NVIDIAのJensen Huang氏「AGIは到来した」⁠OpenAIからも「AGI時代に入りつつある」との

OpenAIのGreg Brockman氏やMark Chen氏、NVIDIAのJensen Huang氏が、Xへの投稿でAGI(汎用人工知能)の到来や、その時代への移行に言及した。OpenAIは9月6日、AIによる社内研究の加速をまとめた報告と、今後数年間のAI開発に慎重な対応を求めるブログ記事も公開した。

AGIについて、OpenAIは憲章で、経済的に価値のある仕事の大半で人間を上回る、高度に自律的なシステムと定義している。

「AGIは到来した」⁠モデルを限定しない時代認識も

NVIDIA CEOのJensen Huang氏は、OpenAIのAIモデルGPT-6 Astra[1]について、⁠AGIは到来した(AGI has arrived⁠⁠」とXに投稿し、OpenAIチームに祝意を伝えた。

投稿では、学習基盤にNVIDIA Grace Blackwell NVLink72を挙げ、規模を約10万超と記した(単位は示されていない⁠⁠。ChatGPTからo1、そしてAstraへと4年間で進んだことを振り返り、今後40万基のGPUが稼働する予定にも触れている。

OpenAI PresidentのGreg Brockman氏も「私たちは今、AGI時代に入りつつある」投稿した。その際、⁠今回のモデルとみるか、前のモデルとみるか、次のモデルとみるかにかかわらず」と付け加えている。AGI時代の始まりを特定のモデルに限定せず、緊密なパートナーの協力なしには実現できなかったとも述べた。

OpenAIの最高研究責任者であるMark Chen氏は、Jensen Huang氏に同意して「AGI時代に入りつつある」投稿した。同時に、AGI時代は「アラインメント」の時代でもなければならないと述べた。

アラインメントは、AIが人間の意図や価値観に沿って行動するようにする取り組みを指す。Mark Chen氏は、AIに人類を大切にするよう教え、監督対象と同等の能力を持つ監視用AIを訓練する必要があるとしている。

OpenAIでサイバーリスク対策を担当するFouad Matin氏も、9月4日の投稿「サイバーセキュリティのAGI時代へようこそ」と記していた。同氏は、GPT-6 Astraの発表に合わせた10億ドルの支援策を紹介し、重要サービスや重要インフラの防御に向け、Daybreakへのアクセスを補助すると説明している。

AIがAI研究を支える現場の変化

OpenAIは9月6日公開の報告「Research acceleration: The view inside OpenAI」で、社内のAIエージェント利用を調べ、2026年の研究者の働き方の変化を紹介した。

報告によると、8月中旬時点のエージェント利用量は、研究者の中央値でAPI料金換算の1日600ドル超となった。利用量が多いほうから約10%の位置に当たる研究者では、1日7000ドルを超えた。

研究チームのChristopher Ong氏はXのスレッドで、研究者の70%超が、投稿時点の直近1週間に4つ以上のエージェントを同時に管理したことがあると述べている。

Christopher Ong氏が主な用途に挙げたのは、研究・インフラ用コードの作成、技術的な支援やレビュー、学習・評価の実行監視。用途別の利用割合は、AIが生成したテキストやコードの量を表す出力トークンで集計している。エージェントの出力トークン全体に占める、研究全体の設計や計画に使われた分の割合はまだ小さいという。

報告では、コードの提出ペースが上がり、AIモデルの改善に向けた研究実験も、実験を行った研究者1人当たりの数が増えたとしている。ただし、利用可能な計算資源も増えているため、実験数の増加がどこまでAIの利用によるものかは明らかではない。また、研究にはアイデアの設計や結果の評価など複数の工程があり、そのいずれかが進歩を制約する場合もある。このため、コード作成や実験の実行が速くなっても、研究全体が同じペースで加速するとは限らないとしている。

また、OpenAIは報告の中で、AIが「研究インターン」として働ける段階に達したと説明した。人間の指示の下で、内容が明確に定義された研究課題を実行でき、熟練した研究者なら数日かかる課題も含むという。ただし、エージェントが課題を成功させるには依然として人間による指示や軌道修正が必要で、課題が複雑になるほどその必要性が高まるとしている。

研究の優先順位や、どのアイデア・結果を追究するかは引き続き人間が決める。システムの規模を拡大するか、一時停止するか、展開するかの判断も人間が行うとしている。

自己改善が進む先で⁠人間の関与をどう保つか

OpenAIが研究の自動化の先に見据えるのが、AIが自身の開発に関わり、能力の向上とさらなる開発を繰り返す「再帰的自己改善(RSI⁠⁠。同社は、アラインメントを確保した完全なRSIに安全に至る方法は、まだ分かっていないと報告に記している。

OpenAIのKevin Liu氏は、RSIが今後数年間のAIの能力向上に最も大きく寄与する要因になる可能性があると述べている。その進展が一部の先端AI研究所の外からは見えにくいとして、開発のペースをめぐる社会的な議論に役立てるため、他のAI企業にも情報公開を求めている。

OpenAIのチーフサイエンティスト、Jakub Pachocki氏は、9月6日付のブログ記事「An Alien Mind」で、今後数年間にAIがさらに能力を高め、自らの開発をますます進めるようになるとの見通しを示した。その急速な進歩がもたらす影響に、十分な備えがないことを懸念している。

Jakub Pachocki氏は、人間を超えるAIの知性を「alien intellect(異質な知性⁠⁠」と表現している。AIは人間の知能とは根本的に異なる過程で生まれ、その全体の働きを人間が十分に理解できていないという。

このため、AIが人間の価値観に沿って行動するとは初めから仮定できず、学習時に経験していない状況でどう振る舞うかを確かめる必要がある。同氏は、AIの推論過程を調べる監視手法に頼れる度合いが徐々に低下しており、能力向上にアラインメントや監視の進歩が追いつくとは限らないと指摘した。

一方、より強力なAIの開発を進める理由として、危険なAIからインフラを守る防御システムの必要性を挙げている。自動化が進む研究では、アラインメントや監視の改善に力を入れ、より高性能なAIの安全性を裏付ける根拠を積み上げるべきだとしている。

同氏が求めるのは、こうした安全対策を強化して人間が自己改善の過程に関わり続けられるようにすることと、必要に応じて開発を遅らせるための協調を組み合わせること。現時点では、どの研究所も最大速度での規模拡大をこの先も長く続けられるほど、アラインメントと監視の課題を解決していないとみている。共通の安全基準が確立するまで自主的な減速が広がることに期待し、AI開発をめぐる国際協調を各国政府の優先課題にすべきだと述べた。

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