OSSデータベース取り取り時報

第134回MySQL Workbenchの復活⁠⁠、PostgreSQL次期メジャーバージョン19最新情報

この連載はOSSコンソーシアム データベース部会のメンバーがオープンソースデータベースの毎月の出来事をお伝えしています。

[MySQL]2026年9月の主な出来事

9月は、MySQLサーバーのリリースはありませんでした。また、オラクルの9月分のOracle Critical Security Patch Update(CSPU)が発表されていますが、MySQL製品は緊急度の高い脆弱性が確認されなかったためCSPUの対象外となっています。なお、MySQLコミュニティ版の脆弱性情報はMySQL Community Edition Security Advisoryとしてまとめられています。

MySQL Workbench 26.7

MySQL WorkbenchはオープンソースのGUIツールです。MySQL Workbenchは2008年に最初のバージョンがリリースされていましたが、徐々に開発の注力がMySQL Shell for VS Codeに移ったため、2024年4月にリリースされたMySQL 8.4 LTSには接続はできるものの、全機能は対応を保証しないという位置づけになっていました。

今回リリースされたMySQL Workbench 26.7は、MySQL Shellをベースとして最新のWebフレームワークとElectronJSを利用した実装に刷新し、最新のイノベーション・リリースであるMySQL 26.7を含め、9.7 LTS, 8.4 LTSにも対応しています。

従来のMySQL Workbenchと同じく、SQLアプリ開発、サーバーの状態や設定の確認、スロークエリ分析に使えるパフォーマンスレポート、接続後との状態確認を行うClient Connectionブラウザなどの機能が用意されています。SQLの実行と結果取得を1つの画面にまとめて記録や操作できるノートブック形式のGUIが新しい機能として追加されています。

MySQL Workbench 26.7のNotebook形式画面(MySQL公式ブログより)
MySQL Workbench 26.7のNotebook形式画面

また、実行計画を可視化するVisual Explainの機能が再設計され、ハイパーグラフ・オプティマイザやHeatWaveクラスターでの実行計画もあわせて確認できるようになっています。

MySQL Workbench 26.7のVisual Explain画面(MySQL公式ブログより)
MySQL Workbench 26.7のVisual Explain画面

このほか、MySQL Shell for VS Codeで提供されているHeatWave移行アシスタントもMySQL Workbench 26.7にも追加されています。商用版のMySQL Enterprise Backupを管理するGUIもこれまでのMySQL Workbench同様に利用可能です。これまでのバージョンで利用可能だった機能の一部はまだ実装されていないものもありますが、順次対応していくことになっています。

MySQL公式ブログ日本語版の記事では「MySQL Workbench 26.7で試してほしい5つのこと」として新機能の解説をしていますので、こちらもあわせてご確認ください。

なお、MySQL Shell for VS Codeはサポート提供が終了し、今後はMySQL Workbenchの利用がメインのGUIツールとなります。

MySQL開発の週刊アップデート

MySQLの開発がGitHubを中心とした開発コミュニティでの体制に移行しています。ベクトル検索やベクトルインデックスのサポート、AWSのエンジニアが提案する大きなトランザクション実行時のバイナリログ処理の最適化など多くの開発が並行して行われるようになっています。

この開発状況を、MySQLコミュニティチームのHenrik IngoがLast week in MySQL Server Developmentとしてまとめるようになっています。重要な点のまとめと、マージされたIssue, 実装中やレビュー中のもの、設計フェーズのものをカテゴリ別に分類し、さらにバグについても進捗を含めて掲載されています。

[PostgreSQL]2026年9月の主な出来事

今月も次期メジャーバージョン19の最新情報を中心にお知らせします。まだベータ版の段階ですが、いよいよ正式版のリリースが近づいてきました。

次期メジャーバージョン19最新情報

9月24日、次のメジャーバージョン19の4回目のベータ版がリリースされました。このバージョンに組み込まれた新機能や特徴をおさらいしておきます。

PostgreSQL 19では、性能向上、運用性の改善、論理レプリケーションの強化など、データベース管理やアプリケーション開発に関係する幅広い改良が行われています。特に注目されるのが、REPACK、並列autovacuum、論理レプリケーションの強化、クエリプラン制御などでしょう。

REPACK
新しいREPACKコマンドが追加される予定です。これはテーブルの再編成とディスク領域の回収を行う機能で、従来のVACUUM FULLなどの処理を統合する位置づけです。大規模なデータベースでは、テーブルの肥大化対策を行いながらサービスを停止しにくくすることが重要です。ベータ4では、クラッシュや不正なインデックス、マテリアライズドビュー、権限処理などについて複数の修正が行われています。
autovacuumと性能面の改善
autovacuumがテーブルのインデックスを並列に処理できるようになります。また、どのテーブルを優先的にVACUUM/ANALYZEすべきかを判断する新しいスコアリング機構も導入されます。大量のテーブルを持つシステムでは、データベース保守処理の効率化が期待できます。
論理レプリケーションの強化
論理レプリケーションでは、シーケンス値の複製に対応するほか、「⁠wal_level=replica」の状態からサーバを再起動しないで論理レプリケーションを有効化できるようになります。また、初期テーブル同期や競合検出などについてもベータ4で複数の修正が行われました。
クエリプランを制御する新機能
pg_plan_adviceという拡張が追加されます。これはオプティマイザが選択する実行計画について、管理者が一定の制御を行うための仕組みです。
正式リリースまでの予定
今回のリリースはベータ版であり、今後も仕様や機能が変更される可能性はあります。現在の予定では10月初旬にリリース候補版(RC)が出されて、正式版(GA)はまだ確定はできませんが、10月末までにリリースされることが期待されます。

SRA OSSによるPostgreSQL 19検証レポート

7月に初版が公開されていましたが、今回のベータ4に合わせて改訂版が公開されています。このレポートでは、当初組み込むことが期待されたものの、ベータ2からベータ4の間に見送られた機能が示されています。

レポートによると、見送られた機能には、たとえば次のようなものがあります。

  • バイナリpg_dumpall
  • プロパティグラフ問合せ
  • テンポラルテーブル更新
  • パーティションの分割/統合

いくつかの新機能を見送ったことは、PostgreSQL開発チームが信頼性や正確性を優先する姿勢を示していると言えるでしょう。ただし、これらはバージョン19では見送られましたが、その後のメジャーバージョンで再検討されて採用される可能性はあります。

PostgreSQL 19のセミナーがオープンソースカンファレンスで

10月2日~3日にオンライン開催されるオープンソースカンファレンス 2026 Online/Fallにおいて、「PostgreSQL 19でREPACK機能を使おう」というセミナー枠が設けられています。

日時は10月3日(土)の11:00~11:45、講師は日本PostgreSQLユーザ会(JPUG)理事の高塚遥さんです。このセミナーでは、これからリリース予定のPostgreSQL新バージョンの新機能の1つである、REPACKコマンドについて紹介します。

OSS-DB認定者数の上位企業(2026年版)

以前にもお知らせをしたことがありますが、PostgreSQLの技術認定試験での2026年版の企業別合格者数ランキングが9月14日に発表されました。

PostgreSQLの技術認定試験であるOSS-DB技術者認定には「OSS-DB Gold」と「OSS-DB Silver」という2つのレベルがあります。OSS-DB Goldの認定はPostgreSQLの内部構造についての深い知識を持ち、設計・構築からパフォーマンスの改善やトラブルシューティングまで行える技術力を証明します。OSS-DB SilverはPostgreSQLを使ったデータベースシステムの運用管理を確実に行える技術力を認定するものです。

今回発表されたランキングは、OSS-DB GoldとSilverのそれぞれについて、単年の合格者数と、有意性期限(5年)以内の認定取得者数が発表になっています。このランキングは、PostgreSQL技術者育成に積極的な企業であることを示す指標のひとつになるでしょう。

[Tsurugi]2026年9月の主な出来事

9月8日、Tsurugi 1.12.0がリリースされました。Tsurugi 1.12.0 では、SQL関連の機能追加としてテーブルに含まれるすべての行を削除するTRUNCATE TABLE文に対応しています。また、日時系の型から特定のフィールドを抽出するEXTRACT関数にも対応しました。

その他にいくつかの重要な不具合修正や安定性の向上を行っていますので、前バージョンを利用するすべてのユーザーにはアップグレードが推奨されています。

Tsurugiは新しいデータベースエンジンで、理解して使いこなすためには「Tsurugi本」と呼ばれている書籍(『次世代高速オープンソースRDB Tsurugi』)が重要な情報源ですが、noteでも理解や活用のための情報が発信されています。9月7日には『Tsurugiにおけるサブクエリーの実現』という技術ブログが公開されました。

2026年10月以降開催予定のセミナーやイベント⁠、ユーザ会の活動

イベントごとに利便性のあるオンライン開催や、従来通りのオンサイト(会場)開催、またはハイブリットが混在するようになっています。興味を持たれて参加したいイベントの開催形態にご注意ください。

オープンソースカンファレンス(OSC)〔10月〜1月開催分〕

日程 〔Online/Fall〕2026年10月2日(金⁠)⁠~3日(土)10:00~18:00
〔Tokyo/Fall〕2026年10月17日(土)10:00~16:00(展示が中心)
〔Nagaoka〕2026年11月21日(土)10:30~17:00
〔Yamaguchi〕2026年11月22日(日)10:45~17:00
〔Okinawa〕2026年12月5日(土)サイト準備中
〔Fukuoka〕2026年12月12日(土)10:00~18:00
〔2027 Osaka〕2027年1月30日(土)10:00~17:45
場所 〔Online/Fall〕オンライン開催(ZoomとYouTube Live)のみ
〔Tokyo/Fall〕東京都立産業貿易センター台東館 6階、ステージ企画はYouTube Liveで配信予定
〔Nagaoka〕米百俵プレイス ミライエ長岡
〔Yamaguchi〕常盤(ときわ)工業会館とオンラインのハイブリッド開催
〔Okinawa〕サイト準備中
〔Fukuoka〕福岡大学 A棟 7F(交通アクセス・キャンパスマップ)
〔2027 Osaka〕大阪産業創造館 3F-4F
内容 オープンソースカンファレンス(OSC)は、オープンソースの今を伝えるイベントです。東京だけでなく、北は北海道、南は沖縄まで、年間を通じて全国各地で開催しています。オープンソース関連のコミュニティや協賛企業・後援団体による、セミナーやプロダクトの展示などを入場・参加料が無料でご覧いただけるイベントです。今回ご案内する開催地は会場開催とオンライン開催が混在しています。
〔Online/Fall〕オンラインセミナーに特化した開催回です。参加を希望される方はConnpassから参加エントリをお願いします。本文でもお知らせしたPostgreSQLやMySQLのセミナー枠が設けられています。
〔Tokyo/Fall〕会場でのブース展示が中心です(セミナーはOnline/Fallにて実施)が、ステージ企画として数本のプレゼンテーションとライトニングトーク(LT)が予定されています。発表内容はConnpassの参加エントリページをご覧ください。また、展示ブースの一覧が公開されました。
〔Nagaoka〕出展・発表者(団体)募集中(10/31締切)です。
〔Yamaguchi〕ブース出展枠は若干の空きがあるようです。
〔Okinawa〕サイト準備中です。
〔Fukuoka〕出展・発表者(団体)募集中(10/30締切)です。
〔2027 Osaka〕11月中旬から出展者募集予定です。
OSSデータベース関連の発表の詳細は、公開される各回のプログラム詳細をご参照ください。
主催 オープンソースカンファレンス実行委員会

PostgreSQL Conference Japan 2026

日程 2026年11月27日(金)10:00~18:10(開場9:30、18:30から懇親会あり)
場所 AP東京八重洲(東京都中央区)
内容 日本PostgreSQLユーザ会(JPUG)が主催し、日本における PostgreSQL に関する総合カンファレンスイベントであるPostgreSQL Conference Japanが今年も開催されます。
9月末時点で講演枠の一般募集は終了しています。実行委員、スタッフ、スポンサーについてはひきつづき募集中です。
参加チケットは9月27日からイベントレジストで販売を開始しています。早割チケットは期間が短いのでお早めに。また、チュートリアル枠が聴講できるチケットは毎年早くに売り切れになるので要注意です。 セッション内容などの詳細は次回にお知らせします。
主催 特定非営利活動法人 日本PostgreSQLユーザ会

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