知りたい!サイエンス
なぞの宝庫・南極大陸 100万年前の地球を読む
- 飯塚芳徳,澤柿教伸,杉山慎,的場澄人 著
- 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2008.10.30[在庫なし]
- 判型
- 四六
- 頁数
- 200ページ
- ISBN
- 978-4-7741-3661-5
サポート情報
概要
南極点に人類が初めて到達してからほぼ百年。一年中雪と氷に覆われている南極は厳しい自然環境ゆえに今も人間活動が限られたままです。地球環境問題が毎日報じられる中,南極はそれに最も敏感に反応するといわれ,氷床が融解するのではという危惧も広まっています。本書はそのような南極の全体像を俯瞰し,大地と雪氷にどのような悠久の地球史が記されているかについて解説します。南極は絶え間ない地球規模の環境変動によって形成されてきたものであり,またそれ自身が地球全体の環境にも影響を与え返していることがわかります。
こんな方にオススメ
- 南極に興味がある方
- 地球環境や古気候に興味がある方
- 固体地球物理や惑星形成について興味がある方
目次
第1章 南極大陸を3次元で見る
- 9世紀まで人跡未踏であった南極大陸の素顔
- 氷床の下に隠された100以上の湖
第2章 南極大陸の歴史を俯瞰する
- ゴンドワナ大陸から南極大陸へ
- どこまでも南を目指す男たち
- 南極を目指した日本人探検家白瀬矗
- 氷床コアが象徴する南極観測の技術
第3章 南極氷床はどんな世界か
- 南極大陸の氷の増え方と減り方
- 厚さ数千メートルの氷が“流れる”しくみ
- 雪は数千年をかけて氷に生まれ変わる
- 南極氷床の氷の量を測定する試み
第4章 氷床から過去の地球環境を復元する
- 厚さ3000メートル以上の氷床を掘り出す
- 過去数十万年の中で現在は温暖な時代
- 1万8000年前の複雑な温暖化と寒冷化
- 地球の気候変動はなぜ起こるか?
第5章 南極に秘められた地球史
- 南極大陸はなぜ「砂漠」と呼ばれるのか
- 日本隊が掘り出した深さ3000メートルの氷コア
- ローレンタイド氷床とアガシ湖
- 氷床が融けると世界の海面はどれだけ上昇するか
プロフィール
飯塚芳徳
北海道大学低温科学研究所研究員。博士。1974年生まれ。総合研究大学院大学博士課程修了。専門は雪氷学(氷床コア解析)。数十万年スケールの古環境復元を目的として,南極やグリーンランド氷床で掘削された氷コアの物理・化学解析学的な研究を進めている。とくに氷に含まれるマイクロスケールの不純物の組成・物性をどのように数十万年スケールの古環境復元に応用するかに注目している。
澤柿教伸
北海道大学大学院地球環境科学研究院助教。博士(環境科学)。1966年生まれ。北海道大学大学院環境科学研究科博士課程修了。氷河学と地質学の境界領域である「氷河地質学」を専攻。この分野では日本人としては数少ない専門家の一人。第34次および第47次南極地域観測隊員として昭和基地で越冬。氷底水流と南極氷床の安定性に関する問題を追究し,氷の下の地質現象からダイナミックな氷河像を復元することを目指している。
杉山慎
北海道大学低温科学研究所講師。博士(地球環境科学)。1969年愛知県生まれ。1993年大阪大学基礎工学研究科修士課程修了。1993~97年信越化学工業で光通信用デバイスに関する研究開発に従事。1997年より2年間青年海外協力隊に参加し,ザンビア共和国の高等学校で理数科教師。2000年より北海道大学地球環境科学研究科博士課程にて氷河の研究を始め,2003年に博士課程修了。スイス連邦工科大学に研究員として勤務の後,2005年より現職。2007~08年の日本・スウェーデン共同トラバース隊による南極氷床調査など多様な氷床・氷河の調査に参加。
的場澄人
北海道大学低温科学研究所環オホーツク観測研究センター助教。博士。1970年三重県生まれ。京都大学理学部卒業,同大学院理学研究科修了,総合研究大学院大学極域科学専攻博士課程卒業。専門は山岳氷河コアを用いた古環境の復元。2000年犬ソリによる北西グリーンランド広域積雪調査,2004年中華人民共和国・七一氷河調査,2006年カムチャツカ・イチンスキー氷河調査,2008年アラスカ・オーロラピーク氷河調査などに参加。