。
GKHは投稿で、自身がメンテナンスするLinux USB関連の項目をフィルタリングしたtodoフォルダには4,807通のメール(≒パッチ/バグ報告)が届いており、投稿時点に表示されていたのは1,732通目だという(フォルダ容量は78MB)。このすべてがLinux 7.3に関連するパッチではないものの、やはりGKHのようなトップメンテナーが抱える負荷が大きくなっているのは間違いないようだ。
この投稿のあと、GKHは「すぐにできるバグ修正や新しい提出物によるリプレース」を行ってみたものの、メッセージ総数は4,170、フォルダサイズは69MBになっただけで、「まだクレイジーな状態…」と、作業に忙殺されていることがうかがえる。Linux USBは「安定しているはずの古いサブシステム」(GKH)であるのに、これほど多くのバグ報告が届くということは、本当に修正すべきバグだけでなく、実害がほとんどないバグや誰も使っていないようなドライバ、誰も触れていないコードに対する修正が大量に含まれているといえる。
もっともGKHは「明らかなバグ修正を断るつもりはなく、そうしたくもない」と語っており、「ただ全部処理するには時間がかかるだけだ」と、時間をかけてもバグ修正を進めていく姿勢を見せている。AI/LLMツールはバグを発見する能力は大きく向上したが、「そのバグをいますぐ修正すべきか」という優先順位までは付けてくれない。GKHが言う通り、少なくともLinux 7.3はメンテナーにとって「きびしいサイクル」になることは間違いなさそうだ。