Meta⁠⁠、オープンウェイトモデル「Muse Spark Open」を公開

Metaは2026年10月15日、オープンウェイトモデル「Muse Spark Open」を公開した。コーディングや複数段階の作業を進めるAIエージェント向けで、開発者が自分の環境で実行・追加学習できる。M5 Ultra搭載のMac Studio 2台での実行にも対応する。利用には独自のMuse Model Licenseが適用され、一部の商用利用では追加契約が必要になる。

コードの変更計画からツール実行⁠、結果の確認まで

Metaは、Muse Spark Openを大規模なコードベースを扱うエージェントの開発に使えると説明する。コードの変更を計画し、ツールを呼び出して結果を確認し、失敗した場合は修正する一連の作業を想定している。学習には、複数ファイルにまたがるリファクタリングやデバッグなど、実際の開発作業を取り入れた。

基盤モデルはMuse Spark 1.3と共通で、MoE(Mixture-of-Experts)方式を採用する。トークンごとにモデルの一部を選択する仕組みで、総パラメーター数8,160億のうち420億を処理に使う。推論時に参照できる情報量を示すコンテキスト長は100万トークン。

モデルカードによると、入力はテキスト、画像、動画、音声に対応し、出力はテキスト。スクリーンショット、図表、文書などを読み取る用途も想定している。

コーディングとツール利用⁠・業務タスクを4モデルで比較

Metaのモデルカードに掲載された評価結果では、端末上の作業を評価するTerminal-Bench 2.1で76.4、ソフトウェア開発の長い作業を評価するDeepSWE 1.1で60を記録した。Qwen、GLM、Kimiのモデルと比べると、Terminal-Benchでは3モデルを下回り、DeepSWEではQwenを上回る一方、GLMとKimiを下回った[1]。

一方、MCPサーバーを通じたツール利用を評価するMCP-Atlasと、職業上の業務タスクを評価するJobBenchでは、3モデルを上回った。ただし、JobBenchでのGLMとの差は0.4ポイントと小さい。

モデル Terminal-Bench 2.1 DeepSWE 1.1 MCP-Atlas JobBench
Muse Spark Open(xhigh) 76.4 60 89.2 61.8
Qwen3.8-2.4T-A95B(xhigh) 82.0 57 84.5 52.7
GLM 5.3(max) 83.9 67 84.2 61.4
Kimi K3(max) 85.0 68 82.3 54.3

M5 Ultra搭載Mac Studio 2台⁠、計1TBのメモリーで実行

MetaはApple Silicon向けに、M5 Ultraと512GBの統合メモリーを搭載したMac Studioを2台使う構成を案内している。実行には機械学習フレームワークMLXの最新版を使い、数値の精度を下げて容量を抑えたNVFP4版を読み込む。

2台はThunderbolt 5で直結し、相手のメモリーへ直接アクセスするRDMAを使って通信する。MLXがモデルの各層を2台に分割し、計1TBの統合メモリーに重みを保持する。処理中は重みを移動せず、中間結果をやり取りする。

NVIDIAやAMDなどのGPUを使う構成にも対応する。Metaが配布する重みにはNVFP4版とBF16版がある。モデルカードによると、必要なGPUメモリーはNVFP4版で少なくとも700GB、BF16版で2TB。

MLXのほか、SGLang、vLLM、TensorRT-LLM、Hugging Face Transformers、llama.cpp、Unslothなどの実行基盤も対応する。

重みの配布に加え⁠、推論APIや追加学習にも対応

重みはHugging Faceのほか、Amazon SageMaker AI、Google Cloud Model Garden、Microsoft Foundry Modelsから入手できる。Hugging Faceでの取得にはログインと利用者情報の登録が必要になる。

自分で実行環境を用意せず、Together AIやFireworks AIなどが提供する推論APIを利用する方法もある。

推論を支える実装として、MetaはSGLang向けにHelionで記述したGPU用の演算コード(カーネル)を提供している。PyTorchの発表によると、このコードはハードウェアに合わせて自動調整できる。追加学習にはPyTorchベースのTorchTitanが対応し、教師ありファインチューニングや強化学習を利用できる。

Metaは公開モデルに追加学習を施し、システム側の保護策がない状態でも、悪用への耐性を高めるようにした。そのうえで、モデルカードでは、導入時に用途に応じた保護策を組み合わせるよう推奨している[2]。

独自ライセンスを適用⁠、MaaS事業の一部で追加契約が必要

Muse Model Licenseは、利用、改変、派生モデルの作成、再配布、販売などを認める。

ただし、APIなどを通じて第三者にAIモデルへのアクセスと出力を提供するModel as a Service(MaaS)事業には、売上規模に応じた条件がある[3]。対象となる場合、Muse Spark Openや派生モデルを提供する前に、Metaへ通知し、別途書面で契約を結ぶ必要がある。内部利用や研究、MaaSに当たらない商用利用には、この追加契約は必要ない。

このほか、利用ポリシーへの準拠や、著作権表示などの同梱、製品・サービスでの利用表示も必要になる[4]。

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